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現代文学のちょっとした裏話(リメイク版) 第47話 「退職……そして「二万キロ」」


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834 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:13:16 ID:cMtupN3U0
さて、久々に投下します。

それでは、現代文学のちょっとした裏話。


835 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:13:34 ID:cMtupN3U0

【退職……そして「二万キロ」】

         / ̄ ̄ ̄\
         /        \
      /   ─   ─  ヽ
       |   (●)  (●)  |
      \   (__人__) __,/
      /   ` ⌒´   \
    _/((┃))______i | キュッキュッ
 .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
 /  /_________ヽ..  \
 . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        【宮脇俊三】

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 ある日のこと。

 宮脇俊三は、ふと、国鉄線が書かれた白地図を拡げて見ていた。
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836 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:13:48 ID:cMtupN3U0

                                              |~|
                                               | .ヽ
                                           _  ノ  \    _
                                            |ヽ_/    \_//
                                          √_  ._     __.(
                                          ) (.ヽ´\  ./   ̄
                                          ⌒_   .\/
                                         .ノし~|
                                         |   |
                                         <   ヽ
                                         /    |
                                         /    /
                                        /   _(
                                      _/   /
                                 ._   ._/   .|
                                . <(_ ‐~     .|
                          _____  ./        /
                      _.-‐"~   "ー´         |
                    _ /___ ,,__....._,...,_  ._      (~)./
                  <" ~ し、_.ノヽ- \ ]  (`‐‐-´~U⌒.|,/
                  ヽ,   く ~|._.-‐.v´| /
                   /   /       ~
                  ヽ∩/~
                    ´
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 自分が乗ったことのある路線はどれくらいあるのだろう?

 そんなことを思った彼は、自分が過去に乗車したことのある国鉄線を、
 赤ペンでなぞっていったのだ。
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837 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:14:03 ID:cMtupN3U0

              ,  ,-、
             ノ`-' ヽ
             λ    \
             λ    `ヽ、
              |      \
              |        \
               |         \
               |            ヽ、                   ,、
              ノ             `ヽ、           //
              /                `ヽ、       / ,/
              |                   `~`'`、,,,_/  /
              |                            (
             ,-'                            ヽ..,,_
             )                             λ’
             l、                             λ ,,-''ニ⊃
             λ                              `'' /~
      γ~ヽ、 __,  ノ                            __,,,,,--'
      \  `~ '-''                         ,--,__ζ
       λ                         ,,/⌒`--`
      , /                       ,/
    ,,/ ~  ,,,,     ,,/⌒`ヽ、          /
    ,l   γ'' `ヽ、/       \        /
   i'   ヽ、   '          `ヽ、    λ
    \    ''ヽ               `ヽ、   |
     ヽ    λ                \/
      |     ヽ、,,_
     /  γ`ヽ、  /
    /   i'''   `~`'
    l、_,--'
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 色付けてみると、意外なことがわかった。

 確かに自分は、これまでの人生でたくさんの列車に乗っている。
 しかしそれは東京-名古屋-大阪などといった幹線ばかりで、
 地方のローカル線とかにはほとんど乗っていなかったのがわかったのだ。

 それは北海道や九州などが、あまり色がついていないことから分かったことであった。
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838 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:14:17 ID:cMtupN3U0
     ____
   /      \
  /   _ノ   ヽ_\
/    (ー)  (ー) \      国鉄線の総キロ数は2万800キロ。
|       (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /      やる夫は……その半分しか乗ってない。
(  \ / _ノ |  |       7,8割くらいは乗ってると思ってたのにお……
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
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 さらに、宮脇は、これまで乗車した路線のキロ数を計算してみた。
 そうすると、公的に発表されている国鉄線の総キロ数の半分に行くか行かないかくらいであった。

 宮脇は愕然とした。
 7、8割は乗っているだろうと思ったのに、実はあまり乗っていなかったのだ。
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839 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:14:30 ID:cMtupN3U0

        |
    \  __  /
    _ (m) _
       |ミ|
     /  `´  \
     ____
   /⌒  ⌒\    チーン!
  /( ●)  (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \         そうだお!
|     |r┬-|     |
/     `ー'´      ∩ノ ⊃     これからは、同じ鉄道の乗りにいくにしても、
( \             /_ノ       今まで乗ったことのない路線を中心に乗ってみるお!
.\ “  ____ノ  /
  \_ ____  /
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 そこで宮脇はこのように考えた。

 「これからは、今まで乗ったことのない路線を中心に乗ってみよう」
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840 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:14:43 ID:cMtupN3U0

          ____
        /      \
       /  ─    ─\
     /    (●) (●) \
     |       (__人__)    |         じゃあ、とりあえず今日は九州に行ってみるお。
      \      ` ⌒´   ,/
      /         ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  キュム
        i     \ ::::/ キュム
        \     |::/
          |\_//
          \_/

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 しかし、これが意外に大変だった。

 何しろ、宮脇が乗ったことない路線の多くが、地方のローカル線である。
 そのために遠方まで行くことになってしまうのだから。
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841 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:14:56 ID:cMtupN3U0

              ___
            /_ノ ヽ、\
           /(●) (●) \
         /  (__人__)    \
          |    ` ⌒´     |          ここは朝夕数本しかないから……
         ヽ、 _     .._ /
    ____/⌒``ヽ ,,ー‐,,   "⌒ヽ____     時間まで待つお。
   |____し'⌒/ .    .   /"⌒し′__|::|
   |____(        /_______|::|
    |____/⌒ ヽ、     /______|::|
    |____しイ"i  ゙`   ,,/._______|::|
l二二二二二二 l |二二二二二二二二l__:|
 | |::|   | |::|  し′        | |::|  | |::|
 |_|;;|   |_|;;|            |_|;;|  |_|;;|

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 さらに、ローカル線は、頻繁に運行されているわけではない。
 例えば朝と夕だけとかそういう鉄道線が意外に多いのだ。

 そのような鉄道線に乗るためには、それに合った予定の組み方をしないといけない。
 それは面倒なことでもあった。
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842 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:15:08 ID:cMtupN3U0

        / ̄ ̄ ̄\
        /        \
     /  ⌒   ⌒   ヽ
      |  (⌒)  (⌒)   |
     \  (__人__)   __,/           でも、予定を立てるのは楽しいお!
     /  ` ⌒´    \
   _/((┃))______i | キュッキュッ キュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/  /_________ヽ..  \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 しかし、宮脇は元来、時刻表好きである。
 そういう面倒な予定を組むことは苦にならなかった。
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843 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:15:19 ID:cMtupN3U0

        小                ______________
    / | |丶 ________ /::____________:::
     ─| |──┴──┴──./ / \ \──┴──┴── ./
       | |    rー―――/ /──‐\ \───_─ ̄ / /
       | |    | 同.l ̄/ /  =  二.\ \三     / / l:^
       | |    l l ! / /‐‐―― =   \ \   ./ / ニ 二
     =| | 二  三 / /_________\ \/ /____!li
     __| |____ / / ェェ○__     ___   >.::.< ェェ○
     ____]二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二
     """"""" 、     ̄ ̄ ̄           └|::  |┘  ̄ ̄ ̄
             、  ______,,     !|::  |i
     vv.ll||||、  ..:.:..\ー ..::.:::.:.:.::.:::.:.:...ヽ   !|::  |i
      ..:......:.....:.:.:..    \ `ー-、_..:.:.:.:.:.:.:.ヽ  .l|::  |!
        www      lliwv    ー   ,..::..  |::  |
     ::.::..:...    vvll|ii!vWll|/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽwvv^ノノ、lli|ii!、vww
          liiii!|vnVww.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::(、、ヾ丶vvVm゚、、、
     iiiv  ||wwviiwwノ、.:.:.:.:.:.::.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:!;;;vwq/,lii||,, )、
     :lwwlil||vvw,,, /.:.:.::.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ww从' 'vノーア〉,,

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 さらに、ローカル線にはローカル線の魅力があることを知った。
 風景や、人々の方言、人情……

 宮脇はだんだんとローカル線の旅が楽しくなっていった。
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844 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:15:33 ID:cMtupN3U0

,,..-''"´      '' -..,,
   ''"⌒ヽ、     `ヽ
    _       -‐ヽ
 /´(;;;c)ヽ      _ ',
 ヽ、_ 丿    /r;;cヽ|
   /´     .ヽ ヽ-' ',
   ヽ       ',`¨´ ',          気づいてみたら、9割近く乗っていたお。
    l  ̄ ヽ .__丿     l
    ヽ、  ノ       ,'         こうなったら、国鉄全線完乗を目指してみるお!
_____.  ̄        /
 :::::::::::::::::`ヽ、   _,,..-''´
`''-..,,_::::::::::::::. r''"´
        ヽ、
          ヽ、
            ヽ   _丿ヽ
                 ',   ) .,-.、
              |    | . |
               |  /r''⌒ヽ、
                 |  / /―-  l
             | / /―   ./

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 そうこうしているうちに、1975年(昭和50年)には、9割の路線に乗っていた。
 残り1割、2000キロに乗れば、国鉄全線である。

 宮脇は当初、完乗は目指していなかったという。
 しかし9割を超えたとき……その思いは変わった。

 「国鉄全線完乗をしてみたい!」
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845 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:15:46 ID:cMtupN3U0

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ┌┐:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ┌─┐::::::::::::::::::::::::::::::::││:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
; ; ┌┐                │  │┌┐ :::::::::::::::::: ││┌───┐::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
; ; │└┐┌───┐    │  │││ :::::::::┌─┘└┘      └┐:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
─┘  └┘      └──┘  └┘└──┘                │┌──────
                                          └┘
      _/______________________ _/_\_
       / ̄/ゝ ,_______________________________|_|______
     / ̄   /_|ロ|_|ロ|  口 口 口 口 口 口 口 口 口 口   |ロ|JR| |_|ロ| 口
  /       |,,,| [__] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄[__] ̄ | | [__] ̄ ̄ ̄
 く|_=_______________________________|_|_______
  /____イ◎〓◎  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄└───┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◎〓◎    ◎〓◎
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 しかし、この「残り1割」が大変だった。

 どうしてこれらの路線が残ってしまったのか。
 それは、これらの路線が「乗りにくい」路線だからである。
 本数が少ない、接続が悪い、遠い、その他もろもろ……
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846 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:15:59 ID:cMtupN3U0


二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二
  r───ー┐     rー──‐┐    r───‐┐
  |.  ∧∧ 「`|     |  ∧∧   /^7  |        |:/^7
  L.. (ー゚* ):|: :|     L. (Д゚ ) /: :/  ∧_∧__,./: :/
   日と.  | |: :l     ⊂   ノ/: :/  ( ・∀・)  /: :/
  ,と二二  ̄∨   ,と二二  ̄∨   (     )_ ̄∨
 {: : : : : : : 〉  〉  :{: : : : : : : 〉  〉   人  Y : :〉  〉
_ ̄匸_´_/___, ̄匸_´_/____し'(__)_´_/_
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 例えば1984年に廃線になった、清水港線……
 この路線は静岡県の清水駅から清水港に沿って三保まで向かう路線なのだが、
 清水から三保に向かう便は、朝8時11分の1本、三保からは16時14分の1本のみであった。

 これにあわせて乗るためには、東京発6時4分のこだまに乗らないと間に合わない。
 そうなると、朝の4時半起きである。
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847 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:16:15 ID:cMtupN3U0

      _     ._             \               _     ._
.       \\. //               \              \\. //
.       //|:|\\                  \              //|:|\\
       ̄_{::}_ ̄                   \           ̄_{::}_ ̄
.       ◯ ̄|:| ̄●                  \        ● ̄|:| ̄○
.         _|:|_                          \       ._|:|_
         |:::::::::←|                         \      |:::::::::←|
.          ̄|:| ̄                          \     ̄|:| ̄
.           |:|                            \   .|:|
______.....|:|_                                \ __.|:| ________
.|| ̄ ̄|| ̄ ̄||...|:| ̄}                                  {\|:| || ̄ ̄|| ̄ ̄||
.|| ̄ ̄|| ̄ ̄||...|:| ̄|                                  | ̄|:| || ̄ ̄|| ̄ ̄||
.|| w ||wivvi||...|:|  |._. _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _.|  |:| ||wivvi|| w ||
;: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; /                                 \:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
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:; :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: /                                       \:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
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:; :;:;:;: :;/                                              \:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
; :; :;/                                              \:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 新幹線で静岡に到着ののち、東に戻る東海道線で清水まで向かう。

 清水駅で下車すると、清水港線への乗り換えのために、
 貨物ヤードみたいなところを歩いて、清水港線のホームまで行かないといけない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



848 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:16:29 ID:cMtupN3U0

 ,.r'"´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ  __________
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 ̄ ̄ :{三米三};;;;{三米三};:;:;:;;;:;:;;;;;;;;{三米三};;;{三米三};; ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;;;;{三米三};;;{三米三}  ̄ ̄ ̄    ((\□/))  ̄ ̄  
     ヾノ爪シ¨¨ヾノ爪シ´¨¨ ¨¨ ¨¨ヾノ爪シ¨¨ヾノ爪シ´¨¨ ¨¨ ¨¨¨ ¨¨`ヾノ爪シ¨¨ヾノ爪シ´     ..   \_/        
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 ホームで待っているのは「混合列車」……客車と貨車が一緒に連結されている列車である。
 もっとも、客車はたった1両、あとは貨車であった。
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849 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:16:45 ID:cMtupN3U0

 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 |_∧∧_∧ ∧_∧   |
 |. Д`);´Д`)(;´Д`)  | ハァハァ…
 | ∧_∧  /⌒   ヽ∧⊥∧
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 |⌒ ∧_∧(;´Д` ) ∧_∧
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 | /⌒   ヽ (;´Д` )    ヽ ハァハァ…
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 |ノ \\ /|/| |   | |\./| |
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 |/⌒\し'/   .\\ | |ヽ し'(ノ
 |     >/ /⌒\し'(ノ  > )
 |   / /    > ) / /
 |  / / つ    / / (_つ
 |  し'     (_つ   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 その客車はローカル線ゆえ空いているかと思いきや……高校生がたくさん乗ってきた。
 終点の三保の近くに、高校があったのだ。
 おそらく、その輸送のためだけに最近は客輸送をしていたのだろう。

 ローカル鉄道はだいたいこんなものである。
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850 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:17:04 ID:cMtupN3U0

                          l|                 /   /
                          l|            /   /
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.                         l|         /   |:|/ ./
                       l|          /   /|:|/
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                   h===.|r--i|===i|.  ||      |:|
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          .rロ、.    |.。○.| !-! |.○。|.  ||      |:|     _,;;-''
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 清水から8.6キロ、時間にして25分揺られて、三保に到着する。
 港の工場街を縫うような路線であった。

 そこから少し歩いて、清水駅へと向かうバスに乗り込む。
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851 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:17:18 ID:cMtupN3U0

                  ____________
  __________/____/         \_________________
 ┏┳━━━━━━┳┓| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___________________.|
 ┃┃ 清 水 駅 行 ┃┃|___...┏━━┳━━┳━┓/_______┏━━┳━━┳━━┳━┓  |
 ┣┻━━┯━━━┻┫|| ̄|| ̄|| ┃清水┃    ┃  ┃|| || || || ||┃    ┃    ┃    ┃  ┃  |
 ┃. ∧∧ .|        ┃||  ||  || ┃    ┣━━╋━┫|| || || || ||┣━━╋━━╋━━╋━┫目|
 ┃ (゚Д゚,,)...|        ┃||  ||  || ┃ ̄ ̄┃    ┃  ┃|| || || || ||┃    ┃    ┃    ┃  ┃目|
 ┃⊆⊇⊂..|        ┃||  ||  || ┗━━┻━━┻━┛|| || || || ||┗━━┻━━┻━━┻━┛  |
 ┣━━━◇━━━━┫||  ||  |||入口| ̄ ̄ ̄ ̄.. .  .|| || || || ||出口| 屑 鉄 ダ ス ト ラ イ ン .|
 [|□| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  [] ||  ||  ||  ̄ ̄   ロ        || || || || ||  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  |_|______|__|..||  ||  ||_,/⌒ ヽ_________.|| || || || ||/   /⌒ ヽ..          |
  |ロロロ|┌―┐.|ロロロ .|||  ||  ||_|  ∴  |___________|| || || || ||___|  ∴  |────── .|
  | ̄ ̄...└―┘  ̄ ̄ ̄_|||___||_||_|  ∵  |         .|| || || || ||___|  ∵  |         |二〕
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゞゝ ̄ノ ̄  ̄ ̄ ゞゝ___ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゞゝ_ノ  ゞゝ___ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              ̄
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 バスは鉄道よりも時間がかかるが、本数が多かった。
 それだけ頻発されていれば、誰もがバスを使うのは当然だろう。

 静岡県清水市(現静岡市清水区)というある程度都市化された地域にもかかわらず、
 一日一本しか鉄道が運行されない理由……
 それはモータリゼーションが原因であったのだろう。
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852 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:17:37 ID:cMtupN3U0



       ____
      /      \
     / ⌒  ⌒   \
   /  (ー) (ー) /^ヽ
  |   (__人__)( /   〉|         考えてみたら、馬鹿らしいことこの上ないお。
  \   ` ⌒´  〈 / ⌒^ヽ
―――――――― \ _ _ _ )

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 わざわざ一日一本の列車のために、朝早く出て、それだけに乗る。
 さらにはそういう鉄道に乗るためだけに北海道を巡る……

 一度は四国から長距離移動して北陸のローカル線に乗りに行くようなスケジュールを立てたこともある。

 そんなことを繰り返していた。
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853 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:17:53 ID:cMtupN3U0


川))
///
rえ                            ,__
辻ェzx、                        .ー|ii|一
三三そ                          |ii|
三三ミ                           .|ii|
三彡'__I_                     .|ii|
三ミx、   \~`'‐ 、,              k    .|ii|
三三≦    \  `'‐ 、,           ||     .|ii|/                            /
ミx、 ─────┬ェ___ェ、__/\   ||     .|ii|                         _,..、-‐'';:;;:;
三ミx、       i| 、"''- 、  "''- 、_  `ヽ、|_. _|ii|                        /;:;:;:;:; ;:;:; ;:;:
彡'~        i|  "''- 、"''- 、  "''- 、_ 介=',.,.| |||ii|       ___         _,、-‐'';:;:;:;:;: ;:;;:;;:;:;:;;:;
__r──‐ァ  i|───┬┬┬┬┬┬ェュ:.:.:.:. | |||ii||        |□i[]i□|    ,;、-‐'';:; ;:; ;:; ;: ;:; ;:;:; ;:;:; ;:;:;:;
田] ||王|王||   |   _ ix本xi....|Y^Y^Y|I|:.:.::.:.:| |||ii|k; ̄ ̄ ̄ ̄|i  ̄ ̄ i| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
田] ||王|王||   |  |圭|  |...|]! .|~:|!i!⌒|I|℡_,.,| |||ii|_rェュ____ |圭三圭|
,.,.,,.,.、、--‐‐''''"";:;;ミ      :|...|]_,,、| |!i!,、-‐'':.;; ; | ||:.:.!ノ片!    .'、 . '、ニヾ
;;:; ;: ;;、-‐''_;:;;:;;:;:;:;i!_,、-‐' " |...|]   ,/;;_;;_;;__;;;;;:;| ||'"|       .'、  '、ニヾ
,.,.,.,.,.,__,.,_|_|,.,,.rH,,.,_,,., ,., ,.,_,|,.,|],.,.,.,_i!;:;_;:;_;_;:;:;:;;:;:;| ||/ ̄!      .'、  '、'ニ\
;:; ;:; ;:;;i!;:;;:; ;:; ;:;;:;:;:;:/,.,;:;;:;;:;:;;::;:;:;:;:;:;;::;ミx;:;:;:;:;;: 傘;:;:;| ||II圭I|   - -、 '、  '、'ニニ\
;:;;:;;:;:;:;ミx;:;;:;;:;;:;;:;;: /:;::;:;;;:;;:;v;:;:;:;:;;: ;:; ;;:;ミx;:;;:;;i!|II|;:;;:| ||II三I|  ● ●) ヽ.'、  '、'、ニニ\
;:;;:;;:;,、x升卅从从≦x、;:;:;i!;:;:;:;:;;:;;:;;:;;::;:;:;:;;ミx;i!|III| ./ ̄  ̄   (人__) ノ  '、  '、'、ニニ \
,;xミ从㌧x㍉爻㌧x㍉x、川;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;:; ;i!:|III|/        /      ヽ   '、 .'、'、ニニニ.\
㌧x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x、;:;:;;:;;:;.                (|     し'    '、  '、'、二二 \
x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉恋ヰ ;:; ;:; ;:; ;:;i!./~        .し    J     .'、  '、'、二二ニ \
㌧x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉爻;:;;:;;:;;:;:;;:;ミ/                    '、  '、'、二二二 \
x㍉恋㌧x㍉㌧x㍉恋㌧x㍉恋川'"'"'"'"~/                      '、  .'、'、二二二ニ\
     ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 そして……1977年(昭和52年)5月。
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854 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:18:07 ID:cMtupN3U0


                    ________
                  /              \
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       /        ( ー─一)        (ー─一)     \
     /           ヽ   ノ       ヽ   ノ       \
     |                 /"´      i    `ヽ          |       あ~……
      |               (        ノヽ     )        |
      |             `ー‐--‐'′ `ー-一'′         |       成し遂げたんだお。
      .l              `\      /´           l
       \                 `ー- -‐'′           /
       \                         /
            \                     /
       /   `           __ __      ´\
      /                              \
     ./                             \
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   l           |                         l

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 足尾線……現在のわたらせ渓谷鉄道……の足尾-間藤間に乗車。

 そして間藤駅に降り立った時、全てが終わった。

 宮脇俊三は、国鉄全線に完乗したのだ。
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855 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:18:22 ID:cMtupN3U0


         ____
         / _ノ ヽ_\
.     / (ー)  (ー)\
    l^l^ln  ⌒(__人__)⌒ \            あー……完乗なしとげたら、
    ヽ   L   |r┬-|    |
     ゝ  ノ  `ー‐'    /            何もやる気がしなくなったお……
   /   /         \
  /   /            \
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

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 ところがである。
 完乗を成し遂げたのち、宮脇はなんとも言えない虚無感にさいなまれた。

 仕事もやりたいことができるわけではないし、鉄道は全部乗ってしまった。
 これ以上何をすればいいんだろう……

 そんな心境に陥ってしまったのだ。
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856 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:18:37 ID:cMtupN3U0


       ____
     /     \
   /::::::::::::::::    \ _
  /::::::::::::::::       || |         もしもし……
  |::::::::::::::::::::::::     ∩! ,ヽ          私に、執筆ですか?
  \::::::::::::::::       | ー ノ
   | :::::::::::::::    | i j  ̄ ̄ ̄|
   |  :::::::::::::    ゝ__/____i
   |  ::::::::::     /      /
  (__(__   ヽ⌒⌒⌒ヽ
  /  ,_/  ___ノ    /
  `ー'  `ー'       /
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 そんなある日のこと。宮脇の下に一本の電話が入った。

 相手は河出書房新社の編集者で、
 どこから聞きつけたのか、国鉄全線完乗の記録を旅行記にして本を出さないか、というものであった。
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857 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:18:53 ID:cMtupN3U0

     ____
   /      \
  /         \
/           \        中央公論社に勤める者が、河出から本を出すというのは、
|     \   ,_   |        会社に対する造反行為に等しいお……
/  u  ∩ノ ⊃―)/
(  \ / _ノ |  |         かといって、ここで会社を辞めるとして、
.\ “  /__|  |         今後の生活は可能なのかお?
  \ /___ /
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 宮脇は迷った。

 本は出してみたい。自分の好きな鉄道のことなら、なおさらである。

 しかし、中央公論社の取締役である自分が、河出書房から本を出すのは、
 会社に対する裏切りになるのではないのか?

 だが、本を出す道を選んだとしても、自分に今後「作家」としての活動ができるのか?

 宮脇はかなり悩んだようだ。
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858 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:19:08 ID:cMtupN3U0


          ____
        /      \
       /  ─    ─\
     /    (●) (●) \         まあ……悩んでも、しゃーないお。
     |       (__人__)    |
      \      ` ⌒´   ,/         ここは……この手の道の先達に相談してみるお。
      /         ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  キュム
        i     \ ::::/ キュム
        \     |::/
          |\_//
          \_/
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 悩んでいてもしょうがない。

 そこで、宮脇はとりあえず、この手の作家がどういう仕事をしているのか、リサーチしてみることにした。

 偶然にも、こういう紀行文などを専業に扱う作家に知り合いがいたのだ。
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859 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:19:22 ID:cMtupN3U0


                _,.. -─   ─-、 しァ
          /!/ヽ‐'"         / イ⌒ヽ
         ,l_/           l l  / /!   ヽ
         |l         /lハ//  V| !   ハ
         | l       /  イ    ヽヽ/Vl !
         | ハVヽト`ー- ' イ/   ,ィ/!  \ ∧l |
        、ト、 \ ヽー- '  _,..ィ/ // ハ ト、   l!
         \  ヽ_,.メ、<イ_/__,.._-=ニ-ヽ _,/
          ヽi`、|  、‐rッヾ =|二|-=_rッァ `}',.}
           { ヽ!    ̄ シノ! ヽヽ  ̄  //リ             ほう……
           ヽヽ!`ー--‐'´/|  ` ー--‐ ' /./
            \!     ヾ_,.      /‐'              独立をお考えですか。
           _ィニlヽ    __    ,イiヽ、
       _,. -‐'"   l | \   `二´   ,r' l !  `ヽ、._
  _,. -‐ '"      l |   \       /   | l      `` ー- 、._
‐'"      _,. -‐  ̄`ヽrァr--`‐──'‐‐-r ,! !           `` ー-
    _,.ィ´     ヽ、._ ヽ        ./ /i  l
ァ‐/ /         \_ノ!        l / l  ',
 /   {       `ヽ、  }!ヽ!       /V !   ヽ
 !   ヽ      \  Y |  ` r====r'´  |    〉

                【種村直樹】

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 種村直樹。元毎日新聞記者。
 主に地方社会部や国鉄番などを転々とした後、1973年に「レイルウェイライター」として独立、
 多くの鉄道関係の書籍を残した人物である。
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860 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:19:37 ID:cMtupN3U0


          ____
        /_ノ  ヽ\
      / ( ●) (●)、        まあ、そういったところだお。
    /::::::::⌒(__人__)⌒\
    |      |r┬-|    |       ここは国鉄番として名を馳せ、今はレイルウェイライターで活躍中の、
    \       `ー'´  /       種村さんの話を伺おうかと。
⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒つ
  \ ヽ  /         ヽ /
   \_,,ノ      |、_ノ
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 「最長片道切符の旅」によると、
 宮脇と種村の初対面は、最長片道切符のルートを巡る相談がきっかけだったように書かれている。
 しかし実際は、宮脇が退職する際に一度会っているようである。

 おそらく鉄道をメインとした作家の仕事の進め方などを、
 宮脇なりに一度確認したかったのかもしれない。

 いかんせん、このとき何を話したのかは、詳しいことは明らかになっていない。
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861 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:19:56 ID:cMtupN3U0

                                             ______
  NヽN`              `゙、                   /           \
.、Nヾミ                i                  /              \
 ヾミミ、       _,.ィイ八、     !                 /      ⌒     ⌒ \
  ー-=ニ _,..、_'"'ノ,."-'ニ'ヾ、._ l_               /     /  `ヽ    /´  `ヽ\
     {F|!  ̄ ゙iニ{'´   ゙̄!r'-r,^、i              /        (   ● l    l   ● |  ヽ
      l;j゙、_   ノ ヽ)、  ノ'  ゝ:'/               |         ヽ_  _ノ    ヽ_   _ノ   |
      `!  ̄ヽ '   ̄~´u ,'.,ィ'                |        ´ ̄` (    i    ) ´ ̄`  |
       i.u  ___     ,' |               \          ー‐ ^ ー     /
        ヽ、 ´ -- ``   ./  ト、              \           ー一       /
       ,..-i;:ヽ、   ,. '´  / ヽ、_             /                      \
    _,.イ´  j   ̄ ̄   /   ,i、゙ト-          /                    ヽ、
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 宮脇と種村は、出自、作品の作風、また旅のスタイルも異なり、
 一時期鉄道ファンなどの間では不仲だったのではないかとまで言われていた。

 しかし実際のところは、かなり親交があったようである。
 おそらく、考え方の違いゆえに、互いを認めることができたのかもしれない。
 また、双方ともオタクにありがちなガツついた性格ではなかったのも良かったのだろう。
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862 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:20:10 ID:cMtupN3U0

         , - ‐――――― 、
.      /                \
.      /                 \
   /                      ―ヽ
.  /                        l
  /: : :                      ( (|
  |: : : : :                    , ヽ
  |: : : : : : : : :                   (  ノ         やる夫にも、できるはずだお。
  \: : : : : : : : : : :             フ
 /: : ̄ ̄ ̄ ̄: :¨ ヽ            /
/: :           \   __/
:            , ´  ̄ ̄ ¨丶   ヽ
: :       /            \  ‘,
: : :      /            ' ,  \
: : : :     /                 丶   `ー 、____________________
: : : : : : : /                     `ー 、/ー∨/////////////////////////////////∧
: : : : : : /: : :                    `ーュ, \////////////////- ´  ̄\'////////∧
: : : : : /: : : : : : :                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ` ー -- '    . : : : ::::\///////∧
: : : : :.{: : : : : : : : : : :              /                 ` ヽ .: ::::::::}'///////∧
: : : : :.l: : : : : : : : : : : : : : : : : :        /        :.: : : : : : : : . . .     ....... 、:::::::::ノ////////∧
: : : : :.∨////,: : : : : : : : : : : : : : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :_ _ //////////////∧

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 宮脇は決断した。
 国鉄完乗の記録を紀行文として書いてみよう。
 そして、それを本にしたら、退職しよう、と。

 宮脇俊三50歳。中央公論社重役。
 退職するにはリスキーではあったが、宮脇の意思は変わらなかった。
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863 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:20:27 ID:cMtupN3U0


         / ̄ ̄ ̄\
         /        \
      /   ─   ─  ヽ
       |   (●)  (●)  |           酒が飲めなくなってから、
      \   (__人__) __,/           筆の走りもいいお。
      /   ` ⌒´   \
    _/((┃))______i | キュッキュッ
 .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
 /  /_________ヽ..  \
 . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 重役としての仕事の合間を縫っての執筆……
 普通ならば、遅々として進まないイメージがある。

 しかし、意外にも執筆はスムーズに進んだようだ。
 当時健康診断で肝臓の数値が悪くなり、酒が飲めなくなった、というのが、
 プラスに働いたようである。
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864 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:20:59 ID:cMtupN3U0

     _.. ‐'''''''''''' ‐ 、
   ,r'        \
   / ⌒         ヽ,
  ( ●)    ⌒     ..i
  i.     ( ●)    .|
 . \(_入_ノ      /          常務取締役になったお。
    \______/
    ./ゝ/ノ:::::::::::::::::\
    |ノ//::::::::::ヽ,::::::::::|
    |^::::::::::::::::::::::|:::::::::|
    |^::::::::::::::::::::::|:::::::::|



































































    _.. ‐'''''''''''' ‐ 、
   ,r'        \
  /_,ノ  ,,       ヽ,
  ( о) ミ ヽ、,,,_    ..i
  i.   ミミ( ○)    .|       でも、2,3ヶ月したら、辞めちまうつもりだお。
  \(_入_ノ      /
    ノ__,,/,____/
    ./ゝ/ノ:::::::::::::::::\
    |ノ//::::::::::ヽ,::::::::::|
    |^::::::::::::::::::::::|::::::::::|
    |^::::::::::::::::::::::|::::::::::|
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 1978年1月。宮脇俊三、常務取締役に昇進。

 もっとも、宮脇の腹の中では、この数ヵ月後に辞めるつもりでいた。
 原稿執筆も終わり、本の出版が数ヵ月後に迫っていたからだ。
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865 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:21:20 ID:cMtupN3U0


                   n
                   l^l.| | /)
                   | U レ'//)
      ___      ノ    /
    / ⌒  ⌒\  rニ     |
   / (⌒)  (⌒)\  ヽ   /
 /   ///(__人__)///\ / `   /
 |       `Y⌒y'´    |   /
 \.       ゙ー ′  ,/  /           やあ、久しぶりだお。
  /⌒ヽ   ー‐   ィ  /
  / rー'ゝ        /
 /,ノヾ ,>         イ
 | ヽ〆          |
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 この頃、宮脇は、ある人物と会っている。
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866 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:21:35 ID:cMtupN3U0

         ,;彡ミミミ;'""'''""'''""""'''''""''彡ミミ;,
         フ彡彡;;, ヽ、,, ,..:::..  ,.:'   ゞ;;,ミミゝ
         ';彡ミシ,;r==::;,,':.':::::::..,,,;r=ニニゝ;,,ミ7"'
         "'';;彡'",;;;;;;;;;;;;;;,ヽ:::....r;;;;;;;;;;;;;;;;;,,Y"'ヽ,
         /"'iシi,;;;;;;;;;;;;;;;;;;',l::::"''!;;;;;;;;;;;;;;;;;,ノl⌒"l,
         ,i /,;"ソヾ::;;;;;;;::ノ.l:::.."''ヾ:::::;;;;,''"::l ノ ノ
         i., y 'l,  ....:::::::l',;'' ;,, ヽ、   l〆/
          \ヽ;'i:.   "',;':::::::::....ゝ "'ヽ.,:l /"
           \,'l..     "':::;;;'''""     i''                宮脇さん。
            "l,::..             ..:::l
             l:::...   ー --  ‐ '"  .::/l
             'lヽ、.::   ""     .:::/ .l
              l;;;;;ヽ、 . :.: :::. . : ..::../  l
            ,r'"l;;;;;;;;;ヽ,,;;,,;,;;;;;;;;;;;;;;/   l"';,
             l;(く;l..:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''"" ,;;l)):l
            l;;,"''ー-::;;;;;;;;;;''  _,,,...r'':::::::;;ー;,,
          i''"";ii;;:::::::::::::;i::i:ヽニニン,i,;:,:::::::::::,;l'::ヾ:'i_,,
 __,,,,,,,.....:.....,i"::::::::::::::;ii;:"'t.,::::::::;;;l   /:::::::::;;;;::i'i::;;:::ヾ:::::ー―- ...,,,,,
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                【粕谷一希】

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 粕谷一希。中公労使紛争の際に、「中央公論」の編集長を退いた人物である。

 その後、1970年代に「中央公論」編集長に返り咲いたものの、
 1976年にさる作家の作品を部下が掲載の差止めをしてしまったため、責任を取って辞任している。

 粕谷は、この3月で退社することになっていた。
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867 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:21:47 ID:cMtupN3U0

         ____
        /⌒  ⌒\
      / (⌒) (⌒)\
     /  ::⌒(__人__)⌒::: \
     |       |::::::|   ,---、         やる夫も、近々退職するんだお。
     \       `ー'   しE |
     /           l、E ノ
   /            | |
   (   丶- 、       ヽ_/
    `ー、_ノ

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 二人は、会社の食堂でコーヒーを飲みながら、いろいろと話をしたようだ。
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868 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:22:01 ID:cMtupN3U0


        __
      /..::::::::::::::..\
    /..:::::::::::::::::::::::::.\
   /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
   | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |       嶋中さんという人はしょうがない人だお。
   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
  ,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...`丶、
  ノ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ
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 「嶋中さんという人はしょうがない人ですね」
 そんな宮脇らしい台詞で締めた、と粕谷は後に自著で綴っている。
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869 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:22:18 ID:cMtupN3U0

            /{ /{/し──ァ
         /  "´        ∠___
.         }V  /              /
.       刈 ,、, ,, -‐ー== 、       ` __、
.         V  "        ミ          ヽ
         /    /    ≦       ミメ、
.       γ 、 γ く¨ヽ  `゙ミ  , ー   /
          { /¨゙{{  }} ̄ ̄ ̄厂ノ/¨ l /
        У   ゝ- ''     ヾ' ヽ ノ:/
.          ヽ ‐ '   \    ミ  / /
.           . r‐ 、__ヽ\ 、 ミ  ´ }ミ′
.           l `こ ̄´    ヽヾ/   i{__
.           l i i!   ヾヾ  -‐ '  ......::::::::ヽ
        f:`::::==┌ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
.          |:: ト-r‐ | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
         ..:弋ノl :l  | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l、
   ::::::::::::::::/ /:└‐j____:::::::::::-‐:::::::´:.
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 のちに粕谷は雑誌「東京人」を編集、出版する。

 宮脇も幾度となく「東京人」には寄稿をしており、表面的には和解したようである
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870 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:22:33 ID:cMtupN3U0

            /   、_/_  l     `` ‐- 、
          /   , -─/-、  !         `ヽ、
         /   i  _/  ,'  、_/__ /   !   \      _ _, ----──‐‐--
        /    ` ̄  /   / / ̄   l     / ̄  ̄
      /         -‐′  ,'      | | ___ /     ,
     /        __/__  └---   l,イ´  /`ヽ.   /  -─‐
    /         /   , ヽ        l.  /   丿 /   ヽ、
  /        r‐-、 /   /  l    '  /   '´ /      `
 /         ヽ  X.   /   ,!   -L. /     '´
/           `´ `    /   ー|ァ'       ,      、__/
       ___         /   ,. -‐ァ、_    /        /  ̄_
      ./⌒ ⌒.\        / .,i    /  /      ./  ,   `   /
     /(●).(●) \       `7´     i     ,!  /   !       /
     /  (__人__)   .ヽ      ./      ヽ._ ノ   /     \     /
ヽ.    |   |r┬-|    |    . /                 ,. --、   /
  \ ヽ、_ .`ー'´ ____/.     /     ./     /    /  /   ト. /
   ヽ、_               /     ̄フ ̄フ / / / ―+‐./`ヽ、_/ l /、
       ̄ ̄``ヽ、      /     /   /  V  .,イ /     // i
            \.     /             /.V ァ′     //   |
             ``ヽ./          ___./     //    l
                 ̄  ̄  ̄ ̄  ̄ ̄     /      /ー'  ̄  ヽ
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 1978年6月30日。

 中央公論社常務取締役宮脇俊三、退職。
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871 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:22:46 ID:cMtupN3U0


       ____
      / ー  -\
  .  /  ( ⌒) ( ⌒)               .. -.‐ー- 、
    /     (__人__)ヽ             /      ヽ
 .  |       `⌒´  .|            / / / ヽ ヽ ヽ
    \.____ 、__ ___/            レレ;,i i  i  i  i
   ,r´:::::::::\ゝ▼ノノ::ヽ、            i.0 .| レ  i  i }
   i:::::::::,::::::::ヽ¶|/::::,,:::|        .     フ i レ レ i i
   |::::::::|::::::::::::::::I:::::::i:::::|        ___ `ー从 i レ レ i
   |::::::::|::::::::::::::::I:::::::|::::|      ,r'⌒ヽ   ゙.{” レ レ レ 从
   ヽ:::::ヽ、;;;;;;;;人;;;;;|;;ノ      {(.◎)}__ノ レ V V ノノ/|
     \;;;;;>ノ::::::,':::;;::ノ       ̄ ̄ ̄と__ノ     /ノ
     |::: ̄":::::ノ::::::/               }_,,,,,,,,_/
     |::::::::::.:::/:::::/                ノ ̄ ̄ ̄ヽ
     |:::::::::::/:::::/                /,,,,/,,,,|,,,,ヽ,,,〉
     |::::::::/:::::/                 ヽ   .|  /
     |::::::/::::/                   ヽ   | /
     L”つ、つ                   ヽ .| /
                             ヽ |/
                            _ノ''」.」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 退職祝いとして、記念品と花束をもらったようである。
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872 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:23:04 ID:cMtupN3U0


            |                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            |                | |二二二二二二二二二|| |二二二二二二二二
            |                | |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|| |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
            |                | |==================|| |================
.           ┏━┷━┓            | |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|| |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
.           ┃      ┃   ∧_∧      .| |==================|| |================
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    /  |  | ̄ ̄ ̄ ̄|\ (|| ̄|| )     .| |======| |二二二二二二二二二|| |二二二二
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 |  ..|  .゙|  | 時刻表二万㌔発売中 |  |       | |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|| |lllllllllllllllllllll
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 退職から10日後の1978年7月10日。
 河出書房新社より、「時刻表二万キロ」発売。

 マニアックな紀行文だが、そのマニアックぶりが評価されて、ベストセラーとなる。
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873 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:23:18 ID:cMtupN3U0



    / ̄ ̄ ̄\
  /        \
 /    ─   ─ ヽ
 |    (●)  (●) |        流石に中公にいる間に、本を出すのは、
 \  ∩(__人/777/        中公に対する裏切りだと思ったんだお……
 /  (丶_//// \
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 この10日間は、ささやかだけど、宮脇の中央公論社に対する義理立てだったのかもしれない。
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874 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:24:19 ID:cMtupN3U0

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

なお、明日番外編を投下する予定です。



875 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2012/09/15(土) 20:26:35 ID:CetT0.5U0

乙でした 大人だねえ
俺だったら絶対罵り合い→殴り合いに発展してると思うわ
考え方の違いで片付けるにはいろんなことがありすぎた関係だし


876 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2012/09/16(日) 12:09:43 ID:N8Nj7gxA0

乙です。ようやくここまで来ましたか。
久しぶりに種村を見ると原点回帰というかなんというかホッとするね。
宮脇の周辺人物中心だった初代スレの頃と違って、文壇全体に話が広がった今では端役感が否めないけどw


877 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2012/09/16(日) 12:38:07 ID:K7Rk/Qwk0

乙でした
国鉄全線乗りやがったのか、このオッサンは……何が彼をそうまでして駆り立てたのか


878 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2012/09/16(日) 13:07:49 ID:jAOnQ/0g0



今こんな大人を見ないねぇ。






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