合いの手カット機能実装試験中(2012/1/8分以降の記事のみ)/  

スポンサーサイト


タグ:
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    前の記事『現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第22話 【「1970年11月25日」……第8話】』  
    次の記事『現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第20話 【「1970年11月25日」……第6話】』  
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第21話 【「1970年11月25日」……第7話】


タグ:
704 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:00:16 ID:OBjDZWqw

お久しぶりでございます。

それでは、久々の投下。

現代文学のちょっとした裏話。


 
    前の記事『現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第22話 【「1970年11月25日」……第8話】』  
    次の記事『現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第20話 【「1970年11月25日」……第6話】』  

705 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:00:36 ID:OBjDZWqw

【「1970年11月25日」……第7話】

           ∧:::::l: ::l::::::i::::l:::l:::::l:::リ:::::i:ノi...l|i!l
            ∧  =‐_-_⊥⊥ --‐ スィi::!...|i!l
            ∧  ヒォ::ァ‐ミヽノ ,ィtチ_ノl::l...|i!l
             ∧ lヽー'´/  l`¨  i::l |i!l
             ∧::',      ,. 、!   /::リ |i!l
              ∧::ハ      ソ /::/l |i!i
                ∧      ヽイ ,':::/ ...|i!
                 ∧   ‐ "¨ ノ/-V   |i!
                 ∧ 、 `¨´./ヽ    .|i!
                 ∧ /`゙ ー ' ./i __,、__
                 ∧  ヽ |  //   ヽ ヽ.
                 ∧  l i / 、 ヘ  「`ヽ i\、
                 ∧    ハ. i  |  i ̄ハ.リ、  ̄|丁)
                  ∧  /ハヽ. ヽ ヘ     ̄ ̄
                  ∧  ム、__>ヽ、\ )
                   ∧,′    ハ|i
                   ∧       |i
                    ∧      |i
                    ∧      |i
                     ∧     |i
                     ∧     |i
                      ∧    |i
                      ∧    |i
                       ∧   |i
                       ∧   |i
                        ∧  |i
                        ∧  |i
                         ∧ |i
                         ∧ |i
                          ∧|i
                             / |┤
                          ◎l┤
                          ├l┤
                          |_|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 その男が、電話でたたき起こされたのは、その日の13時のことだった。

 澁澤龍彦。小説家であり、フランス文学者・翻訳家である。
 エロティシズムを追求し、特にマルキ・ド・サドの著作の翻訳や評論で有名である。
 法律に詳しい人なら「悪徳の栄え」事件の被告人といえばわかるかもしれない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


706 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:00:55 ID:OBjDZWqw

-─v──‐-  、
ァ::::/::-──--:f芫}.__
::イ:'、`丶、:::\ゞ=ヘーヽ、
::::{::::ヽ、:::::\:::::\:::::ヽ、\
::::|::::、::\:::::::ヽ:::::::}∠、ヘ (ヽ
,ィテミ:ヽ::::::\:::::j/frッ}ハ:ヘ。 `}
、l_{_ノ:::::\::::::≦__} Y´  '.:ヘ ハ
::ヽ::\厶斗匕ミ ,u \  Y:ヘ |  
:::::::\::\代㌻"   ;:_} ト、∧|  
:::::::\:\:: ̄、u   _ ノハ iV广l           ・ ・ ・ ・ ・ ・
> 、:::\::\:::\、 {彡'´ノノ`Y }
ト、 ヾ `ー- \_.>ー─彳} リ∧ 
Ⅵ、 oト、 「l}|≧ェェェェィ/ | }l| 'ーl
゚ ヾゝ{、  (_0)─ァ´ /ヽ |ン }) |    
) r0<ヽ、@、/ /     / /、 八__   
`く、  \/ ∠--、ァ=q/ /∧》ァ'´/
o  > 、○ヾ>、- 、_`Ⅵ//{// 〃 /
    0 \  ヾ>、   \{イ ヾし /
-() 、     ヽ  }A  __>‐;:,:└{_/
 |  \  /´} l|}/ >-ァ /}ヽ__ _:;:
}]  ○ /)^i 〈_/ / / / j´}L_}_}、
l|    〈〈__ヽーァ'´   ´ノ/ / 7 } 〉}
」    ()ヽ と´_}_r一彡´ / / / / /
○     `ー─r ´  /< -一'"´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「この痛恨やる方ないニュース」を知ると、澁澤は仕事も何も手につかなくなった。

 そして、何も考えぬまま、ペンの動くままに追悼文を書く。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


707 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:01:15 ID:OBjDZWqw

                   _,. --──--、
                 /:::::... >:::::::::):::::\
                /::∠:........ y:´::く::::::::::::ハ
               ./::::::::::t::...:::::.::::::::::':\:::::::::::ハ
              /::::::::::::::八:::::::_:::::.......::::!:::::::::::::!
              !::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ-::::':::::::::::::::::!
.             !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_::::::::!
             !::::::::/>ァ-、:::::::::::::::::::::::::::r '´ )::::::!
             .!:::::::::ト:、_...イ::::::::::::::::::::::::::ト-イ:::::::::!
             !:::::::::::::r、:::::::::::::::::::::::::::::::_;-;::::::::::::!
             !::::::::::::!ヽこ_ー--─ こン_´.」::::::::::!
             .!:::::::::::とイマッ>ヽ   ノ<チマ ソ::::::::::!            三島さん。
              ∨:::::::!`' ̄ ン  ilヽ` ̄`.!:::::::/
              ヘ::::::::!     ;'! l     !:::::/             あんたに、序文をお願いしたい。
                >:::::!     、 ノ   ./:/イ
              /l::::i、:!   ─--一  /イ、 \   //
             /   !:::l `ヽ、 ー一 /| liト   \/  L
           /-一 、i{∨〈?、 `ー イl |l  i| 」 rヘ      \_
       _rク'´    < )`ヽト 、\fl-| レニシ、lノ八 Y       lノ ̄ - 、
   _,. ' ´ `´     .レr──- ` 、` | r'´ ∠ - '´`ート、-l|   l     lハ
.  /. r )l|   r 、    .l と>ー─- ____,-─ ┐  |   |   ハ    ,ハfl ヽ
 /  ヘ|    7ノ    l| l             |  l|   l  Y    Y|}  l
. ト,   l         l  l             |l  |    l    _   /  |l
. .l    l _      ( 八  ト 、          ノ  ト )   l|  | ( )  /  l|
  l    .レ'         ヘ ∨∧、       /l  |    |  l  |  /   /
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 澁澤龍彦が三島由紀夫と出会ったのは14年前のことである。

 当時、澁澤は「マルキ・ド・サド選集」を出版するつもりであった。
 その序文の執筆を、三島に依頼したのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


708 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:01:31 ID:OBjDZWqw

             / /  
''´´´ ̄ ̄ ̄` ー--、_   ̄
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.ヾ、 
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾ  ヽ
;:;;::ヾヽゞζ)ヾ゚''心,ヾ;:;:、;:,, '゙ 
;:;:'         ハソ  ''!ヾ  
;:;:.';       .ノ´)ノ   !  
;;::;:/〃二二ーーー-t   fー-,,!  
;;:/   r==f ̄ ´  ∧<''  
リ    、迅y. ´   K庁 !            ほう、コクトーの「大跨びらき」を翻訳した澁澤君が、
イ            ヽ` !            マルキ・ド・サドを訳すのか……
             ヽ .!
          __ ノ |             それは面白そうだ。
           ´  l             ぜひ、序文を書かせてくれ。
ヽ        ー=二ア  j
 ` 、     、____,   /
    、        /
  、   、    ! /
.  '     `,,ーtー´
..  `.       !
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 澁澤は、当時の文壇において、
 ジャン・コクトー「大跨びらき」を翻訳したことぐらいしか実績がない、無名の存在だった。

 また、当時の文学の世界において、マルキ・ド・サドは「俗悪なポルノ小説家」程度の認識しかなかった。

 それを考えたら、三島に序文を依頼するのは無謀であったし、
 また三島が序文を書くとは考えにくかった。

 しかし、三島は、この申し出を快く引き受けた。

 三島は澁澤訳の「大跨びらき」を読んでいたし、
 また、後に「サド侯爵夫人」を執筆するように、マルキ・ド・サドの著作にも興味を持っていたのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


709 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:02:10 ID:OBjDZWqw

            _. -=ニ::_Z ̄ニ=-  .._
        / (:_: ;r'": :/:: ̄:7''ヽ:,r': ̄`ヽ、
        /: : : : : :ヽ、:_(_: : : (:: : : :\,r=‐':"⌒ヽ._
      / : : : : : ; ': : : : : : ̄::ヽ、__/: : : : : l: : :/ミノ
     ' : : : : : / : : : : : : :__:ヽ_: /:: :l: :l: : : : l : ゙‐'ヽ
     l: : : : : :;' : : : : : : (((//゙ハ、 : l: :l : : : l: : : l : ',
.    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : :`Vノ : l: :l: : : ,' : : ;': l:ll
    l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|   
    l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|   
.     l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|
     '; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :|   
    /´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|   
  / ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′   ',ノl: :j        三島さん。
,r‐{   , \ll : : : : : : : :l: :| :.           ∨ノ:|
  ! ¶′',  r、\: : : : :::::l: :| :.      .._ /´): :l        近ごろ、兵隊ごっこはいかがですか?
 ¶′   \ ヾ>、\: : : ll: :|  :.       __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :|   :   ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :      ̄「V/
 ¶′   \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
   ¶′  \ `〈>、 ヽ`:r'"||  ,タ ¶ }
¶′    ¶′ヽ  `〈>、ヽ i || ,タ  /


710 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:02:28 ID:OBjDZWqw

                                   / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、
                                  /  .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::::::::::::::::::::::::::'.,
                                  l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::::::::::::::::::::::::::',
                                   Y           ,!ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                    |          くミ::::::::::::::::::::::::::::::::::l
                              .     |、__  ャー--_二ゞ `i::::::,ィ ,、ヽ:::::::::::::::!
                                   ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;//ヽ ハ:::::::::::::::;
                                    ゙ソ   """"´`   "´ 2ノ/::::::::::::::j
                                    /              i  ,  /|::::::::::::::ノ
                                   〈´ ,,.._          i  't-'゙ |:::::::::::リ
                                    ヽ,,、'~`      U ;   l    ヽ:ゝj、
                                     ゙,_,-、_,ノ`         /!   /  \
                               |/      ゙,`'" ,,y       /;   /
                               |/  彡  ゙、-'       / ;   /
                                 /|/     ゙、       / ;;','   /
                                  /      `ー ─ぐ;;;;' ,'  ノ
                                  |          ヾ_、=ニ゙、、,,_
                                  |        ,、-'´
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 それ以来、その日まで、澁澤は三島と親しく付き合った。

 2人の親しさを表すあるエピソードがある。
 あるとき、澁澤は、三島に面と向かって、
 「近ごろ、兵隊ごっこはいかがですか?」と聞いたのだ。

 「兵隊ごっこ」とは、「楯の会」のことであり、
 澁澤は三島に面と向かって、半ば皮肉ったことになる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


711 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:02:44 ID:OBjDZWqw

                       __
                ,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
                /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
             /;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
             ,!;;;!゙`''~^~ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
             |;;;|      ノリ     ミ;;;|
             _ゞ;! r─-- 、  ,rェ--- 、ミ;リ
               !ヘl;|. ぐ世!゙`` ,ィ '"世ン 「ヽ
              !(,ヘ!   ̄'"  |:::.`  ̄  ,ドリ
              ヾ、!      !;     ,レソ           澁澤君、見送りに来たよ。
               `|      ^'='^     ム'′
                  ト、  ー- ─-:  /|
              i| \   ===   ,イ.:|
              i_、\  ;   /リ.:;!~_>.;
           .  `T''=:,,`Y'`ー─''゙<_. ̄,r}ノ      _,,,,,,_____    ,
         ゙̄l__, 、__,r儿'~゙i.| | :| f⌒゙し|(_ノノ|゙i、__  _  ,i'`ー---===,,,,,_二ニニ''ー-z=
      =''ニ"~//''''''l,ヽ二ノ,!.| :| ゙、__,,>''"-'^ー`'''ナト:┤                「  `i'
      、_  l゙ l   ゙i Tーァ' ⊥.!`ーァ ,r'"    ,,ィ/,,ーケ┬┬-,ニ,,__        |,,,,ィ-f
       `ー:、ヾ、、 ゙i 'Y"r⌒ヾ゙V ,r'"  _,,ニ-''" ̄ ,,,-|`|ヾト、| |ヾ |、,「 ̄| ̄「~「~「~| トト;|_
      \  ``''=-<⊥lLニ-┴┴''" ̄    ,,-''"  ド| | `|、| ミ|、,|ヾミ| ミ|.ミ| |、」 | | |
        `ー、_        ̄ ̄ ̄    _,,, -''"     |`|、|ヾ|ヾ|ヾ |ヽ| 、 |  |、.| | |゙| | |'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 澁澤が、最後に三島と会ったのは8月31日、羽田空港のことであった。

 澁澤が初めてヨーロッパ旅行をすることになりその見送りに三島が来たのだ。
 「楯の会」の正装である真っ白な制服制帽で。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


712 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:03:04 ID:OBjDZWqw

    /::::/:::::/:::::`ーラ:::::::::::,.ィ:、\ヽ.
    ,'::::;':::::/:::::::/:::::::{:_;.ィ:´ヽ._::::):::';:ハ
   ;:::::;::::::;':::::::/:::::/:i::::i::l::ヽ::::l::::::::i:::',  
 .  i:::::i::::::i::::::::l:::/l::::::l::::l:::l::::::i::::l:::::::l::::i  
 .. l::::::l::::::l:::::::::i':::l::::::l::::l:::i::::::l::::l::::::i::::;i  
 .  !:::::l::::::l:::::::::l::::l::::::i::::l:::l:::::l:::リ:::::i:ノil  
 .  l:::::!l::::::!:::::::::ト=‐_-_⊥⊥ --‐ スィi::!
    l::::l:l:::::l:::::::::::ヒォ::ァ‐ミヽノ ,ィtチ_ノl::l  
   l::::l::i:::::l:::::::::::lヽー'´/  l`¨  i::l
    `ヽ\:::l::::::::::::',      ,. 、!   /::リ         三島さん……面白いことをする。
    |.\::::';:::、:::::ハ      ソ /::/l
   /.i. h丶、:::ヽ::::',     ヽイ ,':::/
 /  ', ヽh ` <:::::゙、 ‐ "¨ ノ/-V
   / \ \ト.、 `マ^、 `¨´./ヽ
  /.    丶、ヽ- ニ/`゙ ー ' ./i
    r‐ ¨ ̄  ̄ ̄//ヽ |  / l
 .    i  i'⌒¨ ‐一'、  l i  l l
  \ \ \     ', .//  l l
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「空港のロビーに現れた氏は、真っ白な「楯の会」の制服制帽で、
  いやが上にも人目を惹き、私たちを存分に楽しませてくれた。」

 澁澤はそのようなことを書いている。確かに真っ白な制服で来れば目立つのは間違いない。

 三島は、出立直前の澁澤に海外旅行におけるさまざまな注意をしたという。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


713 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:03:20 ID:OBjDZWqw

                                      i
                                      .i|
                                      i:|
                                      .i |
                                     il:|
                                    _,」k、
                                   〃 :いヽ
                                  __ ヾ 、_ノ l
                       __       ,ィ:´    ̄`'' ‐ケ             __
                          ̄ ― :__/ ィェェェkt、     ヽ   __――  ̄
\                            .l   ;.::        |― ̄                         ./
 / ̄ニニニニニニニニ二二二二二二二ユ―― ';   ':;      rf――――ィュt―――――ニニニニニニニニニニニヽ ̄ヽ
              '     レ ̄ 〃´`ヽ`t`ミii>ヽ         レ仁‐h‐〃^ヽヽ ̄ ̄ ̄l ̄
                     il   jj   /il ̄` `''ーo‐fィィィ― ''└ ''´:il li   jj 〉
                     `ー‐´  rhTrh   riih rhih      rhiirh`ー´ ´
                           '-' .'-'    "" '-'-'     ' ' ''



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ヨーロッパに旅立った澁澤が日本に戻ってきたのは、
 それから2ヶ月ほど経った、11月7日のことであった。
 事件の2週間ほど前のことである。

 澁澤は、帰国後すぐに三島のところにあいさつに行こうと考えていた。
 しかしタイミングが合わず、11月25日に至ってしまった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


714 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:03:48 ID:OBjDZWqw

     _/:::::::::::::::'´:::/::::::::::::::::::::::\
.   /::::::::::;:-─'´::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
   ;'/::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
  /--イ::; '´`Y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
  /::::::::::l   .ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
 !:::::::::::::ゝ-:':::::::::::::::::::::::::::ノヽ::::::::::::::::::::::〉
. !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨、∨::::::::::::::/
.  !::::::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::「〉ハ::::::::::::ハ
.  ∨::::::::::::::/  仆:::::::::::::::::!、' ル::::::/ ヘ
   \::: イ//ゞト. ∨:::::::::::! Y:ハ:::::/   とY
    ~冫,  `Y::.  ∨:::::::::! ∨レ'ノ  rc  ヽ              三島さん……
.      |      ',:::::::::!. ,'. /  /|lハ_ノ eヽ
.      l  _    .',::::/ / /  //{r 、〉e  .∧
      '─ヘ,_ァ フ , .∨ // /ノ >-'、   e 〉
         ':,:ーイ   /).// /   l}  ノノハ
          レ' `ー ' .;':r r- ´   e,. '´ '´ e  \
               「¨ }、 ー- ┐ ,. ' '´ \ _____.ハ
               l. k'_. >7 レ' / e  /    e l
              ;' /   /  ;' ;'    /   e   .l
              ;' /  ./ イ /j   /       e.l
.             ;' /  / / /} 7 e /         |
.            ;' /  / /ノ ム.   /   e / 、e   |
.            ;' / / /〈/`) l}  /     /r+/   l
           .;' l::/ / ゝ _ノ e /      j:l ト、|  e/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「三島氏の自決の報に接して、まず私が最初に感じたのは、
 「とうとうやったか……」という沈痛の思いであった。
  予期していたといえば嘘になろうが、
  少しでも氏の最近の言動に関心を持っていた者ならば、今日の異常な最期は、
  あながち予測できなかったことではなかったはずなのである。」

 澁澤は三島の訃報に接し、このように書いている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


715 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:04:11 ID:OBjDZWqw

 | 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i  | |
 〉―_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
 |,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ 
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|
. r´`ヽ /   `"""`j/ | |くゞ'フ/i/               うむ。
. |〈:ヽ, Y      ::::: ,. ┴:〉:  |/  
. \ヾ( l        ヾ::::ノ  |、                三島由紀夫はどこか気が狂ってる。
 j .>,、l      _,-ニ-ニ、,  |))  
 ! >ニ<:|      、;;;;;;;;;;;;;,. /|       ___,. -、
 |  |  !、           .| |       ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ|  |  ヽ\    _,..:::::::. / .|       `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.|  |    :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_   _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
..| |  |    _;;;;;;;_ ̄ ̄   |   ̄ ̄ / _,. く  / ゝ_/ ̄|
:.ヽ‐'''!-‐''"´::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_    / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
  \_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ /  /  .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
\    ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/  /  /   ̄   )  ノ__'-ノ
  \    \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/  / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽ ヽ
ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /    ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_   ヽ  |ヽ

         【佐藤栄作】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 三島の事件に関して、時の総理大臣・佐藤栄作は、
 「気が狂ってるとしか思えない」と発言していた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


716 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:04:35 ID:OBjDZWqw

  ::::::/ ::::::l:::l::::::i::::::::::::::l:::::::::::::':;::::::::::l::::::::::::レ' ノ!:::::::'.
  :::::;::::::::: |::i:::::::'::::::::::::::i:::::::::::::::';::::::::l:::::::// ハ:::::::i   
  ::::{:::::::::::i:::'::::::::';::::::::::::'::::::::::::::::l::::::::レ'  / /  !::::::l   
  ::::l::::::::::::i::::':;::::::'、::::::::::';:::::::::::::>'"、::::、/,.ィオ´i !::::::l   
  :::::!::::::::::::i:::::::ヽ:::::\:::::::>'"    i   ィ代zソ ノ´ l:::::::!
  :::::l:::::::::::::ト`ニニニ 二==::::...、       ̄    l::::::!  
  :!:::i:::::::::::::',   -、_、_,斗‐-  ̄     ', \    |::::::i
  :l::::' :::::::::::∧ ,.ィ弋zヒノ / ..::}     ∧ !     !:::::l      日本国民があんまり「基地外」じゃなかったから、
  ::!:::::':::::::::::::∧ー---, ´ . :.::/    /   ,    │:::!  
  ::i:::::::';:::::::::::::::'、      . : :.:    ,    '、    l:::::!      三島さんがせめて自分ひとりで
    :::::::::';:::::::::::::'::ヽ          :     〉   !::::!      見事に「基地外」を演じてやろうと、決意したのさ……
  ::::';:::::::::':;:::::::::::':;::\           ‐‐  ,/   │::;
   ::::':;::::::::::ヽ::::::::::':、:::ヽ              __/l i  j:::;'
  \:::ヽ ::::::::::\:::::::\::::\       / '´ ノ /:/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 澁澤はその佐藤栄作の発言を引いて、
 三島がこのような「狂気」の道を突っ走ることになったのかをこう解釈する。

 「日本国民すべてがあんまり気違いではなさすぎるので、
  三島氏は、せめて自分ひとりで見事に気違いを演じてやろうと、決意したのに違いない。
  そして氏はいつしか完璧な「気違い」になったのだ。」

 サドを通じて知り合った、二人の永遠の別れであった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                                                 【つづく】



717 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:05:28 ID:OBjDZWqw

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。


718 : ◆KcxXifcWsc:2011/07/17(日) 21:08:07 ID:OBjDZWqw

次回の投下は20日(水)の21時を予定しています。

あと、「1970年11月25日」ですが、あと4話で終わる形になると思います。


719 :名無しのやる夫だお:2011/07/17(日) 21:10:17 ID:vDivznHA

乙でした


720 :名無しのやる夫だお:2011/07/17(日) 21:20:41 ID:K4GCFUTc

乙でした。残り4話ということは、さらに四者の目線からということかなあ。





第22話へ進む




第20話へ戻る




まとめ一覧へ




 
関連記事

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する












上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。