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現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  終戦記念日特別編


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1 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/14(日) 23:49:43 ID:wCJn2lAs

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            ハ:.: :.リ⊥  ̄/イ´ ̄`  }ニ彡ノ:ヽ    .|     \ _,.、イぅ'! . .  , 〉 ,!′
         .   {! L ハ 〃Y   r===、 Yr‐ 、:.:.ハ   |      i | ヾ,ゝニ!   -=- /  
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                    「V´    ,⊥-==ー戈{ .  l    l      .   \} V (
           / /    \  ヽ    `ヽ                      |ミk  ,>' ´ ̄ ./ `>、
            , ′          \ ヽ       現代文学のちょっとした裏話   从ミ}イ  / / /   `フ、
        /     i、    ト、  \ハ       ハ                     , ´/ / /   > ´彡ノ~ニミ、
          /    i  i、\  ト、 ><i |   |   ∧     第 2 巻        ∨        _´彡 /:/  ヽ .\
       ' /  i八 _|_ ヽ\| ´ ,≧=ミ|   |     \   , -―――- 、._     . 从_     |    イ//,  ∧   }
         i/!  ii  ヽ|     癶rし'}ノ| / ` ヽ、     /           `ヽ、   トミ、 ` ‐- .i|, -,// .//:///リ,  l
        { | 八  {汽心     `丶,ィ'    ヽ  /                 \  トミ、   |  il ト l,' /{/ ,=示,l /´l ,、l
       八 {  ヽ.!、ヾ゚' ,        /   ,ヘ  |, '                     ヽ}}\\ l  il、o | ' |i 八少'! ノ,/ ||
         )ハ  }ハ     _     /  /  し/, ヘ                      ゝ、 ヽ  l   i|. リ   ´    l /リ l'
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                          / 丶      `ー-‐'´`ー-‐'′       /
                         /     >     ``ー- -‐'"        く     (偉大な編集者たち・その1)
                        /    /                     ヽ

 
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2 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/14(日) 23:50:24 ID:wCJn2lAs

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                  / ⌒ 丶           i
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               .|               ヽ       ノl l
      ;;;;:::-:::-----|                  ヽv-‐  i .l‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐--------:-::-:::-:::;;;;
      |||      |                       |     '! |                    |||
      |||      |                       i  . ノ .| 現 代 文 学 の       |||
      |||      |                     /   |                      |||
      |||      |                    /   l   ち ょ っ と し た   |||
      |||      |                   i   /   .l                    |||
      |||      |                   /   l                裏 話  |||
      |||      |                   /    l                      |||
      |||      |                   !/     l               (第2巻)ノ||
      |||      |                  ヽ   l                     ノ i||
      |||      |                    !  l                  / /!!!
      |||      |                    i   i .l                   /   / |||
      |||      |                     ! l               /    / |||
      |||      |                     l                /    /.....|||
      |||      |    / ⌒ 丶            .!              /     ./.. ..|||
      |||      |  /       丶         i   ノ.           .ヽ     /.   |||
      |||      |/           丶       /                 ヽ   /..   .|||
      |||                     ヽ     /                    ) /.    .|||
      ||l            _________,,ヽ |ノ _____         ノ       l||
      |l========三三三=================ミミ;;|彡==========三三三===============l|


※このスレは、戦後の作家たちのエッセー等から、その生き様をやる夫化したものです。

 その中でもある編集者であり作家の生き方をメインに据えています。

【前スレ】
現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1307188912/

これまでの話は、以下のまとめサイトでまとめていただいております。
「ぶらりとやる夫」様
 ttp://buraritoyaruo.blog79.fc2.com/blog-entry-386.html
「やる夫短編集阿修羅編」様
 ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-category-72.html


3 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/14(日) 23:51:42 ID:wCJn2lAs

         ::     :: : : : : ::: :.: .: .:.:.:::.:::; 、             | | i
          ..,,::::::.:.: .: :    : ::: :: : :: ::::::;  `・、          | | i
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          :.   "     ,;;.:.:.::;'´´´´´´´ii´´´´´´´´´´´´´゙| | i`ヽ_
           ゙:. _n__, '´_: , ‐-、 `ヽ_______ ii        `ヾl | i  { `ゝ
              ¶ i i      {{r、uj}     i i i ====== ニ| | i=!=
         ,. '´ li i_i  __∩ `ニニ´    i_i ト、__          | | i‐+‐
       r'´ ´(>r|‐r;i‐‐p=‐ ´ ̄ `   ‐‐‐=ヽヽ       | | i ii
       i'´l_`ヽi´i=ァ' / ´_____ ° 、    L_|! ̄}─r‐┬rl | i__jl_
       i (K); ii' / / /  l!D 51498 i!    〈l' `)iヽ! ̄`'''¬ー--i ┤!___
       i!: |ニ|i:;ijヽ ,' ,'    ̄ ̄ ̄ ̄     '   ! ! ̄`'''¬ー‐-i::::|..!___ ̄
       i!: l__jiノイij ヽ{ {‐、   (X))       :  i l ii ii ii i; ;: :::::i::::i::i ::
       i!i l:l  i   ', .   /`i!´   o  ij   ! ; ii ii ii i; ;: :::.:i:::.i::i ::         現代文学のちょっとした裏話
       i!i l:l  i   ' ,            ,'     i ii ii ii i; ::   ! !!i ::
       i!i l:l"""         ,,=、、          i!i! ;; ;; ;;   i ii:!          8月15日 正午より
       i!: l;|             {{幺}}           i!i!===‐-- ! !!: ___ 
       ヽ.:!      __________v ー'ヽ          i!i!      ;::::iョ      ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1313333383/
        ii |il________ || ___i[] ̄´ii ̄´;; 。__      i!i!__       iョ 
          `|i!_____:__ || ____jj。  ji_ o  __o   i「「´i         iョ 
         |ii ii ̄ ̄ ̄  ゚:ll l「 `  :                 iョ 
         jii lf、 0     jj lj_j                 ,'´` ,. iョ  ,... 
          {{ |p ii_゚j_j__ ヾ.__             ..  ;:: .: : .:  `''´ `ヽ 
    ,..     .`r‐rー r────┐゚゚         ,::´  `´`、       ∧ 
`ヽ._,'  `"ヽ.: .: ┼''ー'┘      |         r;'.:.::.:..    ;     ||1l 
         .;;\___二二ニニ!      ___/::.:::. : .    ゙;;..:.   .||‐| 
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4 :短編祭投票日は16日だお![sage] 投稿日:2011/08/15(月) 10:03:01 ID:9G3bvJqQ

編集ってのは何処まで手入れるんだろね。
添削したら別物やんってなりそうなモノもあるやろな


5 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:01:19 ID:XR3n4QoM

こんにちわ。

>>4
編集の仕事については、それこそここの編集者の考えによって異なるところもありますからね。
誤字修正レベルを超えることをしない人もいれば、かなり深く踏み込んでやる人もいる。
それこそ小説とノンフィクションで、編集のあり方が変わってくるでしょうし、新人作家とベテラン作家では変わってくる。

まあ文芸・書籍系の「名編集者」の多くは、
だいたい作家に「書かせる」ことが上手かったりするんですけどね。
このスレ的には宮脇先生が北先生に「航海記」書かせる辺りとか。


6 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:01:41 ID:XR3n4QoM

と、いうわけで、投下します。

現代文学のちょっとした裏話。


7 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:02:01 ID:XR3n4QoM

【あの夏の日のこと……】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 朕、深く世界の体勢と帝国の現状とに鑑み非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し、
 茲(ここ)に忠良なる爾臣民に告ぐ 


 朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり


 抑々(そもそも)帝国臣民の康寧(こうねい)を図り万邦(ばんぽう=あらゆる国)共栄の楽をともにするは、
 皇祖皇宗の遺範にして朕の拳々措かざる所曩(さき)に米英二国に宣戦せる所以も
 亦実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾するに出て他国の主権を排し領土を侵す如きは
 もとより朕が志にあらず然るに交戦すでに四歳を閲(けみ)し
 朕が陸海将兵の勇戦、朕か百僚有司の励精(れいせい)、朕か一億衆庶(しゅうしょ=庶民)の奉公、
 各々最善を尽くせるに拘(かか)わらず戦局を必ずしも好転せず
 世界の大勢亦(また)我に利あらず、しかのみならず敵は新に残虐なる爆弾を使用して、
 しきりに無辜を殺傷し惨害の及ぶ所、真(しん)に測るべからざるに至る
 而も尚交戦を継続せむか、ついに我が民族の滅亡を招来するのみならず、
 ひいて人類の文明をも破却すべしかくの如くむは朕何を以てか億兆の赤子を保し
 皇祖皇宗の神霊に謝せむや是れ朕が帝国政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以なり


 朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せざるを得ず
 帝国臣民にして戦陣に死し職域に殉じ非命に斃れたる者及びその遺族に想いを致せば、
 五内為に裂く且戦傷を負い災禍を蒙り家業を失いたる者の厚生に至りては
 朕の深く軫念する処なり惟うに今後帝国の受くべき苦難はもとより尋常にあらず
 爾臣民の衷情も朕善く之を知る然れども、朕は時運のおもむくところ堪え難きを堪え、忍び難きを忍び
 以て万世の為に太平を開かんと欲す


 朕は茲に国体を護持し得て忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し、
 常に爾臣民と共に在り若しそれ情の激する所濫に事端を滋くふやし、
 或いは同胞排擠互いに時局を亂り為に大道を誤り信義を世界に失うか如きは、
 朕最も之を戒む宜しく挙国一家子孫相伝え確く神州の不滅を信じ任重くして道遠きを念ひ
 総力を将来の建設に傾け道義を篤くし志操を鞏くし、
 誓って国体の精華を発揚し世界の進運に後れざらむことを期すべし爾臣民其れ克く朕が意を体せよ

                                  (句読点等、作者による改変があることをご了承ください)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


8 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:02:15 ID:XR3n4QoM


                  >              |_|    /
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          _______________|_|__
          | 【-i工!-------】       , -┬- 、   |
          |┌┬┬┬┬┬┬┐   /\ | ,/ ヽ;' |
      _「 ̄  |├┼┼┼┼┼┼┤   /ヽ/´ ̄`ヽ<'i   |
          |├┼┼┼┼┼┼┤   |,-l【121Ghz】l┤::| ̄Z_
          |├┼┼┼┼┼┼┤   ヽ,ゝ___X/  |
          |└┴┴┴┴┴┴┘     `ー--┴ ‐'    .|
          ┴───────────────‐ー┴ \l\

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「この度詔書が渙発される」
「15日正午に天皇自らの放送がある」
「国民は一人残らず玉音を拝するように」
「昼間送電のない地域にも特別送電を行う」
「官公署、事務所、工場、停車場、郵便局などでは手持ち受信機を活用して
国民がもれなく放送を聞けるように手配すること」
「新聞が午後一時頃に配達される所もあること」

前日午後9時のニュース、そして当日朝7時21分のニュースにおいて、
このような予告がなされていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


9 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:02:35 ID:XR3n4QoM


i    /    / |  \|/
|       /   \/
   /   / ,へ      _--                         (
\   /   Υ  -─  ̄                          (´~
  ヽ    -‐  ̄                            (´⌒´"
.  |   ── ──── ─ ─── ‐‐ ‐         ゝ-'´⌒´ ( (,,,,,
  /    へ、                      (´⌒''´`´   (,,,,,´(⌒ヽ
/   ゝ   ヽ    ヘ                (´~' (´( (⌒` (´⌒´
  *\  \    ヾ        ヘ            ̄ ̄`ー─── ─- - ---
  ヾ *    \     ヽ        ヘ
l   \ △     \     ヽ           ヘ
|   、     .,へ             ヽ              丶
    t     Υ  \     \       丶
.|    ヽ     .,ゝ、          \     ゝへ、
.|     \   l   l  \       \  l   l
 |    \   ` ´ /\\       ヽヽ /
 |            | / |\\         丶     /\ /\
 |      \    \|/  |  \         /  /\  \
 |       \   ヾ \ /     \       |    |   |   |
  |        \      `´         \     \   !         !
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
12時の時報の後、

「只今より重大なる放送があります。全国聴取者の皆様御起立願います」
というアナウンサーの声、

「天皇陛下におかれましては、全国民に対し、畏くも御自ら大詔を宣らせ給う事になりました。
これよりつつしみて玉音をお送り申します」
というNHKラジオを統括していた情報局総裁の声、

そして君が代が流れた。
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10 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:02:47 ID:XR3n4QoM

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君が代の後、
昭和天皇自らが詔書を読み上げた録音盤(レコード)が流された。

その後、再度君が代。

そしてアナウンサーが再度詔書を読み上げて、放送は終わった。
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11 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:03:09 ID:XR3n4QoM

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ミ//三//三//三//三//三//三//三//三//三//三//三//三//三//三/ λ
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現在の山形県長井市にある、国鉄今泉駅。
米沢と新潟県村上市を結ぶ米坂線という鉄道線の途中にあった駅である。

この今泉駅の駅前広場でも、ある男が玉音放送を聞いていた。
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12 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:03:26 ID:XR3n4QoM


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        /          {  {:::::::::::::::::::::} }        {  {::::::::::::::::::::::} }  \
      /           '、 ヽ::::::::::::::/ /        '、 ヽ::::::::::::::/ /      \
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      |                  /       ∧      ',               |
      |                  {       / ヽ     }               |
      |                  ヽ___/ __ \___ノ           |
      \                   ヽ   ´    `  '              /
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男の名は宮脇俊三。

後に中央公論社において「名編集者」として名をとどろかせ、
退職後は「紀行作家」として名声を得た人物である。

当時東大理学部地質学科在学中であった。
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13 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:03:43 ID:XR3n4QoM



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14 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:03:59 ID:XR3n4QoM

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      iハ       |       ´ ̄`     ´ ̄` l ∧::::::::.... : :.:.:.::::::::::::::::l l: : : : : : : : : :
      l ∨      |      ,_    _     、,,__.、 lハ `ヽ、::::::::::::::::::::::::::::l l: : : : : : : : : : .
     ∧ ヽ、_   |        `¨¨´         ',、   ヽ::::::::::::::::::::::::::l l: : : : : : : : : :
     / ∨    ̄` ' ー- 、  ⊂つ        ⊂つハ   ヽ: : : ::::::::::::::l l: : : : : : : : :/:
    / , '´:∨         `ヽ     (__人__) /´`ヽ     ト、: : : : : : :.l l: : : : : : : /: : ..
.   //: : :/ヽ、          ',  /´`ヽ、  ,.ゝ',"   i^ti    `ー- 、: :l l: : : : : :./: : : ..
.  《: : : / /: : ヽ、          '>i_,.....,_  ト,´o_,<.ト'"ノ、 /         ` ^' ヽ、::/: : : :
   \/  i:.:.: : : /`ヽ、       ゝ   `゙'ー--  --y'                   /  `゙
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 宮脇俊三。大正15年(1926年)12月9日、埼玉県川越生まれ。
 7人兄弟の末っ子である。

 当人は「渋谷育ち」ということが多いが、実を言うと川越で生まれている。
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15 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:04:18 ID:XR3n4QoM

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      r'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'i
      {;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}
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      |。‐,,,'''´-‐´` ̄‐;;;--`,,。‐|
       iヽ;'´>、,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;;;;;r'´ヽ ;r´`}
    ,,r;;{ヽ; ' ( ・`i'/i‐''''´! ・ } | r };;ヽ
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 r';;;;;;;;;;;;;;;;;`|     =、=      |'´;;;,r'´,;;;}        乃木大将は本当に戦争が下手だったな。
 { ヽ、;;;;;;;;;;;;|      _    |;;'//;;;;;ヽ,
´ヘ;;;、  ヽ'、;ヘ、 '´ ̄ ̄   ̄` ノ /;;;;;;;)ヽ /ヽ
 !、'' 、 ;;;;;,, ヽ;;;ヽ、    , r;'//;;;;;;;;;'''´//  ヽ
  ヽ;;;;;,,, ヽ、 ヽ;;;;`ー‐‐´;;'/;;;;'''''' ´/

         【宮脇長吉】

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 宮脇俊三が川越で生まれたのは、父、宮脇長吉の事情が強い。

 宮脇長吉。俊三が生まれたときは、陸軍大佐として、
 埼玉県所沢にある航空基地の気球隊長を務めていた。
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16 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:04:41 ID:XR3n4QoM


                             _ -‐' ̄ ̄ ー-、
                     _=──'´ ヘ ∩| ヽ ::::: 二ヽ
                   /二ヾ;;:::::::::::::::::::ヽ-、|.} 〈:::i:::::彡ーtミハ          __|__
          ,r──-‐^ー->´:´:::::::>,,,,=≡=:::::::::::ヽ )::/´    V::、           | _ノ  L |
         /:::::::::::::::::::::/´::::::::l彡三三三_三三::::::::〉、i´  ヽ ハ/            ─┼─
       i´:::::::::::::::::::::::;〈 ヾ:::::::::|彡 -二-─○‐-ミ::::::〈-'¨ _,='〉 ゙| |             _/\_
       |::::::::::::::::r-イヾiト、ヽ:::::: F‐'二─ ̄ ̄─ミミ:::::〉二  弋」 |
       |::::::::::_イ/ >ヽ、:: ヽ::::〉‐了ミ-_::::::::_>ノ::::l  `l- 、ヾイ               ‐┼‐ ┌┐
      _」;ィi'7´!;| 〉-:八::::ヾ::: ヽヽ_l} . r 。ヾ::三r 。ヾ:} 〉::〉≡i≡|                 |三|三|ノ_L
      (ヾ》ゞ'゙´::::`¨´| ::::::::::::::::::::::::::ト、__ー '  (:::::ー:':i_/::/≡i≡.ト、               ‐┼‐ 乂
     /::´::::::::::r ヘ >| : :::::::::〈 ̄\-、::::`ヽ__≦'__,ァ /人_/  |::ヽ               ニニl二二
   /::::::::::::::::::::::|_ノ::X:::::::::::::::::| \ \: ::::::::ヽ-- ´//\.─ v':::::::ヽ               ̄ ̄ノ ̄ ̄
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             ├‐//l   /ミ\X/              ̄^\〉 X^>-_,、
             ├//┤ / ̄::::`:Y                  \ / <,、/ri
             ト 二〉/::::::::::::::::|                   \ヘ_彡〈ト\
              }:::: : /::::::::::::::::::ヽ                          \ \
              ヾ_ミミ三_:::::::〉                         \ \
                   ̄ ̄ ̄                            \,\
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 宮脇長吉は、明治期の軍人にありがちな「武骨の人」だったらしい。
 日露戦争に従軍した際は、何度も決死隊の隊長となり、特攻を敢行している。

 俊三が生まれた頃までは、順風満帆の軍人生活を進んでいたようだ。
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17 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:05:06 ID:XR3n4QoM

   (゚д゚)ウマー
 (゚д゚)(゚д゚)ウマー     (゚д゚)ウマー
(゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)ウマー (゚д゚)(゚д゚)ウマー
 (゚д゚)(゚д゚)ウマー  (゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)ウマー
   |//         (゚д゚)(゚д゚)ウマー
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   |     ワーイ    /
   |   ∧ ∧    /
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   |  |  厨房   |
   |  |    号   _|
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⊂⊃             /\     ⊂⊃
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~~~~        \     \     /\/   \
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ヽ;:;:;:;:;:;ヘ    /;:;:r,'       , , ' ' _,,,-7'´・´~ } |//    ヽ;;:;:;:;:
  `'''ヽ;:ヘ   /ヽ○/` 丶 _ , , ; '  _/;:; /` ー ´  | /ヘヽ    "z;:;:;:;:;       観測用だから、大丈夫と思うが……
      ヽ_/: : : :":;:;ヽ、    _,,,r´;:;:;:;  `         |  入  z   "=;:;:;:
    /r'  `ヽ: :; ; ; ;:;`;:ー;:´;:;:;:;:;:'      ヽ      .|; ヽ \  三   {;:;:;:;:;:      なんかしでかしそうな気が……
    "z ヘ ´ヽ : ; ; ; ' ' ' ' '         r    / | ヘ  ヽ "   }:;:;:;:;:;
    ´7  ヘヽr ヽ ; ; ; ; ; ; ; ; ;     -=ヽ, /;     / |  |  ゞ   ;:;:;:;:;:;
   /,、   `\_ヽ ' ; ; ; ; ; ;              _   _/ ヽ|  |   ゝ   }:;:;:;
   ´,ト  "  | `;:;`、ヽ ; ; ;       , r '_´- ´  / ヽ ノ   |  /;:;:
   /:;:|  〆 | ヽ| ヘ |` 、 ; ;     ´ ´  ´ / 、ヽ / /|
 _,,ノ;:;:;:´|    |ヘ ヽ ヘ |  ` = 、 _    _  ノ  ヽ ヽ  } / ´ /


18 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:05:23 ID:XR3n4QoM

                                           (゚д゚)ウマー
                                         (゚д゚)(゚д゚)ウマー     (゚д゚)ウマー
                                        (゚д゚)(゚д゚)(゚д゚)ウマー (゚д゚)(゚д゚)ウマー
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                                           |     ワーイ    /
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                                           |  |  厨房   |
                                           |  |    号   _|
                                            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                                          _____
                                                          |  皇  居  |
                                        .     ザワザワ・・・        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                                         ∧
                                                        <⌒> ザワザワ・・・・
                                                        /⌒\
                                              _________]皿皿[-∧-∧、
                                            /三三三三三三∧._/\_|,,|「|,,,|「|ミ^!、
                                          __| ̄田 ̄田 / ̄ ̄Π . ∩  |'|「|'''|「|||:ll;|
                                         /__,|==/\=ハ, ̄ ̄|「| ̄ ̄ ̄ ̄|「| ̄ ̄|
                                        /_| ロ ロ 「 ̄ ̄ ̄ | | 田 |「|  田 田 |「|[[[[|
                                        |ll.|ロ ロ,/| l⌒l.l⌒l.| |    |「|        |「|ミミミミミミ

19 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:05:46 ID:XR3n4QoM

三>‐''' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄¨‐<三
 _  -──────‐-ミ
   _ -‐─────- ミ
/≦三才二三三∧ V三三
;:≦/ ゝ、ミゝ三三ヽ ヽ三三
:;:;∧彳´  ><ニ三/_ }三三
:;/   .∠ -‐・フ i }  ̄7
  彡  ヽ -‐ ' /    {、               ま、マジかよ……
   二   ´  #     ヾ
      U  -‐   __               風に乗って東京方面に流れただけならともかく、
           /  /               まさか皇居の上を……
            `¨´ :;
     ∠二ニ≡=一- ./
ー-------- 、      /ィ
ヽ\ヽ { V }‐ \  「´j i/
///≧ >ー- ト、ヽ ', ./ }./-
 ヾヾ////≧、.\ Y:≦ヽイ/
    ゝ<////>、}/ }//
     ヾ `T </////;イ

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 ところがである。
 いつものように観測用の気球を飛ばしたところ、皇居の上を通ってしまった。

 今はどのようになっているかは知らないが、
 当時、皇居……昔流に言うなら「宮城」は、「神聖にして侵すべからず」な場所である。
 その上空を侵したのだから……過失とはいえ、当時のルールでは不敬なことには間違いない。

 というわけで、長吉は職を辞すことになった。
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20 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:06:01 ID:XR3n4QoM

                                 {三ミミ// ///////王王王_三三三三ミ         丶
                                 >=ニ三{{,,//-  ̄       ̄i三三三ミ          ヽ
                                 ||=,/     二ニ      i三三三三ミ         }
                                 ヾ ,/    三彡 ̄ ̄       `―‐--、ミ三彡,. --、   |
                                 ヽi 三彡   ,. ニ==         _つ= ≠ ̄~ヾヽ  |
                                  l       ` -―--、,,_ =====─~`v´ } ._ ヾ}三ヽ
                                  /王ミ    i゙     | }             ヾ   }.|   ヽ
                         .,  -‐ て7 }´~~  `}===゙、     | |             し―´ /   丶
                            , - ‐ ゙     |    丶__ //              == |     ヘ
                          {.~   |    ノ     ヽ                   __ノ    /
                          ̄` -、 r ┴- .―´ i     __}                        /
                         - _   ` -、_/   }--、_ ,.´ { { { {         , -‐¨ ̄ ̄`ヽ、   /
                           `ヽ ___ } {    川川川川川川       /         丶/
                         丶  てヽ{  ヽ   {{{ { 彡{゙´         /  で そ  あ.   丶    /
                         __ ` } - ,.ノ   丶                /.   す こ  き    i   /
                          ~~ /       ヽ             __/.    よ で  ら     i /
                            /        ヽ            `l.     : 試 め     i/
                         . r ´          ヽ            l.    ?. 合 た     i
                         ..{.             ヽ           l      終  ら    /
                         .|               ヽ         丶.     了      /
                         .i                丶         丶          /

                                           【三土忠造】

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 そんな長吉に目をつけたのが、兄・三土忠造である。

 三土忠造。幼い頃香川の漢学者・三土家に養子に出されていたが、
 成人後に衆院選挙に立候補、代議士となっていた。

 立憲政友会の重鎮であり、大臣も歴任している人物である。
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21 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:06:22 ID:XR3n4QoM

     /::::::::_..‐´::::::::::::::::::::::::..-‐ ′            `' 、::::::ヽ
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       \ j丿 'ぃ―f ......--''¨___ 'く   〈' ⌒゙゙゙゙゙ ''´   i丶      (試合?)
        l''、,,-':;:;:;:; !'''′ エ ̄ ゚ ,/ /    ゙i       i〉  .
        ./ 、:;:;:;:;:;〔    ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙__ィ   ゙i       lソ      (……そうか、俺に選挙に出ろと、言ってるんだ)
         ノ( `ゝ:;:;:;:;卜 ‐            / ゙iヽ      l \、
       / ( ヽ ` 巛    、  ..‐-、   ゞ‐゙'ノ ..,,    li!i!i!i!i!l`\
    ,ノ"  ヘ     ゝ 、 ` / 〕ゝ - ' ..-‐'' `   "'‐-、  li!i!i!i!i!l '、\
    / 、´ r广´` 、   ‐ 、、  /  / │‐..'′   ,,.. _''__.....-..〉 ノi!i!i!i!i!l  '、
  /..''j ''´、 厂  ''ー 、 .._  '、! .. ´′     ,,< r'-―゙´""゙゙゙゙〕|i!i!i!i!i!l   '、
../ ノ'( r'      i!/:;TTTヽ  ’ ;''゛  、 ..-"´      _,,....ri!i!i!i!i!i!i!l  ´
''  丿 ヘ   "ヽ.. ''i!i!i!i!i!| | | | '、 ' /   '"  ゝ '/....:--´゙゙`ノi!i!r--i!""
 i |,   ''    ゝ   ゙!i!i!i!i!i!i!i!i!i!l  '´   ./   ..-'゙^‐ゝ、  /´i!i!!'′、  ´
.. ⊥    ミ      . ''゙くi!i!i!i!i!l  i  ./   、     (-!′ '´ ''-´ ..ィ ッ

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 ちょうど、二人の出身地である香川県の選挙区の1つに、立憲政友会の候補者の空席があった。
 そこに、宮脇長吉が出馬することを、兄・三土忠造は望んだのである。

 そこで、長吉は直後の総選挙に出馬し、当選する。
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22 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:06:50 ID:XR3n4QoM


      !ヽ, __ ,/{
      !,ゞ´   ヾ
      ! !l iリノハリリ__   
   /ノ リ |- 。-ノ!|/\ 
 /| ̄ ̄∪∪ ̄|\/
   |   わっち  |/

     【ハチ】

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 そうなると埼玉県川越に住むのは不便であろう。
 何しろ、今ほど交通事情はよろしくない。

 と、いうわけで、宮脇一家は、渋谷に居を構えた。

 俊三がハチ公にちょっかい出してたのが、だいたいこのくらいの時期である。
 渋谷の駅の周りは彼の遊び場であった。
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23 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:07:13 ID:XR3n4QoM


            {⌒>==<゙⌒7
           ∨从∧从:\/
           (ヽ|:Y○ ○| l/゙)
             ∨人 `^′_| |7
           Ⅵ、:::兀::::ノ:八
           /: :7〈_〉_∨: :l\
             /ィ∨`ー‐一ヘ N_,、
                |      }":ノ    
            (>ー―‐<厂     
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  
      |                  |  
      |                  |  
                       
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 もっとも、以前、ハチを取り上げた際に書いたように、
 何事にも「忠君愛国」に結びつける時代でもあったのだ。

 それが形として現れたものの一つが、ハチ公の物語であろう。

 時代は確実にそういう方向へと進んでいた。
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24 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:07:34 ID:XR3n4QoM


   (´⌒(´⌒  (´⌒. . . . . . . . . . . ..⌒`)
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   (´⌒(´(∀) (∀) (∀)(∀) (∀)(∀)(∀)(∀) (∀) ⌒`)⌒`)
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(´⌒(´⌒,.-〃∧∧ ,.-、ミミン~ /■ヽヽ●`)/■ヽ /■ヽ⌒`)⌒`)
 (´⌒(´@ニ(゚Д゚,,)、(,,■)《`) /■ヽ ∧((∧(´∀`) (´∀`)⌒`)⌒`) 
 (´⌒(´/.|  〉ノ⌒と、=ゝ |~)(´∀`)( ´∀`) /■ヽ/■ヽ/■ヽ⌒`)⌒`)    首相ヲコロセ!
(´⌒(/ /  (, |ゝ彡/|-、) | |ミヽ   (つノノと) /彡(´∀`)(´∀`)⌒`)⌒`)
/i`‐'´//  と| |・  ・| |つ|.| \\ ( ゚∋゚)//■ヽ /■ヽ /■\ `)`)    高橋是清ヲヤッチマエ!
| キ/ /(´⌒(| |  |  |_ノ_|(´⌒\ ⌒\/ /(´∀`)(´∀`)( ´∀` ) `)`)
\|__/ /■ヽ| (___) / 〈__〉(´⌒ )     //■\ /■\ /■ヽ`)⌒`)
(´⌒(⌒(´∀`).|__|  |  |(´⌒(´⌒`/   /( ´∀` )( ´∀` )(´∀`)`)⌒`)
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.( つ  / ヽ[|⊂[] ).( つ  / ヽ[|⊂[] ).( つ  / ヽ[|⊂[] )( つ  /ミ `)⌒`)
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( し'⌒^   ̄ (_)`)し'⌒^   ̄ (_)`(し'⌒^   ̄ (_)( し'⌒^⌒`)`)`)⌒`)

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 昭和11年(1936年)2月26日早朝。

 東京は珍しく大雪が降っていた、その日。
 陸軍若手将校に率いられた軍が、首都主要部を制圧。要人を暗殺する。

 俗に言う二・二六事件である。

 陸軍内部の抗争に端を発するこの事件は、軍国化されていく日本を象徴する事件の一つといえよう。
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25 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:07:55 ID:XR3n4QoM

          ___
         /   ― \
       /     ●  ヽ     急に学校休みになったから、
       |    ⊂⊃ (_,、_,)    雪合戦でもして遊ぶお。
 ,-- -―≧         ィ’
 {_ __       /`i           .-━ 
  ` ̄   /   , - ―' /           .─━  ○
   __|   (__, -- '             -━
 /    ゝ、  \/
 ノ  ―― \  ヽ
 ー‐'      |   |_
         ゝ   )

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 もっとも、子供にとっては、
 「突然学校が休みになった」くらいの認識しかなかった。

 宮脇俊三は学校からの帰り道、宮益坂の辺りで、友達と雪合戦をしたりして、
 遊びながら帰ったという。

 子供にとっては、何が起きたか、全く分からなかったのだ。
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26 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:08:14 ID:XR3n4QoM


          _,,-='''''''''''-,,_
        /        \
      /           ヘ
      |             |
      | , -_-_   _-_-_、   |
      |=| =?= | ̄| =?= |==-l、
     ||   ̄ ̄    ̄ ̄  |/ l         どっちだっていい、俺たちには関係ない、
     |   /、_,,,)\    | /         田代に着いて、とっぷりと温泉につかり・・・
     ヽ (lllllllllllllllllllll)  /-"
     ヽ  ` ̄ ̄´   イ
       ヽ     ,,-' ノ/ヽ
      /l`'──''"_,-'/'  ヘ
  _,,,,.-''/ | ヽ _,,-'''" /

      【東條英機】

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 しかし、大人の世界では、着実に変化が訪れていた。

 二・二六事件において、陸軍は皇道派と呼ばれる派閥が淘汰され、
 統制派と呼ばれるグループが支配する形になった。
 統制派の首魁が後の首相である東條英機である。

 彼らは合法的に政府に圧力を加えたり、
 持論にそぐわない政府の政策に対し統帥権干犯を盾に公然と非協力な態度を取ったりしながら、
 近代的な軍備や産業機構の整備に基づく、総力戦に対応した高度国防国家を構想した。
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27 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:08:40 ID:XR3n4QoM

      三三三三三三三三三三三  三三三三三三三三三三、
         三三三三三三三三三三三   三三三三三三三、/三
       三三三三三三三三三三三三    三三三、 /´ 三、/
           三三三三三三三三三三 _ ― ´ 三、 ヘi<
     \三三三\三三三三_三―三三三;;;;;_ -┌' ´ / |  ` ァ
   ミ゛  \ 三三三三三三三三三、 ≦ ::7     |` ・ ´  |゙ッ
  ミ   ゙ッ  `'' ―---―ニ=‐ ´! ̄ `ン::/      ゙i`   ト''゛,゙ッr
     ミ_ ゙ッ  ァ―  ̄ ̄   、ヘ   /        \. ヘ   ゛,,
       ミ_    イ , ,, _ ・/´  ≦;             Y    ゛
                                  } / //.     陸軍出身の俺が言うのも何だが、
                                   /   .、/     軍部が政治に関与するのは良くないことだ。
                                、 ‐-‐、/    {
                             , /_,  、´゛/       }      軍部は文民が統制しなければ、
                         ` <゛ /´ ∧     /      必ずよからぬことが起きる!
                              ` 、 ∧ ゙i / ~ `
                           _、 、'´,/∧ } !、  / ミ
      ´ ̄`゙i             _ - ― ´、 ´ / | ;゛/7  }    /
     .7~7‐゙ir゙i   、-=ニ二 ̄-- ― ' ´   ,´ |,゛ } : :} |(,
      ゙i ゙i  ゙i゙i                     イ ,゛ /} : : :} { \
          ゙i゛;,               / } // }: : :|  `} /

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 「近代的な軍備や産業機構の整備に基づく、総力戦に対応した高度国防国家」。

 書いてみれば実のところいい響きのように見えるが、
 実際のところ、軍部が中心となって、軍部のために国民は奉仕すべき、ということであろう。
 産業も軍事が中心で、国民も軍のために協力すべきである。

 しかしそれは、議会内のリベラリストたちにとっては、看過ならぬことであった。
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28 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:09:20 ID:XR3n4QoM

         ,- 、          /      \                  /        \
          /   !            |  混 叫 阿  |                 |  音 あ 聞 戦  |
        /   /      , - 、    |  声 喚 鼻  |                 l  が の こ. 争  |
      r‐、ト  l    /  ノ   |  合 の と   !                  |.    懐 え. 交  |
      !  !  |   /   /     l  唱       |    ,.z=='三ミミ=-,.、、     |.   か る. 響  !       f¨ヽ  r‐ 、
      ノ  l.  | /   /        !  が.      |.  __」fr三ミヾヾミミミミヽ、  .l    し .   楽  |         l   ', !  ',
    〈  .l   l./   /,..-‐ ''"´ )\________,.く r行ミヾ'f示ヾヾヾヾミミミミヽ .|     い   が  !. _        |   l ',.  ',
    ',  ,!  ,/   /    ,.>'´          l彡三ミヾ川ヾヾヾヾヾヾミミl  >、________/  ! `ー- 、   !.  | |   l,.-‐ 、
     レ    〈   '    >'´                 尨ィ三ミミヾ川ヾヾヾヾヾヾミi、             ヽ、.._  ヽ、 |   l. |  l. /
      | ヽ          '´ ̄ ̄⌒丶、          ,Y彡三ミミヾ'゙゙゙ヾヾ、,斗、ヾリ `ー- 、              \  ヽi.   lノ  l./
     ',   ` ー  、_ ,ァ‐一ー-、__,!       ,. -‐'" ヾ彡テ'´    ヾ/ヾヾ州l     ヽ          ___ヽ  ヽ  '   l'
     ',          {           /       klV' /^`ヾ' ' ,r' ⌒刈、      ト、      r‐'´    `  _, -' ´l
      ',        ,!、        /、      , lヾ,ヘ. -zt;テ=y彡'^ ¨´ |'^ヘ     l ト、     `ー ' ´ ̄}  `´       !
      ',        ノ`ハ          ノ ヽ   /  |. `Tヾ(____ノ __V ,イ /  ハ   !  イ        ,r,=i           !
       くヽ、__ .. -‐'^}/ ',        ,! i   ヽ     |   |. ヽ、''ー-=≠'"ノl    V , レ' ,ハ       /(. ト          !
         |`ー‐    /   ',      r'   !  V   |    !  l `>rー;<_|     V,イ   l         / `くヽ、      ,'
         ト,____,/     ',    ノ^ヽ  !  V   !   l  l/  ソ叭  `|      ∨ -‐'  !      /    `ヽ、 ー- イ、
.       /八。./       ',  /     、   ヘ  |     ヽ、  〈/^ハ〉  ト-、_____〉.    l     /        ヽtーァヘヽ
      l lii/            ',/         `ヽヘ !     ハ.   ル' |l  /   \ |   ,   ヘ. /            ヾ'|i|!l |
      ノノ/               V            >イ└─ー-/ ヽ, ,! |V      \ ノ     レ'             ヽli;l !
     .///  /´〉        ヽ、 、     /  }ヽー   /    ∨   レ'        /   ,.ィ"               ,、 r、 Yr'
    〈_'_   ー' /゙〉         ヾ ヾ  /     ヽ   /      ヽ/       / |   '´ /            ,、.「儿j U _'」
      `ヽ、 ー'/〉_           ! l ∨        l   ヽ、__ /,. -''"´ ̄丁`ヽ、トv' / l'           Y ,. -‐''"´
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 そんな最中に軍部が出してきた法案が、「国家総動員法案」である。

 企業に対し、国家が需要を提供し生産に集中させ、
 それを法律によって強制することで、生産効率を上昇させ、軍需物資の増産を達成し、
 また、国家が生産の円滑化に責任を持つことで企業の倒産を防ぐことを目的としたこの法律案は、
 極めて「赤い皇帝」の国的な社会統制と言えるものであった。

 当時の革新官僚たちによって、「赤い皇帝」の国を調査させて作らせたものという話もある。
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29 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:09:35 ID:XR3n4QoM

        ,. r ´  ,. r ´三三:::::::::::三三:::::::::::::::三三:::::::::::\)}
   r―――´  ,、r ´三三:::::::::::::::三:::::::三三:::::::::::三三三三::::\
__ヽ ○ _,.< ` 、三三三 三:::::::::::::::三三:::::::::::::::三三三三ノ≧
;;;;;;;;;;;;;;;`: : : : ,;;> 、  ` ー 、三::::::::::::::::::::::::::三:::::::::::::::三,.:::r' 二>´
ヽ;;;;;;;;;;;;;: : : : : : : : :/ ` 、   ` ー ---------- ― ´  ,. ィフ ´
 };;;;;;;; : : : : : : : : :{    `。 ー -, ____ ,. - ィ - ‐。´ / {
} ;;;;;;; : : : : : : : : ∧       /: : : : : : : : : ' ' ' {;;; _ = = ,'
, ;;;;;; : : :  : : : : : `====: :三: : : '     |!! ´  ,.  '
ヽ ;;;      : : : :ニ二二二 ̄ ≧〃       {`' , '   '      おい、いつまでやるつもりだ!
  ;;;;   u           し´         ヽ,     ;
                             /    |       そこのクサレ外道の鉄ヲタ軍人!
                        ,. ---,ノ    |
         ,. .,_    し       {ニ- ,r/ -、  /j       俺はそんなこと、教えた記憶はねえぞ!
        r´T  `           ^>ー  ノ   /`
        く `ゝ、            ´_ ,.、ー´  /
         ∨ , `'ー ´ ̄`ー―=,‐´ー    /
           ` ー'―‐`―'―  ̄

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 当然、このような法案なのだから、経済界からの批判は強かった。
 そして、経済界の強い影響を受けた、当時の政友会・民政党の二大政党は、
 当然のごとく反対に回った。

 担当の軍人の法案説明の際、かなりのヤジが飛んだという。
 そして、宮脇長吉もヤジった……その直後であった。
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30 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:10:25 ID:XR3n4QoM

                      / // ///:|  | / | / / / //  ! |/ // / / / /
                       / // /'|/|/! / / / /ィ/ /¨//`ヽj/// / / / /
                  /|// / | /| / /─| |/ |/ //   |//|// /  /
                    ∧| /^ヽ/|/_| /´ ̄! /   ー-=zx、!/ \ / /
                     Ν/  ,; ヽィ'7'/    |{!    ゞミ、弋えラミ、厶イ;; ,; ;
                   ∧{  〃 {ノ/,/     l|八    ⌒ヽ  }}  }lト;; ;'
                    { V //ヽ|         \      ̄ ̄>’ √\\三≧
                   Ⅵ {::.. |/    /`ヽ      \        ィ仁二\\/
                     |ハ ∨      { {r‐、       `ー一r≦シ⌒ ̄ `ヽ/
                    Ⅵ} /       \            ̄       ヽ
                  r=/ ;゚             ト=-             r─  ─一〉        黙 れ ! !
             ノーノ;ハ {           ヽ‐=ニ=‐        ヽ   フ::::/
            イ′ |  ヘ ';                \‐=ニ三ニ=‐ 、 \  .:::::::;/ヽ
 ─ ┬一  7厂´     |  八ハ                 \‐=ニ三ニ=‐- 、ヽ  ̄
   /    /         |   \             \ `  ‐=ニ三ニ=‐ヽ\ |
   ′  /            |     \               ヽ    ` ‐=ニ三ニ 〉 ノ

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 その担当軍人が、「黙れ!」と怒鳴ったのだ。

 実は長吉は、その軍人と面識があった。
 というのは、長吉が以前陸軍士官学校の教官だった折、
 その人物を指導したことがあったのだ。

 その人物は後年、この「黙れ」の後に「長吉!」と叫ぶつもりだったのだが、
 それは飲み込んだ、と言っている。

 かの有名な「黙れ事件」である。
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31 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:10:42 ID:XR3n4QoM

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/|;/ /                      ___|
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::::::/""\:::::::::::::::::::::::i        _..-'''""~・  |  /     i    ノ .i
::::/ ._,,..-  `、:::::::::::::::::i        八       ノ  、     `、-'"  i
 | |::::::::ヽ ∧:::::::::::::i             "'''- - - '"   〃   ___  ヽ  i
 | ヽ〃∧  i::::::::::::i                        ̄  ノ  |
 キ ' i;;;;;;i   ;;;;;;;;;;;;                          /   i
  ∨   ( l                           / ̄"ノ   i    うちも羽振りが、悪くなったもんだな……
  ∨ ヤ\\                            <__..-、/   /
   ヽ, ⌒ ノ                            ''   /
   ___\ /-----....____                    ___..-  /
, -'"            `゙''ー-、,_     <二二二二二,,..、-''"  ,′
                   ヽ                      i

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 このときは、すぐに陸軍大臣が陳謝し、その場を沈静化させている。
 まあ、下手に議会を刺激して、法案が通らなくなることを避けたのだろう。
 しかし、「黙れ!」と叫んだ軍人を処分することはなかった。

 一方、その事件以来、宮脇家の羽振りは悪くなったという。
 来客も減り、また年賀状なども減ったという。
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32 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:11:09 ID:XR3n4QoM




貴様!

何たるんどるか!!!!

ヘ                - - ──                  ______
-ト──---、....._            - ─==   r─‐-、    /        \
 |             ̄ ̄`  ─--へ--、__        {     ヽ<             \
  i   配 属 将 校    /::::::::::::::::::::``ー-、...   ト、_    \             \
  i               i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`.┴'‐-‐'`ヽ、  メ、/              \
  .i    _,...-───-、 __ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V ´ ヽノ             |
   i─'´ ̄          7``ー─────----- 、..._  ロ{   ノヒ_            |
   |              {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::‐〈〉─‐ 〈〈,               |
   |    ,..-‐'´ ̄ ̄` ‐-、.ゝ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i     } {-           /
   j,. -‐'´  ‐ ‐ ──    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`  ─'ロ{_,,...ノノヽ         /
  /       ‐‐ ─=            ,...----────'´ヽ},、           〈

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 また、当時既に行われていた軍事教練において、
 配属将校が俊三に対して辛くあたった、なんていう話もある。
 どの生徒が反軍的な思想の人物の子弟か、配属将校は簡単に知ることができただろうし、
 また見せしめや腹いせの意味もあったと思われる。
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33 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:11:29 ID:XR3n4QoM



          ____
        /      \
       /  ─    ─\
     /    (●) (●) \
     |       (__人__)    |        ちょっくら、汽車に乗って、
      \      ` ⌒´   ,/         どこかに行ってくるお。
      /         ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  キュム
        i     \ ::::/ キュム
        \     |::/
          |\_//
          \_/

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 まあ、羽振りは悪くなったといっても、急激に金がなくなったわけではない。
 俊三は一人、汽車に乗って、いろいろなところに行ったという。

 もっとも、年齢的に旅館への宿泊旅行は無理なので、日帰り旅行ばかりだった。
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34 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:11:44 ID:XR3n4QoM


      | | ||        ___
      | | ||    _:..:::| ._,..|
      | | ||    |//|  | l_! |.:
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      | | || ゚-) _  .:...:|   |..::.
     ∧∧|.=!|  l ,おにぎりワッショイ!!
_∧ (゚ー゚*)...\\   2getワッショイ!! //
ハ)ヽヽl   つ+ \\ おにぎりワッショイ!!/+
_`∀ノ 人  ヽ                        +
    )/ (//    /■\   /■\ /■\  +
、_ ヽヽ/     ( ´∀`∩(´∀`∩)( ´∀`)
/ _))    (( (つ   ノ(つ  丿(つ  つ ))  +
./         ヽ  ( ノ ( ヽノ  ) ) )
           (_)し' し(_)  (_)_)


          (⌒ヾ`
       ゝ´ ,))
  (( ⌒ゝ   lij
     ー" ミ  ___
        ノ(_     \
      /"\,, 、/"`` \       ったく、うるさい客だお!
    / ( ●)´`(● )  \
     |   '" (__人__) "'    |      これだから酔っ払いは……
      \  ` ⌒ ´     /
      / ゝ  ``     ィヽ

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 鉄道輸送体制は、既に戦時体制になっていた。
 観光地行きの準急などは廃止され、
 旅客は主要都市間、そして主要都市と軍事拠点間の輸送が重視された。
 そしてそれ以上に貨物輸送が重視されていた。

 政府は観光旅行の自粛を国民に要請し、不要不急の鉄道利用をしないよう呼びかけていた。
 それによって、必要な人々の鉄道利用が阻害されることを避けていた、はずであった。

 しかし、その旅客便を使っていたのは政治家や官僚、軍人ではなかった。
 この戦時政策によって急激に財産を増やした者たちが、物見遊山で利用したのだ。

 例えばこの当時、東京を発着する東海道本線の急行などには、
 熱海へと向う観光客が大挙しており、彼らのモラルが問題になっていたのだ。
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35 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:12:12 ID:XR3n4QoM


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          |                      ......::::::::i
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    (;;;;;;; /  /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\ \;;;;;;;;)-、
   (;;;;;;./  /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\ \;;;;;;;;;;;)
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.(::/|   ,| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|,\  \
wwjyw从wjwjjrjwwjyw从wjwjjrjwwjyw从wjwjjrjwwjyw从wjwjjrjwwjyw

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 もっとも、国も旅行を完全に規制していたわけではなかった。

 例えば「観光報国週間」なんてものはその典型例だろう。
 これは「日本精神の顕揚確立を期し、観光事業を通じて奉公の誠をいたさむとするにあり」とするもので、
 要は心を清め、伊勢神宮などに戦勝祈願をしろ、という口実で旅行をしてもいい、ということである。

 伊勢神宮、熱田神宮、橿原神宮……そういうところを旅することは奨励されていたのだ。
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36 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:12:28 ID:XR3n4QoM


    / ̄ ̄ ̄\
  /        \
 /    ─   ─ ヽ
 |    (●)  (●) |        しかし、戦地では兵隊さんが必死になって戦ってるのに、
 \  ∩(__人/777/        内地のこれはどうなんだお?
 /  (丶_//// \

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 戦地では毎日戦闘をやってる兵隊さんがいるのに、内地ではこうして遊んでいる。
 子供ながらに俊三はこんな疑問を抱いていた。

 もっとも、冷静になって考えてみれば、
 俊三も学校の慰問袋で一生懸命慰問文を書きながら、
 日帰りとはいえ用もなく鉄道旅行なのだから、人のことは言えないだろうが。
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37 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:12:59 ID:XR3n4QoM


         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれはインターハイのために練習をしていたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったらいつのまにか勤労奉仕を行っていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

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 もちろん、そんな時代はすぐに終わってしまう。

 中国に対する戦線が拡大するにつれて、
 このような娯楽に対する締め付けはどんどんと厳しくなっていった。

 そして昭和16年の夏、ついにインターハイの中止が決定してしまう。
 また、全国の学生に対し、学校を通じて、旅行の完全禁止も命ぜられてしまった。
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38 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:13:53 ID:XR3n4QoM


          _____
        /      \
       /_ノ  \_  \
     / (ー)  (ー)   \
      l   (__人__)       |         ああ、鉄道に乗りたいお……
      \  ` ⌒´       /
      /⌒          ̄\
.     |                ,、 ヽ
      \  \        ||   │
       \  \      /  /
       /\  \   i′  く ヽ
      /   \  /]  /  | 
    /    / (ノ/)) ̄ヽ    \
   __| .   | / / ̄   ヘ    )
  (___/ /        `ー‐'′
     [二二二二]


























                    ________
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                  ∠_____,, - ‐ [箱根湯本]' ´  ̄
                ∠____________
              /  /         |           |
            /  /           |  , 、 、    |
          /  /             |  - ー) ヽ   |   仕方がないから小田急で箱根まで行くお。。。。
        /  /               | (人__) ノ   |    ,_
      /  /                 |__,, --―― ' ´  ̄ ̄
    ∠ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~__,, --―― ' ´  ̄ ̄ ニ
  // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~      _ ,, - ニ ニ _
/ ̄
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``‐-、_         /二二`‐',‐'~~二l/`‐,'二\       .|
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    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.  \二/           \二/

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 その代わりに行われたのが、勤労奉仕だった。
 もっともそんなに大それたものではなく、学校の草刈りとか、
 空き地の開墾とか、そのようなことをやっていた。

 そしてその合間を見て、日帰りで箱根に行ったりしていたようである。

 つうか「旅行に行ってはいけない」といわれてるのにこれだから……筋金入りである。
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39 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:14:27 ID:XR3n4QoM

      三三三三三三三三三三三  三三三三三三三三三三、
         三三三三三三三三三三三   三三三三三三三、/三
       三三三三三三三三三三三三    三三三、 /´ 三、/
           三三三三三三三三三三 _ ― ´ 三、 ヘi<
     \三三三\三三三三_三―三三三;;;;;_ -┌' ´ / |  ` ァ
   ミ゛  \ 三三三三三三三三三、 ≦ ::7     |` ・ ´  |゙ッ
  ミ   ゙ッ  `'' ―---―ニ=‐ ´! ̄ `ン::/      ゙i`   ト''゛,゙ッr
     ミ_ ゙ッ  ァ―  ̄ ̄   、ヘ   /        \. ヘ   ゛,,
       ミ_    イ , ,, _ ・/´  ≦;             Y    ゛
                                  } / //.
                                   /   .、/     俊三。どこかに連れてってやろう。
                                、 ‐-‐、/    {
                             , /_,  、´゛/       }      学校?
                         ` <゛ /´ ∧     /      なに、旅行に行ったことを黙っていればいいんだ。
                              ` 、 ∧ ゙i / ~ `
                           _、 、'´,/∧ } !、  / ミ
      ´ ̄`゙i             _ - ― ´、 ´ / | ;゛/7  }    /
     .7~7‐゙ir゙i   、-=ニ二 ̄-- ― ' ´   ,´ |,゛ } : :} |(,
      ゙i ゙i  ゙i゙i                     イ ,゛ /} : : :} { \
          ゙i゛;,               / } // }: : :|  `} /

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 そんなある夏の日のことであった。
 俊三は、父・長吉に「どこかに連れてってやろう」と言われたのだ。

 学校で禁止されている、と俊三が言うと、長吉はこのように言ったという。

 「旅行に行ったことを黙っていればいいんだ」。
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40 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:14:56 ID:XR3n4QoM


           __,,,,,,
         ,.-'''"-─ `ー--─'''''''''''i-、,,
      ,.-,/         ,     !,,  \
     (  ,'              _ノ ヽ-、,,/''ー'''"7
      `''|           '    }     ``ー''"
        !       '、     i
        '、 `-=''''フ'ー''ヽ、   /ヽ、-─-、,,-'''ヽ
         \_/     ヽ--く   _,,,..--┴-、 ヽ
                     ``"      \>

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
    │            │
    └──────┘

┌─┐
│  │
└─┘

┌┐
└┘

  □    / ̄ ̄ ̄\
      /        \        今まで、親子では、
     /    ─   ─ ヽ       相撲ぐらいしか見に行ったことないのに……
     |    (●)  (●) |
     \  ∩(__人/777/       親子旅とは、いきなりどうしたんだお?
     /  (丶_//// \

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 長吉は代議士である。
 だからいろいろな人と交流し、また日本中、時には世界中を駆け巡っている人であった。
 現に昭和12年にはヨーロッパまで行っている。

 俊三にとって父は優しい人ではあったが、
 一緒に旅行に行こうと誘ってくれるような人でもなかった。
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41 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:15:19 ID:XR3n4QoM

三三三≧、
ー-、三三ヨ:ヘ
    \三ヨ|
三ョョ-、 ヘ三i
:::::::::::;;;;;>-7ヨ´
::::::::/./7/三ヘ
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''''-、,i  /
    ヾ,,
ー---、__ヾ,,
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---ュ, ,--'" / .ハ
 _,  , / ./ \
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 /::/,-'", -‐'"二 二 ヽ、
. i::y', -'"  ,/ /     `ヽ、
. i     ∠  i  /      ヽ
/       i | //         ハ
          i | 〃       ≠  i.',
         | | 〃   ,-/ i   i i
          .i | 〃 //  ',  i .|
       〃 i〃,./ /   ', i  |
         | 7 / __,  ', i  .|
         | 7i ´/,-'"¨` ヘ  |
   、   ヘ  7 i /  , ---、 ', .i
、_   \  ヘ 7 ∠ /='"_  ヘ, ',i,
__,\,_ \ \ ∨ // r':::,-、::::\ ', ',i
  >'  >≧_,-,___/¨¨´ ̄`‐-、:::i 7i
'" >'"    i :| i--'∠ョ=、毛-、___i_
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 長吉が俊三を旅行に誘った理由……

 これにはいろいろなことがありそうだ、と後に俊三は述懐している。

 反軍政治家であることが原因となって羽振りが悪くなり、暇になったこともあるだろうし、
 また、俊三の兄2人を相次いで結核で失っていることもあるのだろう。
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42 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:15:46 ID:XR3n4QoM


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 「黒部峡谷に行きたいんだ。あそこの軽便電車に乗りたい。」

 そうして宮脇父子は黒部峡谷に行った。
 軽便電車に乗ったり……

※軽便電車……通常の国鉄(現JR)在来線よりも狭いレールの幅で敷設された鉄道のこと。
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43 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:16:07 ID:XR3n4QoM


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    (  ))                   (  ::)  )     | | | || |
   (:::::::) ( :::)oo∞cOcっ∞cっcc∞c∞coo(  ) )   (  ::) || |
      co0o      ~~~~( )       c( )。。。( :::)
     (^;;)o             ( )         o(")o ( )
    ("'')0 c  ~~~       ~ - -、      O(~)o
   (~~)ヽ                 ≡ ≡) ヽ    (⌒(⌒~)
  (⌒ヽ           ~~~~ (人__)//ノ   (⌒~)
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   (~´`(⌒(⌒~)                    (~゙゙ヾ⌒`)
     (⌒(⌒~) )~~~)(~~) <⌒)⌒)⌒>-(⌒(⌒(⌒~)
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 温泉に入ったり……
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44 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:16:34 ID:XR3n4QoM


       ___
     /:::: u ::::::::\
   /  ○ 三 ○:: \           あ、青森行きとか、もう売り切れてるお……
  /::u:  (__人__) :::::::\
 |   ヽ |┼┼| / u  |          北陸本線は大丈夫かお?
 \    `――'´     /
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\

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 しかし、この戦局の最中の旅行は、やっぱり大変だったようである。

 例えば急行券を得るのに5時間も並んでやっと買うことができたり……
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45 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:16:55 ID:XR3n4QoM


         ,.,、-------::、..
      ,.-'''`.,、' '' ' '' ' '' ' -,,``:、
     ( ,i'。'゙  ο ο ο ゙'';:、,)
     .| ゙-..;;_'' ο ''''',, ''_,,..-'゙|
      l,     ̄ ̄ ̄ ̄    .|
       'l,             ,/
       \          /
         ゙l'-、..,,,,,,,,,,,,..,、-'l゙
         ゙'-、..,,,,,,,,,,,..、-'゙

 l三三三三三三三三三三三三三三三三三|
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 米を持参しないと、旅館によっては宿泊させてくれないケースとかもあった。
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46 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:17:13 ID:XR3n4QoM

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    `=、;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, 、__                 `=、;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, 、__
     ,.-'゙''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;゙;;;;;;;;;l;;;;`,、                ,.-'゙''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;゙;;;;;;;;;l;;;;`,、
   /   `ー-...,;;;;;;;;;;;;,-‐/;;;;;;';;;;;;;;;;;;              /   `ー-...,;;;;;;;;;;;;,-‐/;;;;;;';;;;;;;;;;;;
  ./             `''''''""i;;;;;;;;ヽ            ./             `''''''""i;;;;;;;;ヽ
  l  ■  |,,,____/           |;;;;}  カシワモーチ! l  ■  |,,,____/           |;;;;}  カシワモーチ!
  |     |.:::::/  ■        ノ;;;;}            |     |.:::::/  ■        ノ;;;;}
  ヽ、   |:::/          _,/;;;'゛            ヽ、   |:::/          _,/;;;'゛
    `ヽ、_ |/        _,,.,;‐';;;;゛゛               `ヽ、_ |/        _,,.,;‐';;;;゛゛
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    `=、;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, 、__                 `=、;;;;;,,,,,,,:::,,,,,;;;;;,,,,`""''';;;;,, 、__
     ,.-'゙''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;゙;;;;;;;;;l;;;;`,、                ,.-'゙''''',='";;;;;;;;",-,,;;;;;;゙;;;;;;;;;l;;;;`,、
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  ./             `''''''""i;;;;;;;;ヽ            ./             `''''''""i;;;;;;;;ヽ
  l  ■  |,,,____/           |;;;;}  カシワモーチ! l  ■  |,,,____/           |;;;;}  カシワモーチ!
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    `ヽ、_ |/        _,,.,;‐';;;;゛゛               `ヽ、_ |/        _,,.,;‐';;;;゛゛
      "'''=ー;‐---‐‐'';';"-''"゛                     "'''=ー;‐---‐‐'';';"-''"゛
          ~~~~ ̄´                            ~~~~ ̄´
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 さらにはお土産にしようとしたあんころ餅を売ってくれなかったり……

 戦況はまだそこまで厳しくなかったのに、食糧事情はかなり厳しいものがあったのだ。
 特に都市部では、あんころ餅すら売っていないような、そんな状況になっていた。
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47 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:17:36 ID:XR3n4QoM


               。
            。 O     ____ー、
          ゚  。 \ヽ / u ゛  u  \  ゚
          -  ・。 /;゚ ⌒  ⌒ @\。
        ,  ゚ 0 ─/ { U (●) (●)  .\ / 。   ,'´ ̄ ̄`',
         ゚ ,,、,r-'⌒l u//(__人__) 、 ) 。゚ | o     ,! ハ ハ !
      。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ,. ir- r 、//u   / 。 ・゚  l フ ム l
        ヾヽ、_,,,、-、/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-、\     ∠  ハ ッ j
          ー = ^~、 ̄r'´ ̄`''jヽ、  〃ヾ ゚ 。   ヽ フ   /
 jヽjvi、人ノl__     / /  ヽ´{ミ,_   ̄`'''-ヽヾ      ` ̄ ̄
 )   ハ   7      /  / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
 )   フ    て   /  /   !。 l  l  - ニ
 7   ッ    (  __ヽ、__l ___ .!。 l__l__,-=-,___
  )   !!     ( ,               l  l
  ^⌒~^⌒^~⌒^               ヽ=ノ
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 そんな状況でも、それでもなお、俊三は旅行に行っている。

 翌年、昭和17年の夏には、北海道まで旅行をしている。
 名目上の理由は「父の助手」として、長吉の経営する鉱山の視察であった。

 なお、俊三は、このとき食堂車で食べた「鮭フライ定食」が、
 これまで食べてきたものの中で一番おいしかったと言っている。

 食糧難の時代、まだ北海道は食糧事情がよかったのだろう。
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48 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:18:12 ID:XR3n4QoM


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 余談ではあるが、北海道・森駅の有名駅弁「いかめし」は、まさしく戦時中に考案されている。

 米はなかったのだが、いかが大豊漁で、それこそ腐るくらい獲れていたのだ。
 米不足による食糧事情の改善と、いかを腐らせるのはもったいないということで、
 あの独特の駅弁が考案されたのである。

 同じことが俊三の食べた鮭フライにもいえるのかもしれない。
 鮭が豊漁だったとしたら、同じことは起こりうるのだ。
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49 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:18:36 ID:XR3n4QoM

                                 l
                                 l
                              ――ト―― γ ⌒ ⌒ `ヘ
                                 liイ,,,, ""  ⌒  ヾ ヾ
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                  {三ニー---- ̄ ゚. . . ,, . . ((,⌒ノ,,,.:::::' (   (’''....ノ ソ ::::::: ... . . ,,,,,,,,,::::::::::::――ヾ0]rュ
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                      `  \:,:,:,:,:,:,:,::、:' ´ ヽK    _,.-''´
                          ヽ:,:,:,:,:、:        /
                           ';:。:'        /
                            .i:l      /
                            l::;;杉ヾ::;''"´

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 閑話休題。話を元に戻す。

 戦況はどんどん悪くなっていった。

 昭和17年6月5日、ミッドウェー海戦。
 『大本営発表』によると、
 「敵空母2隻沈没。我が軍損害、空母1隻喪失1隻大破」
 というものであり、これまでと異なった、厳しい戦績であったことは、誰が聞いても分かるものだった。
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50 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:18:50 ID:XR3n4QoM

         .∧__,,∧
        (´・ω・`)        おい、宮脇、聞いたか?
         (つ と)
         `u―u´


                                               / ̄ ̄ ̄\
                                              / ─    ─ \
                                            /  (●)  (●)  \
                       何をだお?              |    (__人__)    |
                                            \    ` ⌒´    /
                                            /            |
                                           (_ )   ・    ・  ||
                                             l⌒ヽ        _ノ |
                                             |  r ` (;;;U;;)   )__)
                                            (_ノ  ̄  / /
                                                   ( _)

51 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:19:16 ID:XR3n4QoM

  ∧_∧
 (´・ω・)        どうやら、先の海戦、ボロ負けだったらしいぞ。
  (∩∩)        我が国は空母4隻失ったらしい……


         ____
        /_ノ  ヽ、_\         ━━┓┃┃
       o゚((●)) ((●))゚o         ┃   ━━━━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \       ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                          ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
         イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。 ・

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 ミッドウェー海戦から2日ほどたった日のこと。

 俊三の通う中学校にある噂話が広まった。

 ミッドウェーでは大敗した、空母4隻失った、というものであった……
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52 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:19:39 ID:XR3n4QoM

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::::::/""\:::::::::::::::::::::::i        _..-'''""~・  |  /     i    ノ .i
::::/ ._,,..-  `、:::::::::::::::::i        八       ノ  、     `、-'"  i
 | |::::::::ヽ ∧:::::::::::::i             "'''- - - '"   〃   ___  ヽ  i
 | ヽ〃∧  i::::::::::::i                        ̄  ノ  |      俊三、そのことは、
 キ ' i;;;;;;i   ;;;;;;;;;;;;                          /   i
  ∨   ( l                           / ̄"ノ   i      絶対に外で言うんじゃないぞ。
  ∨ ヤ\\                            <__..-、/   /
   ヽ, ⌒ ノ                            ''   /
   ___\ /-----....____                    ___..-  /
, -'"            `゙''ー-、,_     <二二二二二,,..、-''"  ,′
                   ヽ                      i






                                                       /  ̄ ̄ \
                                                      /ノ  ヽ__   \
                                                    /(―)  (― )   \
                          ・ ・ ・ ・ ・ ・                      |.  (_人_)   u |
                                                         \   `⌒ ´     ,/
                                                     /         ヽ
                                                    ./ l   ,/  /   i
                                                    (_)   (__ ノ     l
                                                    /  /   ___ ,ノ
                                                    !、___!、_____つ

53 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:19:57 ID:XR3n4QoM

     /::::::::_..‐´::::::::::::::::::::::::..-‐ ′            `' 、::::::ヽ
    /_..‐´::::::::::::::::::::::::::::::_..-'"      _,,l「 l1‐-――‐‐-...`l、
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      \  /  ィ''´::::::::::::::::::::::::_..-‐'' / /ハノ   ゚,‐´ , ゙i′
       \ j丿 'ぃ―f ......--''¨___ 'く   〈' ⌒゙゙゙゙゙ ''´   i丶
        l''、,,-':;:;:;:; !'''′ エ ̄ ゚ ,/ /    ゙i       i〉  .
        ./ 、:;:;:;:;:;〔    ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙__ィ   ゙i       lソ
         ノ( `ゝ:;:;:;:;卜 ‐            / ゙iヽ      l \、       しかし……
       / ( ヽ ` 巛    、  ..‐-、   ゞ‐゙'ノ ..,,    li!i!i!i!i!l`\      中学生まで知っているのか。
    ,ノ"  ヘ     ゝ 、 ` / 〕ゝ - ' ..-‐'' `   "'‐-、  li!i!i!i!i!l '、\
    / 、´ r广´` 、   ‐ 、、  /  / │‐..'′   ,,.. _''__.....-..〉 ノi!i!i!i!i!l  '、
  /..''j ''´、 厂  ''ー 、 .._  '、! .. ´′     ,,< r'-―゙´""゙゙゙゙〕|i!i!i!i!i!l   '、
../ ノ'( r'      i!/:;TTTヽ  ’ ;''゛  、 ..-"´      _,,....ri!i!i!i!i!i!i!l  ´
''  丿 ヘ   "ヽ.. ''i!i!i!i!i!| | | | '、 ' /   '"  ゝ '/....:--´゙゙`ノi!i!r--i!""
 i |,   ''    ゝ   ゙!i!i!i!i!i!i!i!i!i!l  '´   ./   ..-'゙^‐ゝ、  /´i!i!!'′、  ´
.. ⊥    ミ      . ''゙くi!i!i!i!i!l  i  ./   、     (-!′ '´ ''-´ ..ィ ッ

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 俊三は長吉から、固く口止めされた。
 軍の発表と異なることを言えばどうなるか……危険なことが明らかだったからだ。

 しかし彼は「中学生まで知っているのか」とも言った。
 ミッドウェーの大敗は、ある程度の大人なら知っていることでもあったのだろう。
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54 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:20:17 ID:XR3n4QoM


              ,: ´ ⌒^ ヾヽ
            (,, ""⌒ '' .. " ヾ )
          ,, . :::::::( ノ( ソ( 、ノノ..:::.... ,,..:::...:: ..
          . . ,, :::::::'''(, イ")ノ::..:::::,,:::"─ァ〃―┐〃―┐〃
        __,,ゝ . . .,,, :::::(’''....ノソ),,:::   /、  _____|  __| ……
        | □. . .ノ(~~ノ(’''''ソ、' :::: . ,,:::::
  _____|__,|_;|,,(、、...,,,Y),,,ノ:.:),, ,ツ..   ::::
 |ミ///   /   ~~|ミ|丘百~((==___
.└┼-┴─┴───┴──┐~~'''''-ゝ-┤
 ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三)
  ゝ(◎)(◎)(◎)(◎) (◎)ノ三ノ──ノ三ノ

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 ミッドウェー以降、戦況は徐々に悪くなっていった。
 もっともそれは、隠蔽され、正しい情報は国民に伝えられなくなっていた。
 そして、断片的な情報から、戦況の悪化を感じ取る国民……

 旅行どころではなくなっていた。
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55 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:20:48 ID:XR3n4QoM


          . -─‐- 、
      /        \
     / ̄       ̄   ヽ.          どうせ最後だろうから、
      / >    <     ハ,4L_
     :  (_ , 、 _)      ノ  /       戦時中でも旅行にいけるんならどこでも行くお。
     ゝ.  `ー'    _ <  /
      >,ー一 ""   ,/
   , <´ /         /
   1  _ イ        |
     ̄_i          ∧
     .´              `ー-.
    i     r‐- -‐、       i
    ゝ、_i      `ー─一'
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 しかし俊三は、いろいろと旅をしている。

 1944年(昭和19年)春に、関門トンネルを見に九州方面に行き、
 1944年(昭和19年)夏には、高校の友人と妙高高原へ行っている。
 さらに同年10月には、谷川岳のふもとにある学校の施設まで行っている
 と、旅行している。

 無論、すべて理由を偽っての旅であり、違法行為に近いものである。

 例えば、谷川岳は、当時在学していた旧制高校の友人たちと、
 「学校の研修施設を閉鎖しに行く」という嘘の理由で、学校をサボって行ったものであった。
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56 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:21:10 ID:XR3n4QoM


                                   o     ,.'⌒ヽ、
                                      _ノ⌒´     )
                                     (_       〈
                                     .`ヽ、__    !
                      ,.-''"i"⌒) 彡          `"'ー'"
           ザッ        /   ヽ、_イ
                    < ,. -、   /   o .
            __            ,へ/  /.
::       /- - \      // `"'ー-'   ザッ        o
      / (● ●)\  //
      (   (_人_)  )//7'ヽ.    ,. -‐- 、.         .
       くヽr'::ヽ‐-‐'´:/⌒ヽ'"´ /  /
⌒ヽ,     \\::::::::::::〈   〈___,/ /            ⌒`"'ー'
  ⌒`"'ー'⌒く:\\:::::::::::'r-'" 彡  i              ⌒ ⌒   ,.'⌒ ヽ、
      ⊂[[二二\\二> 、   ,'   ,.    .'⌒ ⌒
ヽ     ⌒//:::::`T\\\  ヽ /     ______.     ,.'⌒ ヽ、 ___/ ̄`⌒ヽ
      rく::::::::::::::::::::::::::\\〉、  i    ,'"  ヽ    ⌒  `"   ⌒``"⌒" ___

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 俊三は戦時中、中学から高校に進学しているが、
 授業はほとんどやらなかったという。

 授業をやりたくても、生徒が勤労奉仕で徴発されてしまい、授業どころではないのだ。

 俊三も、いろいろなところで勤労奉仕を行っている。
 開墾、用水路の工事、防空壕掘り、その他、毎日のように鍬とかスコップを持っていた。
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57 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:21:30 ID:XR3n4QoM

                  ___
                 /     \
____         / ノ  ヽ、_ U\
        |   ○ / (●)  (●)   \
 ◎     | (((i ) |    (__人__)   U  |  生産が間に合わないお
        |/ | ヽ \ u ` ⌒´     /   また残業だお・・・
 __   |  \ / ̄ヽ \_  _/フ  ̄  \
     |  |    \     ヽ/  _   i  |
__ |  |      |      :  | T|  .|─|
  ⌒\\ .\     .|      :   ̄.   |  |
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(__人__)./ ̄ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::  / ̄ ̄ ̄\
::` ⌒´./  ⌒  ⌒ ヽ:::::::::::::::  /  ⌒  ⌒ ヽ
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\  |    (__ / ̄ ̄ ̄\  |    (__人__) }
  \/、.     /  ⌒  ⌒ ヽ/、..    ` ⌒´  .ヽ
    \    /   (●)(●) |             |
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   |\   \/、.     /  ⌒  ⌒ ヽ──┐ |丿 
  | .\  \    /   (●)(●) |──┤ | 
  |  |\  \   |    (__人__) }──┤ |
  |  |  \  \/、.    ` ⌒´ ヽ\

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 昭和19年6月下旬から、俊三は工場へ動員された。
 飛行機の古いエンジンをオーバーホールして、舟艇用に改造する仕事だった。
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58 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:21:53 ID:XR3n4QoM


            / ̄ ̄ ̄\
          /  ⌒  ⌒ ヽ
            /  (●)(●) |
            |   (__人__)  }          ああ、そこの学生さん。
        /     ∩ノ ⊃ \
        (  \ / _ノ |  |        そこのシャフトをスパナ使ってボルトできっちり締めてくれ。
.        \ “  /__|  |
          |\ /___ /
          |          |
          |          |
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                                          /      \
     (製造物がしゃべるのはどうでもいいとして……)       /─    ─  \
                                       / (●)  (●)   \
     (敵性言語である英語をバンバン使ってるけど、)    |    (__人__)      |
     (別にいいのかお?)                     \   ⊂ ヽ∩     <
                                         |  |  '、_ \ /  )
                                         |  |__\  “  /
                                         \ ___\_/

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 当時は「ニュース」を「報道」、「ゲードル」を「巻襦袢」などと言っていた時代である。

 それなのに、工場の中では、あらゆる英語が飛び交っていた。
 シャフト、スパナ、ボルトなど……

 また、工員たちは気さくで面白く、猥談なんかにも耳を傾けた、と俊三は書いている。
 「俺のシャフトを突っ込んで、ピストン運動」みたいなことでも話したのだろうか?
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59 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:22:15 ID:XR3n4QoM

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         ´  、 `           ,:'  :、
           \ ('‐) `  .     _:. .: ' ,:'  :、      ,,..,,_
            \ ``   `,, ':;`"´ `;  _:. .: ' _ ,,. ''"`,.升心
             \   '‐- ` ",, ':;`"´ `;.:´_,,)   `''" ;ソ
                    \     '‐- ,,. ''"    ,:'  :、 ''"
                     ヽ,,  ,,. ''"  ,,.. - 、   _:. .: '  ..
, -:、             ,,.´ ''"   ,. "  ,, ':;`"´ `; ,:'  :、
   \        r¬;''"     :、´    '‐- ‐ 、 ''"  _:. .: '
    ` ‐-- ,,. '" `¨   .  ,,. ''" `,r''´'     ,, ':;`"´ `;  :
,,    ,,. 、 ''"      ,,. ''"´     `ヽ 、     '‐- ‐ 、 ''":、,
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"  ヽ    i ''"´                     \ " 、    ヽ
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 昭和19年7月にサイパン島が占領されると、ついに東京も空襲がなされるようになった。

 東京の空に初めてB-29が見られたのは、同年11月のことという。
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60 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:22:39 ID:XR3n4QoM

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           / ヽ  / \
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     〈__/  }| ::::::u; /  / ;::::|         やばいお、急いで防空壕に逃げるお!!!!
         / \     `⌒´_/
        /           \
       /      / ̄ ̄ヽ )
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| (__人__)'       i:|      爆弾落っことしてくるお!!!!
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 空襲警報が鳴り響き、人々はパニックに陥った。
 そして必死に防空壕などににげたという。

 初めての空襲は、どの市民もそれは怖いものであっただろう……
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61 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:23:04 ID:XR3n4QoM


                         _,---, _,,_
                 _,-'´☆/./(X)i
         ___n'___,Kニ)  /_,ノ    i、     ゴーッ
        (ミ-'-'   fkイニ___/ ̄=☆=  __,>-
        `ーー,ーー,ー,ーー,''''´ ̄ ̄
             ̄ ̄   ̄ ̄







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                      今日もまた、北のほうに行ったね。            | (●)(● )  丶
                      中島飛行機の工場狙いかな?              } (__人__)     |
                                                       i  `⌒ ´      |
                                                      ┌─┐      `' :、
                                                      ./| ⊂¨ヽ        ヽ
                                                      l│ ⊂  `ー

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 この当時、B-29が爆撃していったのは、主に軍事拠点などだった。
 例えば東京の周辺ならば、現在の武蔵境の辺りにあった中島飛行機の工場とかである。
 市民が生活する地域を爆撃することはなかった。
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62 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:23:40 ID:XR3n4QoM


                       /
                 ,. 、       /   /
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             / |l     ',  / /
        ,、     ,r'´  ||--‐r、 ',          空 襲 警 報 ! 空 襲 警 報 !
       l.l. ,..ィ'´    l',  '.j '.
       'r '´          ',.r '´ !|  \
       l!     ....:.:.:.:.:.:ヽ、   ,l    \
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                  あーはいはい、                 /    (ー)  (ー) \
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                  空襲警報だお。               \      ` ⌒´   /
                                            / ヽノ   ⌒\__
                                           / |      \___)⌒\
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 市民もそういう事情がわかってきたのか、だんだんと防空壕に避難しなくなった。

 俊三もサイレンがなっても避難するようなことはなくなり、
 飛行機がどこに飛んでいくかを見て過ごすようになったという。

 市民もこんな感じで慣れていったしまったようである。
 B-29が飛んでいても、誰も、驚かなくなった。
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63 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:24:05 ID:XR3n4QoM


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 そのようなアメリカ軍の空爆の様子がおかしくなったのは昭和20年3月10日の夜のことである。
 B-29の大編隊が東京上空に現れ、次々と焼夷弾を落としたのだ。
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64 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:24:27 ID:XR3n4QoM

                                    
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         ____
     .   /     \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \         あそこに見える火は……
    |         (__人__)|
     \    u   .` ⌒/         青山辺りがやられてるのかお?
    ノ           \
  /´               ヽ

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 俊三は、世田谷にあった自分の家から見える赤々とした明かりから、
 空襲を受けたのは青山の辺りだと思っていた。

 しかし実際に空襲を受けたのはそれよりずっと遠くの東側、
 いわゆる「下町」と呼ばれる墨田区や葛飾区、江東区の辺りであった。
 それくらい近くに見えるだけの大きな炎で、燃え上がっていたということだろう。

 世に言う東京大空襲、死者・行方不明者10万人以上という「大虐殺」である。
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65 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:24:43 ID:XR3n4QoM

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___________________  iニニ||ニニi       //      .    | |     (i ̄ ̄)ニ|_|
──────────────────  iニニニ||ニニニi iニニ`i  / |/   // 。。。| |       ̄ ̄.   __  _
───────────────           ||    iニニニニi    // / |/    |_|            (i__)ニ|_|
                                           / |/      O  (i ̄ ̄)ニ|_| __  _
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 その後も空襲は続いた。
 4月13日には王子・赤羽地区を中心とした北部。
 4月15日には大森・蒲田地区を中心とした南部。

 そして、5月25日……
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66 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:25:11 ID:XR3n4QoM

  ガバッ ! !  ______
        /:υ::─ニjjニ─ヾ
      /:::li|.:( ○)三 ( ○)\
      (:::||!.:υ::::: (__人__)):::: i|
    〃 ):::::::::::.   |r┬-| li::::/            空襲だお!
      /: : : : : : l\`ー '/j: : ::ヽ  
    \ヽ :ヽ: : : : 7ヽ />: : : :r:\ 
     ( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
      ヽ               \

67 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:25:30 ID:XR3n4QoM


            l|     ト、
          l |     ヽヽ.
         l |、 -‐lヽ-ヽヽ.
         ,イ 」_  | ヽ._ヽヽ
       / └-...二|  ヽ/.゙l
       l    ,. -ー\,,/. 、  l
      |   /____';_..ン、 |
     /、./´<二> , 、<二ン ト!
   / /,----─'(__人__)`ー、!            急いで防空壕に逃げるんだお!
  <-‐''"|       ` ⌒´   |
    `''‐.\           /
        /´⌒       ヽ  rー、
       /  ,       j /  ノ
 、    /  く}        l'  /
  \    ヽ   ヾ       |/          ―― [] ]
   \   \_ノ       j           | l ̄ | |
 \  \  (        ,/                |_| 匚. |
   ヽ、   ,へ      \ノ                     | |
  _ /  ̄   \     \               |_|
\\ \、__ /´ \      ヽ         [] [] ,-
  \\ ̄\ \    \    /           //
 ̄\\\ ̄| \\  //   /          匚/
 ̄ ̄\\\ ̄\ \//  /
 ̄ ̄ ̄\\\ ̄|  //  /
 ̄ ̄ ̄ ̄\\\ ̄\_>
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\\ ̄|_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\\ _\

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 その日の夜、ドスンという衝撃音で目を覚ました俊三は、
 いそいで支給品の鉄かぶとを被り、防空壕へと逃げ込んだ。

 山手地区の空襲の始まりだった。
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68 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:25:51 ID:XR3n4QoM


               /        i、
                /!        iヘ
              / i   _,,、、,,_   l ヘ
              / レ´::::::::::::::::::`ヘi: ヘ
               /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
            /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
              l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
           |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l      近くの家が燃えてるお。
            i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i      それどころか、うちの庭にも焼夷弾が何発も落ちてる……
         //! :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |\\     こりゃ、時間の問題だお。
.          //  | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | `\
             | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
             \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
            ,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...`丶、
            ノ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ

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 俊三はときどき防空壕の外の様子を確認していた。
 空中でばらばらになった焼夷弾のいくつかが、俊三の家の庭に落ちていた。

 また近くの家が燃えているのが見えた。
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69 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:26:39 ID:XR3n4QoM
                        ____ 
   _,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,__,_,_,_,_,_,_,_/~\\\,\\______________;
  /,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/ニ日ニ\\/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;.//ヽ
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  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| :|王||王i |ニi ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |三三三|
 ゞ;ミゞ |王|王| .  ||   |王|王| . |      |ニi  |王|王| .  ||   |王|王|.   |三ノヽミゞ;;;
 ソミゝ:ミゞ!LLLi   .||  .'LLLLLLi. .|      |ニi :.LLLLLLi  ||  LLLLLLi  |三;;;ミ;;ヽミゞ;;
 ;ノ:;:ヽミ;:;ミゞ;;;    ||        i=======i====i  .  .  . . ||  .    .    .|:ニノミヽミゞ;;;
 ソ;ノ:;ミ;;ゝミ;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ソミヽミゞ;;;ミゞゞ
 ソミゝミゞ;;;;    ..    .i^^ii           .i^^ii                      ;ノノii;;;ヽミゞ;::;;
 i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄|: |i         |: |i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 .~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i~i: |i'''''''''''''''''''''''''''''''''|: |'~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   '" '':'.'   .   .   ::  :     ''  "  '    .''    " : ' ."'

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 翌朝、防空壕を出てみると、宮脇家は燃えずに残っていた。

 庭には焼夷弾が落ちていたが、運がよかったということなのだろう。
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70 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:27:01 ID:XR3n4QoM

              / ̄ ̄ ̄\
             / _ノ   \_\
           /  (●)   (●) \
           |    (__人__)    |            心配だから、親戚のところとか、
           \    ` ⌒´    /            自転車で様子見に行ってみるお。
       ./ ̄\             ./ ̄\
       |:::::::::::::::i────┬────i:::::::::::::::|
       .\;;;;;/..      |       \;;;;;:/
            ...」    │  L
           /    /⌒\.  |
          i´    /      ..,|    ::::::::::::::::::
          ヽ、   |      ||   ::::::::::::::::::::::
            ,   |      || :::::::::::::::::::::::
          ./   |      :::.|く ::::::::::::::::::::::
          /::::::::..... |    . . ::::::|__)::::::::::::::::::::
         ヽ;;;;;;/.. |  . ...:::::::::| ::::::::::::::::::::::
               .|   .::::::::::::::|::::::::::::::::::::::
               、::::::::::::::::::/:::::::::::::::::
                .\__/:::::::::::::::

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 俊三は自転車に飛び乗って、渋谷方面へと駆け出した。

 身内や友人のことが心配だったからであろう。
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71 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:27:43 ID:XR3n4QoM

                                                 、Х
                                             〈`
                                               /\
                                              //.:::.:.::〉
                                          〉へ::.:/ヌ/〉
                                            /'个y´ ̄Lム、
                                         |:.'.;| [] . :::.ヒ!
                _                         |;'.:.| . : : : :ロ.::|
                   /:/\                       |.:::;|.: :.: :.:.::.:.::.:|
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工エ::「 /〈. ::〈|-、_/::::::..\r':.|.::[,/T>.:/ロ〃乢.: :: :〈〈       ̄└─匚|__| :| |:L:冂_| :|┐ .::::::ir==| |.:::.「.:[]:}il|{´
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: :|ェ| .:::::|:.:.|:::..|::::.|\.::::》: :::L;:.::r| .L/∟ロ⊥!        rュ    ´         '                 ルヘ:

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 世田谷の辺りは、まだ、まばらに家が焼けているような状況だった。
 家と家の間が広く、また田畑や林などもあったため、
 焼夷弾の直撃を受けた家しか焼けず、延焼はしなかった、ということであろうか。

 しかし、道玄坂の途中…渋谷駅の西側まで来ると様相が一変した。
 何も建物がなく、くすぶった丘があるだけになっていた。
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72 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:28:01 ID:XR3n4QoM

                                    __
                                    /|: : :.:::|
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ー|_}:;|    \';、.\|;';;;|   ./〉 |;|_r//  /| ̄\:|  |:|   ̄ .:〃../>.::|;'|:::::::::::::::/.:/:::::::::::
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 `     , '  .   `   ∨_,,,;;;;/. ~゛`┴ -'⊥ .」_;!__;!__;!__;!_;ト、 r─‐-、   ...:.:.:.::.:
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                     ,,       `            ~゛'' ‐-|\___ト--/.. ...:::::::./|
  `             .,     `    ,.            '     \|__;_;_;_;_;!─l二二二l/
.        `                                 `
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 山手線のガードをくぐり、宮益坂を見るともっと酷い状況だった。
 焦土の中に、がらんとうのコンクリートのビルがところどころにあるだけだった。
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73 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:28:21 ID:XR3n4QoM

                        ____
                        /     \
                       /三三二.    \
                      /三三二        \
                 |三三二          |         こ、これが……宮益坂かお?
                 \三三二         /
                    Y──----   く
                      /三二 三二二   ヽ.
                        l三二 三三二二   ',
                   l三二 三三.二二    ',
                       ,'三二 三三.二二.     ',
                  /三二 :∧:三三二二    ',
                    /三二 :/ ∧三三二二     ',
                /三二 :/ /  Y三三.二二    ',.
                  /三二 :/_フ   j三三二二    /
                (`ヽ____ノ    ,厶三三二二__ ..イ
                    ー ´    /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ixイi:i:i:ノ
                        /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i>'升:i:i:i:i:i′
                    /i:i:i:i:i:i:i:i,:´  l:i:i:i:i:i:i:i:i
                      /i:i:i:i:i:i:i:i/    l:i:i:i:i:i:i:i:i
                        /i:i:i:i:i:i:i:i/      l:i:i:i:i:i:i:i:j
                γ⌒ヽ、:i:i:i:イ    (⌒ー―イ
                     ー-----一′      ̄ ̄ ̄

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 宮益坂は、俊三が幼少の頃から遊んでいた場所であった。
 菓子を買う、本を買う、床屋に行く……みんな宮益坂だった。

 一軒一軒の店に思い出があった。

 しかし、焼け失せてみると、どこに何があったのか……思い出せなかった。
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74 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:28:48 ID:XR3n4QoM

            (               (;;、(,,,   、       (;; ;;''')) 、
  (;;((  ))      )   ノノ           ,,)    (
            ((   ,,,;)          ( (    ,;;)      (",)ソ;ソ ⌒)
.(;;、(;;⌒'')        )  ノ              ヽヽ  ,,ノ       ('"⌒;; ノ;;
,,,..   ;;⌒'')、    ( _ ⌒)               ) ))       ノ''⌒;;)⌒)..,,,
 (;(、(( .,,;;;;⌒),,     (  (             (,, (     (⌒;;;;,,.⌒)   )));)
::⌒;ソ⌒;;;;''')ノ,)ソ_,,,.....=) ノ--''''""""" ̄ ̄`゙゙ー‐-- ノ、,,,,,,,_,_ (;; `)⌒;;,,.⌒)  )));)
(;(((  (⌒.从从''"""^  )ノ        ....;;;;;;;::..         ""'''''从从,,,,,,'-、,,,  ,,,;;))
'';,,,,)_,'从从,,,,、     .'';;;"   ::::::;;;;;;,,,....               ;;;;;;:::::,,,' 从从,,,, )),)
,,,;;;;;;   ΛΛ   ,、...      ::::;;;;;           / ⌒・~
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    / ;:/ つ.・.                   (   ) ∪:::::::::.
 ~(    )                         V V   ;;;;;;:::::::::,,,
    ~ ⊃
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 警防団の人たちが、大八車に焼け焦げた木の幹みたいなものを積み上げて、
 坂を下りてきた。

 焼け焦げた木の幹みたいなものをよく見ると、それは焼死体だった。

 改めて道の両側を見てみると、焼死体がいたるところに転がっていた。
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75 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:29:10 ID:XR3n4QoM


          トv'Z -‐z__ノ!_
        . ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
      ,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
    rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|:::  ,.、
    、  ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ   ミ ∧!::: .´
      ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf::::  ~
    r_;.   ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
       _  ::\,!ィ'TV =ー-、_メ::::  r、
       ゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ:::  ._´
       ;.   :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.::  ,.
       ~ ,.  ,:ュ. `ヽニj/l |/::
          _  .. ,、 :l !レ'::: ,. "
              `’ `´   ~

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 手とひざをかがめ、仰向けになったまま、細く小さくなっている人が多かった。
 そんな死体をどれだけの数見ただろうか。何十体見たか分からない、と俊三は書いている。
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76 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:29:35 ID:XR3n4QoM


                                ,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
  イ三二二ニニニゞ                    ( j〉    」´ ̄ ̄``ー-、ヽ    .,.:,..:..    .,.:,..:..
               ... ,...               ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
         ,ィゞ          .,.:,..:..                               .,.:,..:.. ... ,...
             ー====-                         ー====-
  ... ,...                       .,.:,..:..                        ... ,...    .,.:,..:..
          _,  -─‐- 、ー‐-、ー-、  ;: ;:;: :;:;: ; ;           ,ィゞ
        ,イ、,r'⌒ヾ    ヽ ヾ ``''ー- -、-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:;  ;:  .           .,.:,..:..
       ,r/  (::;;:;:;;/ー-、  j  `,   _ /ィ´  ;:; :; ;:; : ;:               ,ィゞ
       ヽ 「i''ー'"´   ,r-‐'ー''''"´ ̄
                                              ,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
                イ三二二ニニニゞ                    ( j〉    」´ ̄ ̄``ー-、ヽ    .,.:,..:..    .,.:,..:..
                             ... ,...               ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
                       ,ィゞ          .,.:,..:..                               .,.:,..:.. ... ,...
                           ー====-                         ー====-
                ... ,...                       .,.:,..:..                        ... ,...    .,.:,..:..
                       _,  -─‐- 、ー‐-、ー-、  ;: ;:;: :;:;: ; ;           ,ィゞ
                      ,イ、,r'⌒ヾ    ヽ ヾ ``''ー- -、-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:;  ;:  .           .,.:,..:..
                    ,r/  (::;;:;:;;/ー-、  j  `,   _ /ィ´  ;:; :; ;:; : ;:  ,.-'''"-─ `ー,--─'''''''''''i-、,,
                    ヽ 「i''ー'"´   ,r-‐'ー''''"´ ̄


     / ̄ ̄Y ̄ ̄\
    /  ヽ,_.   ノ  \
   (ー)(○ )  ( ー)(○)         しかし……むごたらしいものだろ。
   (__人__)     (__人__)
   {`⌒ ´   彡 ` ⌒´ノ         どっち向いても焼死体だらけだ……
    {             }
     {      彡    }
     ヽ、    /   ノ
       .ン    ヽ
      //    |
  (⌒二_/ |  .  |

     【北杜夫】

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 宮脇俊三は見ていないので書いていないが、表参道方面のほうがもっと酷い惨状だった。

 北杜夫はこの惨状を目の当たりにしている。
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77 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:30:25 ID:XR3n4QoM

         ____
       /      \
      / ノ    ヽ,_ \
    /   (ー)  (ー)  \        あの空襲のとき、あの辺りの住民は、
    |       '        |        表参道を抜けて明治神宮に逃げようとした人たちと、
     \     ⌒    ,/        当時の代々木練兵場のほうに逃げようとした人たちに分かれたようです。
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |         ぼくは青山墓地に逃げたんですが。
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

      【奥野健男】

                                                  ____
                                                /      \
                                               /─    ─  \
  代々木練兵場は……今で言うと、                       / (●)  (●)   \
  渋谷区役所やNHK放送センターのある辺りだお。             |    (__人__)      |
                                             \   ⊂ ヽ∩     <
                                               |  |  '、_ \ /  )
                                               |  |__\  “  /
                                               \ ___\_/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 後で分かったのだが、渋谷駅の東側の人や、青山、表参道に住んでいた人たちは、
 大きく分けて二つの方向に逃げている。
 一つは表参道を抜けて明治神宮まで逃げようとした者。
 もう一つは渋谷駅の辺りを抜けて、今の渋谷区役所やNHK放送センターのあるあたり、
 当時代々木練兵場があったところへと逃げようとした者である。

 なお、奥野健男もこの辺りの住民であったのだが、
 彼は全く違う方向……青山墓地へと向かい、難を逃れている。
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78 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:31:45 ID:XR3n4QoM

  \;;;;;;;;;;;;;;;\      `゛          i--.... ..、     ゙l、;;;;;;;;;;; !      l;;;;;.! ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;:
: t 、\;;;;;;;;リi,;;; ! .ト、        _..-''゙ ゙゙̄'''-、L;;;;;;;;;;`''-..、   `''、;;;;;;ヽ,     l;;;;;;;.l/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 .ヽ\.ヽ;;;;;;゙V;;;} ,!.l       ./ ;;;;;;;;;.,..-‐'''''''''''ー 、;;;;;;;;;;;;;`'x  .v、`ぃ;;;;ヽ,    . l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;n.
  .ヽ;;゙'' l'、;;;;;;;;.l /;;;.!     ./;;;;;;; /  ,..-‐''ッ  ,,、`'./ ;;;;;;;;;;ヽ, ゙'.l' li.;;;;;;;\,,   .ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l,
!、  .ヽ;;;;;゙!コ;;;,iジ;;;;│     ,!;;;;;;/_,  .!  ー゛  .lヽ l;;;;;;;;;;;;;;;;.!  l;;";;;;;;;;;;;;;\   ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"
;;.l.  .li.l;;;;;;″;;;;;;;;;;;;;l.     !;;;;;;;;;;/, ┐  、 .i、.iii ゙' ! |;;;;;;;;;;;;;;; l  .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\、 ヽ,;;;;;;;;;;;;;;;;;:
;;;;.l   l;;;;;;;;;;;;...-、、;;;; l    .|;;;;;;;;;;'!゙;./  . |ハ、,_.x、   .|;;;;;;;;;;;;;;;;│  .!;;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'-、,,`''-_;;;;;;;
;;;;; !  .l;;;;;;;;;'~゙゙゙>⊥;.!   .し;;;;;;;;;./  ,i";;;;;;;;;;` !   l;;;;;;;;;;;;;;;;;;}  !;;;; ! .!;;;;__,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙ゝ、,゙''-.
;;;;;; !  .!;;;;;,./ '´ `''i;;;}    .!;;;;;;;;.!  /;ヾヘ;i、;;; l  ./ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!  !;;;; l !;;;;`'''√''''ー、、;;;;;;;;;;;;;~″
;;;;;;; !  .,!;/゛  ,、 i、.!;;l゙  _,,!;;;;;;;;;;;| .l゙;;;;;;;;;;;;;;;.│  ,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;│  !;;;;/.,/;;;;;;;;;;;;\_   `''-、;;;;;;;;
;;;;;;;;;!  .!;;;|、 〃 |}.!;;゙''i .!;;;;;;;;;;;;;;;;凵;;;;;;;;;;;;;;;;;; |  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/  /;;;/ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ̄ヽ  ゙'、;;;:
;;;;;;;;;!  .|;;; !    ‐r .!;;;;;.!  !;;;;;;;;;;;;;;;;!.!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.! _.!、;;;;;;;;;;;;;;;;./  /;;;.ゞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ  `‐
;;;;;;;;|  l;;;; !  !'~''"| .!;;;;;;;! .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l, リ、'│;;;;;; /  ./丶;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,.........、;;;;;;;;;;;;;;`'、
;;;;;;;l゙  l゙;;;;;;.! |";' l !;;;;;;;!、ヽ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;xv、 _;ヽ.l}、ヽ;;./  ,,/;;;;;;;;;;;;;;,,./ ゛ ,/゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
;;;;;/  .!;;;;;;;;;ヽ,|、;;;;| l゙;;;;;;_,,..ゞ''i;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;_.;;;;;;;;`'' |>,゙l|/;; `゛ ./゙;;;;;;;;;;; /   ┴¬'ー-、;;;;;;;;;;o ィ″
;;;/  /;;;;;__;;;;;;;゙!ミ;;;;,゙,.l;;,゙,, -'''゙゙゙";;;;;;;;;;;゙゙ー ,_`゙''ー、.;;゙ '.l'''''゙  ./;,、;;;;;;;;'リ′         __,,,,ゝ;;;;;;;.\.
;/  / ;;;;;`l.フr;;;;;;;;;;;;;_,,..―'''''''''''''ー ..,,;;;;;;;;;;;;;;;`''-、 ゙く;;ヽ   .!'",/;;;; /    _,, -‐'''゙´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
".,./ ;;;;;;;;;;;!゙;;;;;;;;,,./ ´   ,i'、   .,,、 `'''、.;;;;;;;;;;;;;;;゙'、 .l;;; l   / ;;;;;;.l  ,/゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,r"    ./゙ン′  ヽヽ  `ぃ;;;゙ミi.;;;; l .!;;;.!  l;;;;;;;;;;;.! ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..-''''゙゙゙ ̄ ゙゙̄''-
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i"_,    !ヾ   〟 _.`マ   ヽ; l. };;;/│;;;,!  .l;;;;;;;;ノ / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/     iー ,,.
;;;;;;;,iリ;;;;;;;;,l/゙;i|八〟   .,..,ii''7ニ'>i、   _,r、/;;;l/ / . !;./   l;;;;;/ ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./  ., ┐   `'、;;゙'、
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 アメリカ軍がこの爆撃で使用した焼夷弾というもの……
 これは、簡単に言ってしまえば、弾の中に油が入っており、
 それが地面で破裂することによって、油を撒き散らした後に、着火するというものである。

 そのような焼夷弾が広い道路に大量に落下すればどうなるか……
 道路は油まみれになり、しかもそこに着火されるわけだから……火が道路を這うように広がっていく。
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79 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:32:02 ID:XR3n4QoM


         ,..¨ ̄ ̄¨丶
.         /          \
        / ー :::::::::      ヽ,        表参道は、猛火が這うように広がって、
         /( ○)::::::::::::`ー            多くの人がその火に巻かれてなくなりました。
.        i     ::::: ( ○)    |
       \  ´          /        おそらく……明治神宮方面に逃げようとした人のほとんどが、
            \ ー    __/         あの火に巻かれて……
          /        \


                                                        /  ̄ ̄ \
                                                       /ノ  ヽ__   \
                                                     /(―)  (― )   \
                         ・ ・ ・ ・ ・ ・                       |.  (_人_)   u |
                                                          \   `⌒ ´     ,/
                                                      /         ヽ
                                                     ./ l   ,/  /   i
                                                     (_)   (__ ノ     l
                                                     /  /   ___ ,ノ
                                                     !、___!、_____つ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 広い道路を火が這う。
 まさしくそれが、そのとき、表参道で起きたのだ。

 しかも表参道には明治神宮に向おうとしていた人々がたくさんいた。

 道路を這った猛火は、容赦なくその人々を巻き込んだ……
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80 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:32:42 ID:XR3n4QoM

     ____
   /      \
  /  ─    ─\          うちの姉ちゃんは、練兵場に逃げようとしたけど、
/    (●)  (●) \        結局逃げることができなくて、渋谷川で一夜を過ごしたそうだお。
|       (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /        どぶ川に浸かって、火の粉が付くたびに水を掛けて消しながら、
(  \ / _ノ |  |          一晩を過ごしたらしいお……
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


                                                      ____
                                                    /      \
                                                   /_,ノ   \  \
                       ・ ・ ・ ・ ・ ・                     / (ー)  (ー)   \
                                                 |      '        |
                                                 \    ⌒     /

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 練兵場に逃げようとした人はどうなったか。
 彼らもまた、練兵場まで逃げることができなかった。

 彼らはちょうど当時渋谷駅の東側を流れていた渋谷川に逃げ込み、
 どぶ川の水に浸かりながら一晩を過ごして、かろうじて難を逃れている。

 運命の分かれ目といえよう。
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81 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:33:08 ID:XR3n4QoM

          ,r‐ 、
   z'Zr─~''''彡 ̄ ̄⌒ミーv─ -tf'.z
      ̄`'''''─ム/'⌒' ⌒ヽ_>'''  ̄ ̄
         /  彡、 ノノ:::
        / _,;彡'´⌒(´ ミ}:::
    _/ フ::::      Y ヽ:::
  (⌒こ))≧:::        jfう》:::
    ̄::::::::::        (_ノ::::::
             ___      _, --- r_,
            'ー-へ_ ̄ ̄ ̄       ゝ-- 、
                    ̄`ヽ     / ̄`ヽ  ̄ ̄`丶_
                     /    <{_、__.ノ^ー-- .__  _>- 、
                     `ー-- ._/二、ヽ       `ー^┴’
                              ̄

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 なお、3月10日の東京大空襲の折、多くの人が隅田川や荒川放水路に逃げ込んだ。

 しかしこのときは、あまりに火の勢いが強く川に避難していても窒息死するものや、
 凍死するもの、溺死するものなどが出たという。

 実際、空襲直後の隅田川や荒川放水路には、おびただしい数の死体が浮いていたという。

 一概に「川に逃げれば」安全というものではないのだろう。
 一瞬一瞬のタイミングの違いが、運命を変えるのかもしれない。
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82 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:33:27 ID:XR3n4QoM
     |   ヽ |:::::::: |  i  i:::::::  i  ____  |::::::i i    /..:::::ヽ \i i i i i i  |
   _,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,__,_,_,_,_,_,_,_/~\\\,\\______________; ...|
  /,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/ニ日ニ\\/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;.//ヽ
  /;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/!|      |/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,// ヽ\
 /,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/|      |,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;// 三 ヽ\
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| :|王||王i |ニi ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |三三三|
 ゞ;ミゞ |王|王| .  ||   |王|王| . |      |ニi  |王|王| .  ||   |王|王|.   |三ノヽミゞ;;;
 ソミゝ:ミゞ!LLLi   .||  .'LLLLLLi. .|      |ニi :.LLLLLLi  ||  LLLLLLi  |三;;;ミ;;ヽミゞ;;
 ;ノ:;:ヽミ;:;ミゞ;;;    ||        i=======i====i  .  .  . . ||  .    .    .|:ニノミヽミゞ;;;
 ソ;ノ:;ミ;;ゝミ;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ソミヽミゞ;;;ミゞゞ
 ソミゝミゞ;;;;    ..    .i^^ii           .i^^ii                      ;ノノii;;;ヽミゞ;::;;
 i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄|: |i         |: |i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 .~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i~i: |i'''''''''''''''''''''''''''''''''|: |'~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   '" '':'.'   .   .   ::  :     ''  "  '    .''    " : ' ."'
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 結局、宮脇家は焼け残った。

 これは当時としては奇跡に近いのかもしれないし、喜ぶべきことなんだろうと思う。
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83 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:33:48 ID:XR3n4QoM


                               
      |\     /|
      \|\止/|/ 
        \|\|/   
        /|\|\
      /|/ || \|\ 
      |/   ||  \| おたく、
           @||@   焼けました?
         | ̄|     ∧__∧    ∧∧
             ||      ( ´∀` )   (,゚Д゚,)    いや、もうきれいさっぱりとw
             ||     (     )     |  |
         |  ̄ ̄|===============================

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 しかし、気分的には家が焼けてしまった人のほうが、しっかりしていた。

 知人宅に寄寓したり、防空壕に焼けたトタンを乗せて暮らしていたり、
 暮らしぶりは酷いものだったが、反面、あっけらかんとしていた。

 「もうこれ以上は焼けっこないから」と胸を張っていたくらいなのだ。
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84 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:34:12 ID:XR3n4QoM

            ___
       /      \
      /ノ  \   u. \ !?
    / (●)  (●)    \
     |   (__人__)    u.   |         なんかまだ家が焼かれてないうちのほうが……
     \ u.` ⌒´       /
    ノ            \
  /´               ヽ

         ____
   .     /     \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \
    |         (__人__)|         すごく後ろめたい気がするのは、気のせいかお?
     \    u   .` ⌒/
    ノ           \

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 むしろ自分の家が残ってしまった人の方が、後ろめたい気持ちを有していた。
 
 俊三もそんな後ろめたさから、
 B-29の襲来を待ち望んでいる自分がいた、などと書いている。
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85 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:34:29 ID:XR3n4QoM

  /;:;:;:;'  ;:;:;:;:;:;:;;:;:r‐'     _,-v、            ヽ;:;:;:;/
 /;:;:;:  ;:;:;:;:;:;:;:r'´       ゝ゚、z'   _ ,,,, -- ,,, _ヘ;:/
. /:;:;:  :;:;:;:;:r'´         _ ,,, --‐';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;○}
./;:;:;:; :;:;:;:/´        _,r‐'´;:;:;:;''r‐'´       |  };´',´!,
;:;:;:;:;:;:;:;:;:/       ,,r´;:;:;:r'´             ノ ,|  ノ ヘ;:;:;:;:;:;:;:;
;:;:;:;:;:;:;:;:;|      /:;:;:r´         , , - ' ' ´,、/:; /|  ヘ;:;:;:;:;:;
ヽ;:;:;:;:;:;ヘ    /;:;:r,'       , , ' ' _,,,-7'´・´~ } |//    ヽ;;:;:;:;:
  `'''ヽ;:ヘ   /ヽ○/` 丶 _ , , ; '  _/;:; /` ー ´  | /ヘヽ    "z;:;:;:;:;
      ヽ_/: : : :":;:;ヽ、    _,,,r´;:;:;:;  `         |  入  z   "=;:;:;:
    /r'  `ヽ: :; ; ; ;:;`;:ー;:´;:;:;:;:;:'      ヽ      .|; ヽ \  三   {;:;:;:;:;:      残ったなあ……
    "z ヘ ´ヽ : ; ; ; ' ' ' ' '         r    / | ヘ  ヽ "   }:;:;:;:;:;
    ´7  ヘヽr ヽ ; ; ; ; ; ; ; ; ;     -=ヽ, /;     / |  |  ゞ   ;:;:;:;:;:;
   /,、   `\_ヽ ' ; ; ; ; ; ;              _   _/ ヽ|  |   ゝ   }:;:;:;
   ´,ト  "  | `;:;`、ヽ ; ; ;       , r '_´- ´  / ヽ ノ   |  /;:;:
   /:;:|  〆 | ヽ| ヘ |` 、 ; ;     ´ ´  ´ / 、ヽ / /|
 _,,ノ;:;:;:´|    |ヘ ヽ ヘ |  ` = 、 _    _  ノ  ヽ ヽ  } / ´ /

86 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:34:45 ID:XR3n4QoM

          ____
        /_ノ  ヽ\
      / ( ●) (●)、
    /::::::::⌒(__人__)⌒\
    |      |r┬-|    |          焼けたほうがさっぱりしたのに……
    \       `ー'´  /
⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒つ
  \ ヽ  /         ヽ /
   \_,,ノ      |、_ノ


                  ,,,......--::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
               ,-'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
              ,-':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
               〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
              キ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;--'"~ .i
              ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;---===イテ‐‐--、,, ,i、
                    ヤ   ,,-:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/-' 〉
                     〉、 ヘ::::::::::::;;;;;;--- ,--・フ .| ./
                     Y,、:::::ヽ,-‐・フ      ̄   |/,
                ヽ,ヘ    ̄   , 〉、     从 ヘ
                ,,-^,ヘ     ` ´    /-,,  ヾ            バカをいうなw
                .,-'" 〃 ヘ.   、____,   / | ヾ  ヾ -、
               '-,  冫 f`'-、       / /  j   j  ヽ
            ,__  ,/  キ j ヽ, `'-,--'"   /  〃  ,′ ,-
            \\,,,__  ,f  ヘ  `'-、_i ,7  ,-'  ,-" ,/  /
           / ,\\~ \,  ヽ         〃 ,,-'  /
              /   ∨`゙'\  `'-~ヘ,     ,,-'"  /   /
          7      \  "   ヽ ヽ''''''"   /   ,,-"
         7     〉 \      ヘ,   /   ,,-'"
         7       ヘ \ 丶       ハ,,,,  , -'"

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 長吉はしばしば、外に出ると、家を見上げて、
 「残ったな。」と言ったという。

 それに対して俊三が、
 「焼けたほうがさっぱりしたのに」というと、
 「バカ言うな」と笑いながら言ったという。

 実のところ、長吉もまた、俊三と同じ気持ちだったのかもしれない。
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87 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:35:18 ID:XR3n4QoM

          __
   _,,,, -‐''''.´ ̄    ̄'''ー=x
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::::::,, -''゙ ̄_ ,,. __ _x_ __ `'''::、::::::::i
゙Y゙ ィ '´_,,,;;::==--竺:-=::ミ、-.`ュノ
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:Tヽ;:;;/`'ァ‐。x;;;,___,,,;;;;ィTi、__
.{.iヽY  (_ _ノ〉   K(´゚ )`l:/ }::::、゙ヽ、
::ヾ,`|        | ゙ー  ,lイ /;;:;:ヾ、::.\          しかし家は残ったのはいいが……食糧事情は最悪だ。
,w'゙Yl       rV'〉   .,!ソ'' "ミ::jノ:::::::::::`ー        疎開をすべきだろう。
, .}ミi、     ` '    /ミリ ミ ミ::::::::::::/i::::..
ミ,, ヾiミヽ, -=ニニニ= ,,ムジ ,,ミ'゙::;ィ゙:://:::::::.
:::ミi, l:;:;ゞiミx、_   _,,,イミジ 彡゙://::/./::::::::::::
:::::::ミ、ヾ、:;゙ヾi}エケZ゙エヅ:/ ミ:;ィ゙ ,,イ::j'./:::::::;;;;_::

88 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:36:07 ID:XR3n4QoM

                                          /.:.-‐ ¬=‐- ミ:.       `ヽ
                                        //          `ヽ:.        \
                                .         /:/ _ .-一…ァ‐- .. _   ∨        ‘,
                                      ///´7     :/.:∧   . :`ヽ. i:.         ',
                                      ,〃´/ .′ ,   .:/.:/ ハ:     . :Y:.     :   :.
                                .    iV ′ ' イ  /   .:{.:/ ′ !:.     . :|:.   i   |  i  ∧
                                .    l′  〃イ {   . : /{    l:.     i: :|:.   l    |  .:| _ノ  ',
                                .     j イ   . :ハ.:∧: .__ハ/     L:. _ : : l: :|:.   '   .′ .:「     }
                                .    '/i   .:ハ′´  ′        `ヾ:.:|:.  i   イ   . :|_ ..彡
                                    ハ! . :_ノ __,     ー- -    }:.  |  ; ト:  . :|
                                    .:.:}ハ∧     :.     :. __   __ |:. . ; ィハ} i  :{
                                .     И.:.:.:.:.:. ,ィ=ャミ:、      'イ示夾厂| ,イ: :/}う ノ :. ハ
     家族別れ別れになって、            .    八.:.:.:.:.jハ rうzソ`       cゞ一't) レ厶'  xく  ヾ:ハ
     見ず知らずの土地に行くのは心細いぞ。           V´}':.圦 ´                r彡 ∧  Ⅵ:!
                                       !.:ト:ヽ      ′           /:. :._ /.:._トミ:. ヾ:.
     それに、東京のことが心配じゃ……              Y:.{:廴>、             .: У´ Y´:.:.:.:ー=ミ:i
                                        }:._彡{ `ヽ、  ` ̄ `     / .′  .′.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、
                                       「 ̄.:.:.:.:〉  } > 、  _ .. ´   } ' /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_:.-ミx
                                      ∧.:.:.:.:.:.:.{  《     Т      ノ   }.:.:.:.:.:.:.;. ´    ‘,
                                      : ∨.:.:.:.:.ト、  }`ヽ、  〉     ,{   /.:.:./.:./       ',
                                      i   V.:.:.:.:i! `ー{    `   ,.. ´├…1:.:.イ.:./        :.
                                      |   ヾ:.:.:jl  i:.|           〃.:  トミx.:{            i
                                      | 丶 \(!  l:.L._        '/.:   ト, 八!         |
                                      |   ` (´r}   :.ト、 }_        7.:  i }ミY^ヾ           '
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 B-29はその空襲以降、東京に来ることはなくなった。

 空襲もなくなり、家も残ったのだが、依然として食糧事情は逼迫していた。
 買出しをしたり、庭でジャガイモを育てたりしたが限界があった。

 長吉は自分以外の家族を疎開させるつもりだったが、誰一人疎開するとは言わなかった。
 そうであろう。家族ばらばらで過ごすのは心細いものなのだ。
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89 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:36:30 ID:XR3n4QoM

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           ゙:. _n__, '´_: , ‐-、 `ヽ_______ ii        `ヾl | i  { `ゝ
              ¶ i i      {{r、uj}     i i i ====== ニ| | i=!=
         ,. '´ li i_i  __∩ `ニニ´    i_i ト、__          | | i‐+‐
       r'´ ´(>r|‐r;i‐‐p=‐ ´ ̄ `   ‐‐‐=ヽヽ       | | i ii
       i'´l_`ヽi´i=ァ' / ´_____ ° 、    L_|! ̄}─r‐┬rl | i__jl_
       i (K); ii' / / /  l!D 51498 i!    〈l' `)iヽ! ̄`'''¬ー--i ┤!___
       i!: |ニ|i:;ijヽ ,' ,'    ̄ ̄ ̄ ̄     '   ! ! ̄`'''¬ー‐-i::::|..!___ ̄
       i!: l__jiノイij ヽ{ {‐、   (X))       :  i l ii ii ii i; ;: :::::i::::i::i ::
       i!i l:l  i   ', .   /`i!´   o  ij   ! ; ii ii ii i; ;: :::.:i:::.i::i ::
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       i!i l:l"""         ,,=、、          i!i! ;; ;; ;;   i ii:!
       i!: l;|             {{幺}}           i!i!===‐-- ! !!: ___
       ヽ.:!      __________v ー'ヽ          i!i!      ;::::iョ
        ii |il________ || ___i[] ̄´ii ̄´;; 。__      i!i!__       iョ
          `|i!_____:__ || ____jj。  ji_ o  __o   i「「´i         iョ
         |ii ii ̄ ̄ ̄  ゚:ll l「 `  :                 iョ
         jii lf、 0     jj lj_j                 ,'´` ,. iョ  ,...
          {{ |p ii_゚j_j__ ヾ.__             ..  ;:: .: : .:  `''´ `ヽ
    ,..     .`r‐rー r────┐゚゚         ,::´  `´`、       ∧
`ヽ._,'  `"ヽ.: .: ┼''ー'┘      |         r;'.:.::.:..    ;     ||1l
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      ∴∵∵∴∵∵∵∴∵∴∴∴∴∴”””"" ……‐---   、、、、_
”"" '''¬===──‐----゚ ° ゚  ゚

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 しかし、疎開せざるを得ない状況であったのは事実である。

 ちょうどその頃、長吉の知り合いが新潟県村上に疎開に向く場所があることを教えてくれた。
 長吉は、そこに家族を疎開させることにした。

 昭和20年7月7日。
 長吉を除く宮脇家の面々は、新潟県村上へと向った。
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90 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:36:55 ID:XR3n4QoM

                 |ヽ
                -‐┴┴‐- 、  _ノ\
            /: : : : : : : : : : : : :`<   ノ
            ': : : : : : : : : : : : : : : : : :`く ̄
           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
.         /: : : : : : : : : : : : : : : : :`丶、: : : :\
         ' /、: : : : : : : : : 、: : |: : : : : : `丶: : :\
           |イ `  ー――‐ヘ: :|: : : : : |: : : : : :. ̄ヽ
           | \         V: : i |、ト、: : >- 、: !
.         |: :l l`. .ー―― ¬"|: : : |:ト、|: : : :/⌒ヽ|      ・ ・ ・ ・ ・ ・
.         |i| | | |: :|: : : : |: :. :|: |: : :l|:|ノl|.イ/     \
         }レ ⌒、トl、_|l_: : }: |: : jイ<ィ//       ',
.         /     /   丶、イ/|  :レ/        ト、
        /    /       ヽ.」 .//        }::l
.       /     l         \//        / /::|
.        '     .!       l:   /      /―‐'′|
        ,イ       }        |   /      /::::::::::::::::::::|
.      {:|      ハ       |―'       ./ :::::::::::::::::::::|
      ヽト、      ハ      | `ヽ、   .人 :::::::::::::::::::::|
       |   ̄ ̄ / .!      ノl   \ /  \:::::::::::::::::|
        |    ./   |`ヽ-‐ ''´ |   ヽゝ    \:::::::::: |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 もう家族と別れ別れになるかもしれない。

 そういう沈痛な思いがあったのか、心細さからか、
 母は列車の中、ずっと押し黙ったままだった。
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91 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:37:19 ID:XR3n4QoM

        ___
      /      \
   /          \
  /   ⌒   ⌒   \
  |  /// (__人__) ///   |           ひっさびさの鉄道旅行だ、うっれしいな♪
. (⌒)              (⌒)
./ i\            /i ヽ

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 一方、↑こいつは、ひとり妙な感慨を覚えていたという。
 と、いうのも、「不要不急の旅行はやめよう」だの「遊山旅行は敵だ」みたいな中で、
 旅行目的をたずねられたらどうしようという、びくびくした旅行ばかりしていたからだった。

 それが今回に限っては、旅行する口実がある!

 そんな胸が張っていける旅行は久しぶりだった。
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92 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:37:40 ID:XR3n4QoM

      │       .__|........-- -‐‐'''' |"´      / : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
_, ... - - ‐ | '' "" ´´´´´´!           |       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
      ..l           |          │   ./: : : : : : /: : : !、: : :ヽ : ヽ ',: : : : : : : :゙ヽ
      l           l        !    /: : : : : : /: : イ |.l: : : : lヽ: :ヽヽ: : :ヽ、: : : :ヽ
      l           L......- - - ‐ ‐ ' ' ' /: : : : : : ::l: : :||: l l:::: : : | l: : ::| |: : : :| l: : : : : :ヽ
.______, ,  ┴ 一 ‐'' '  ̄´           i': : :: : : |: :l|: : l.|::| |: : : : l l_:_:_:| l_: : : | l: :l: : : : :l
                              .| : : :: : ::!: :l|: ::| |_l└‐"´      ___ ┘| :| : : : ::|
                         .|:: : : :|: :|: ::|Lノ---==、    ' ̄  `  |_:|:: : :l.リ
                        |: ::i: : !:: !V′           ___   |: |: : |
                     ......---‐'‐'''゙゙ l::: :|: : |: :!   ,,ィ===ゞ      彳示アゞ |: |: :│
    ____.. -一‐''' ̄´____,,...---‐'‐'''゙ /:: : |: : i: :| 〃ん::::ハ      '弋zン.   |: l: : :|    57歳の熟女の入浴シーンじゃぞw
---‐ ' ____.. -ーー ' ¨  ̄         /: :ヽ:ハ : :!: l   弋zン        ̄   .l: lr⌒ヽ
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              , - - 、、  ハ: : ::| ̄|: : ::|    ```     ′      .l: : |    │
      - '  ̄ ' ー"        / ∨: :|  .l:: : :l ヘ      r--‐ーマ    ノ |: : :|     |
     "         ....__,, _ ,へ'"   .∨∧ |: : ::|  ヽ_    `ー- -''   イ: : :|: : :|     | \
   /       ,,.‐ '´´    ン \\    ∨∧ |: : :|、   `' 、,,  - , イ: : l: : :/: ,:/    l   .\
  ′       /     ,r "    \\   ∨∧!: : :l`ー-、_   ` 7 _, |: : :|: : :|/.    l    \
  ′     /   ,,..‐'´          \\ ∨:.l: : ::l     ゛ヽ   〃´ |: : l| :: : |.    │、     \
 ′     ./   j′               \\ノ::l: : ノ           | : |.| : : :|     │ .\     \
 ;     ./     ゙、         _ ,, ‐イ. \: //                |:: :|.|: : ::|     |   \
 l      l  、 ゙、   ― --‐''ヘ|  ′   "              |: : |l : : :|.    |     ゙i
 ;     /   ;    ヘ        '、                   ,′  |: : |: : : |      lゝ、 _ /
 l    -、  i       ヽ、       ヽ  u         ヽ         |:: :|: : : |.    |r‐"´
 ;      '  |      ヽ、u      ヽ!                  |: : |: : ::|.    l
 i       ⌒´ヽ         ゙\       \            , 丶    ヽノ: : : |ー-  │         ,,
 ;          ゝ _ _ _ 、    ゝ、       ヽ-―ーーー 、-- 、/_,,, ‐一 " ̄\ :/     |    _..-'''"
 i               i  ヽ  /  \              \ノ          ゙      ノ  ‐''"´
 ;               i    `'  _,,, \          、 \ 丿               _ ‐'

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 途中、群馬県の水上温泉で一泊した。
 本当なら夜行列車で向えばいいのだろうが、さすがに乗れる保証がなかったのだ。

 宿泊先は学童疎開の場所であり、子供たちが元気よく走り回っていた。
 灯火管制もなく、電灯が明るく光っており、また温泉があふれていた。

 俊三はここしばらく、ずっと風呂に入っていなかった。
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93 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:38:02 ID:XR3n4QoM

                   ∧_∧           ∧_∧
                   ( =========( ゜∀。)
                   / ̄// ̄// ̄// ̄// ̄//_ //^\ゝ
                  / ̄// ̄// ̄// ̄// ̄//_ ///== \ゝ
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              ノ ̄ノノ ̄// ̄// ̄//  _ノ//======== \ゝ .
             .ヒ==,@==@,==@==@,==@== ノ人ノ     ∥      ン
               ̄∥~  ̄~ ̄~  ̄~ ̄~ ̄  ∥| ̄ ̄ .∥ ̄ ̄ ∥
                ∥==================.∥|=====∥==== ∥
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  / ̄// ̄// ̄// ̄// ̄/// ̄// ̄// ̄// ̄// ̄/// ̄// ̄// ̄//人_\\_
/ ̄// ̄// ̄// ̄// ̄/// ̄// ̄// ̄// ̄// ̄/// ̄// ̄// ̄//人人_ \\
@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@,==@ノ人_@_@、_
     |          |          |           |
     |  △ △ △  |           |  △ △ △   | △ △ △
    |=======| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|========|====

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 新潟県村上は城下町である。
 城下町を歩くと、伝統工芸品である堆朱塗りの店などが並んでいた。

 また、鮭の遡上の南限であり、鮭を獲るための柵が川に設置されていた。
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94 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:38:24 ID:XR3n4QoM

                  ,ヘ
      ____      / /
     /\  /\   / /
   /( ⌒)  (⌒)\/  /
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /          そこのおじさーん、
  |     |r┬-|       |
  \     ` ー'´     /           もしもよかったら、鮎分けてくれないかお!
  /          \
 /             \
/  /\           ヽ
 /   \          ノ
U      ヽ        ノ


                                                             , -ー,
                                                   /''⌒\      /.  |
                                      えーよ。      ,,..' -‐==''"フ  ./     |
                                                 ゜ ( ´・ω・) /      |
                                          /''⌒\    (   つつ'@.       |
                                        ,,..' -‐==''"フ   ゝ,,⌒)⌒).        |
                                        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ し' し'           |
                                                      |.        |
                                       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
                                          ~~~       ~ ~       ~~~
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 しかし夏場は鮭は取れない。
 その代わりに鮎を取っていた。

 少し譲ってほしいというと、快く分けてくれた。
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95 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:38:51 ID:XR3n4QoM

 .        ____
..          /        \
       / ⌒  ⌒   \
      / (⌒)  (⌒)    \
      |   '" (__人__) "'     |           東京と比べると、ここは別天地だお。
     \   `ー ´     /
       / ゝ         ィ'ヽ
     /                 \
   /   ィ          r   \
    |   `||           |ヽ  ヽ
    /⌒ヾ|          | |,  |
   ヾ___,ソl          │(、__,ノ
       |          |
         l    Y´     /
         ヽ,   (     ,/
          ヾ  |   |
         ≒;|   |
         (.("_`゙_)

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 食糧事情もよかった。
 米は配給以外なかったが、カボチャが好きなだけ買えた。

 また近くに瀬波温泉という温泉があり、ここは傷痍軍人の保養地であったのだが、
 誰でも自由に温泉に入ることができた。

 食べるものが食べられ、風呂にも入れる。
 東京とくらべて、まさしく別天地だった。
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96 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:39:16 ID:XR3n4QoM

      /           ',三三',      ハ
      }              }三三!     {  ヽ
      /           」三三L_
  /  /     , -‐=≦三三三三三三三三三ヽ
. /  /  ィ≦三三三三三二ニ=-≦=二''7,ハ///
/   ./=-───=≦`    / ''  /  ! |//
   / _ >-‐''  7       {ゝ-・‐'  |_ノ|//
_,ィ/!  >--‐‐・‐'           ヾ、.    |ニ!/
///|                     }     iニニ、
///|                   ′  .ハニヽ
V//!            , -─-ァ'/    !ヽニニ           久しぶりだな。
..ヽ/!            ' <ヽ./'´     //} }ニニ
  `}                   __    ////ニニ
  /` ̄ ̄}  ー、──── ´/ /`ニ=‐-}ニニ
. / { { { {!     ` ー--‐ ´ ./ / / ///ニニ
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 村上に疎開してから1ヶ月ほど経った、8月10日のこと。
 父・長吉がふらりと村上にやってきた。

 山形県にある経営していた鉱山に用事があり、そのついでに立ち寄ったのだ。

 「座れて来れたから元気だ」などとうそぶいていたが、
 食糧難だからだろうか、俊三の目には痩せたように見えた。
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97 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:39:39 ID:XR3n4QoM

                                        ,、:''"`ヾヾヾヾヾヾヾヾヾ
                                      ,//: : : : : : : : : : : : : : : : :
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二二二二二二二二/`'‐、゙、                  ヽ-''~_,、‐| :|丶─────────'
: : : : : : : : : : : : : : /~`‐-,,`-、            、,-';:;-'"` _ | | :l l ようこそ !        l
                i  ,、 ``ヘ             i"~_、、‐'j‐'" ` | :| l      天童温泉へl
                i  l `"'ヽ-ヘ          ,ノ"`_, , -'''゙l ll 田.| :| ,─────────、
: : : : : : : : : : : : : : : : i  l   i  :l         ,iン‐i゙`ヽ ''`二、-‐'│ :|      ii      ii
: : : : : : : : : : : : : : : : i : : l 、 、、、、l           ,,l田|..,.,, 、ヾ| l::田| :|      ii      ii
: : : : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : l          丿ヘヘ|温泉/二二二ハ二二二二二二二二二二二
二二二二二二二二ヘ________l         ”” |:::::|,,,,、ー'`: : : :,, ; :| |     ii      ii
 .  ┌──.\:  : : i : :..,,,...,,、;;ヽ、        |,,,,,|   、|丿丿...| |     ii      ii
   .|ようこそ: >~~~ヽ; ; ; ; ; ヽ',;;ヽ、  , 、 .   i´ヽ',',',',',',',| i'''''''ii  | |     ii      ii
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..、,、,..,゙l,'',,,、-‐'`` : | ゙̄l ~;: ;: ;: ;: ;l     .、.  |::::|   lヽ、^^^ヽヽヽヽヽ`,.ヽヽ/ヽヽヽヽヽヽ
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                                       : `゙""'':'ヽ‐‐-:..::;;;;;;;;;.
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 俊三は長吉の鉱山視察に便乗し、山形方面を旅している。

 旅程は疎開先の村上を出てから、当時父が経営する鉱山のあった山形県大石田で2泊、
 その後、天童に立ち寄り1泊して、その翌日に村上に帰るものであった。
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98 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:40:00 ID:XR3n4QoM

        ____
      ;ill'´      ̄\,,,
.       ( !' /\,i i,/⌒|!)          ぐえっへっへっへっ。
     人   `三゚'^゙三゚'〔
    /;;;| |⊂ー='ニ'ニ'二ア\         俺は旅館の主人だけどよ、
.   !;;;;;;l;|. |` ̄ ̄ ̄|゚ ̄! }l;;;;i         今日の正午に天皇陛下様のありがた~いお言葉の
   |;;;;;;;l;;j、|.      !゚. ||j;;;;;|        放送があるみたいだぜ。ぐえっへっへっへっ。
   |;;;;;;;;;;;へ!         !へ;;;;;〉
    |;;\;〔、 \     /  , |/
.   |;;;;;;;;;`ーヽ(´⌒) (⌒`)イノ;|
   |;;;;;;;;;;;;;;;| | ̄ニ ̄ニ! !;;;;〉
   ゝ;;;;;;;;;;;;| | ー-i-一| |;;/
     ̄| ̄ ̄    |   `T´
.      {         }.   |
     ゝ、     _丿  _,ノ
    (  ⌒    )     ̄)
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 天童で宿泊していたときである。

 正午に天皇自らのラジオ放送があるらしい・・・・・

 8月15日の朝、宿の主人から伝えられたと、俊三は書いている。
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99 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:40:34 ID:XR3n4QoM

      _____     ━┓
    / ―   \    ┏┛
  /ノ  ( ●)   \  ・
. | ( ●)   ⌒)   |         なんだお?
. |   (__ノ ̄    /
. |             /          もっとがんばれ、とでもいうのかお?
  \_    ⊂ヽ∩\
    /´     (,_ \.\
.    |  /     \_ノ

100 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:40:51 ID:XR3n4QoM


    /´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : }}: : : : :`:ヽ、
   ヘ||: : : : : : : , :r ,=_'_‐_´_ ` '‐= JL: : : : : : : : ヽ
  |: ||:||, - , = r´': / ,-, フ ` '_r‐>-、= -、: : : : : : }
  ヘ: >/竺ヽ}: : : r //:|´ r‐'´/   ヽ: : ヽ: : : /           ついに来たか・・・・・・
  ヽ{ !焦ンノ 二 } ノニノ .ノ  人 /_ノ  \: :ヘ:/
   {`'‐'-´ ‐::´:`´ノ人、 ヽ ヘ ´ノ  、  ヽ-‐,ヘ、          いよいよ重大なことになるのだから、
   {/::´::::::::::::/{  ・ヽ, ノ、‐`/ `i     /   `\        どんな放送があっても、黙っているのだぞ。
   /:::::::::::, r ' ´  ヘ ノ   ヽ_,,、 !、   /       ` 、
  /,::: r'i´゚ノ     `       | \_ ノ         ヘ: :\
  '´  | `r _ - 、             |  /          /: : : :
     .| 'ヽ ワ '          | /          /ク: : : :
     |  `   _ , -― ' ‐_、  ヽ、     _ , - ‐ ': : : : : : : :
      ヘ  r_'´- ‐  ̄      r`ヽ、<: : : : : : : : : : : : : :
       ヽ            ノ  ヽ \: : : : : : : : : : : : : :
        ヘ       , ‐ ´´  ̄ ̄ >==≧: : : : : : : : : : : :
         ' - -, 、r = ´ _, - ‐_, '''''/: : : : : : : \: : : : : : : : :
          /‐=`|  r'´r―ツ ´ ~: : : : : : : :
         {-‐i .|, -'―': : : : : ○: : : : : : :
       rノ´=´ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
    , r'r,´==´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

101 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:41:11 ID:XR3n4QoM


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            そ し て ・ ・ ・ ・ ・ ・


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102 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:41:28 ID:XR3n4QoM

i    /    / |  \|/
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   /   / ,へ      _--                         (
\   /   Υ  -─  ̄                          (´~
  ヽ    -‐  ̄                            (´⌒´"
.  |   ── ──── ─ ─── ‐‐ ‐         ゝ-'´⌒´ ( (,,,,,
  /    へ、                      (´⌒''´`´   (,,,,,´(⌒ヽ
/   ゝ   ヽ    ヘ                (´~' (´( (⌒` (´⌒´
  *\  \    ヾ        ヘ            ̄ ̄`ー─── ─- - ---
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l   \ △     \     ヽ           ヘ
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 その日は、酷く暑い日だった。

 天童から奥羽本線で赤湯へと移動した俊三らは、長井線(現・山形鉄道)へと乗り換える。
 そして、米坂線と接続する今泉に昼前に到着した。
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103 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:41:41 ID:XR3n4QoM


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 放送のことが事前に知らされていたのであろう。、
 駅前には街頭ラジオが置かれていた。

 正午が近づくにつれて、人々がどんどん集まってきた、と俊三は後に書いている。

 そして玉音放送が始まった・・・・・・
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104 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:42:14 ID:XR3n4QoM


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105 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:42:43 ID:XR3n4QoM








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        \ \__ノ ノ                     /    /|  \_ノ ノ
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)(  ∧_∧   )ノ (     ) ∧_∧  ∧_∧ ∧_∧(    )   ∧_∧) (    ) (
_∧(    ) ∧_∧ ∩_∩ (    ) (    )(    )∧_∧  (    )∧_∧ ∩_∩
   ) ∧_∧    ) (    )   ∧_∧  ∩_∩   (    )∩_∩  (    )∧_∧

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 放送終了後。
 一地方の駅の、駅前広場は、静まり返った。

 「時が止まったような気がした」と俊三は後に書いている。

 その場にいたほうがいいのか、それとも立ち去ったほうがいいのか・・・・・・
 広場にいた人も、同様の思いであったろう。
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106 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:43:10 ID:XR3n4QoM


                       ___、
                  ,,, -'''"´   .`゙゙''ー 、,
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              /                   `''-、
           /                       \
       ./                             ヽ,
      ./                                 ヽ
     ./                                ヽ         負けることは分かっていたが・・・・・・
    ./ ―-..____, i 、                            l
   /   ,..、 `  "    、                      l        これから、やる夫たちは、
   !   ,i 、 ^ !     ,,ノ  ヽ,,_                        l          どうなってしまうんだお?
   .,!   .l弋フ、/ -    l  、 . 二'ー 、、                  |
   l.   ゙>'゙      " .''i.二,、 `゙'‐ `''-、                !
   _|, /            l,弋ア--ヽ/               /
. ‐'″ ゙‐{                `゙''―-‐"               /
      `'- -‐|      ″                    ,/
       `' !ーミi、_.   _./                   _/'ー、,
            `'-,,`''二二コ              _,,.. -'"゛    .`''-、
           `''ー--、,       ___,,,.... -‐"゛               \
                 ̄ ̄ ゙̄´                        \

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 俊三は既に負けることを予感していた。
 そもそも父の影響もあってか、戦争に非協力的であった。

 しかし、実際に負けたことが分かったとき、自分という存在が何であるかもわからないような、
 呆然とした思いを抱いた、という。

 彼はただ、時間というものがなくなったかのように、ぼんやりしていた。

 広場や駅の待合室で押し黙っている人たちも、おそらくそんな心境だったのだろう。
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107 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:43:32 ID:XR3n4QoM


            _   _,
         ___,> Y´'ー-、
        _>z二_ ___`ー≧__
        >┴'´ ̄` ‐-、 ̄ 7 <
       /        ヽ `Y′之>
.      /  ,  l、 、 , 、 |  ヽ }<
      l ,ィ {7Tハ T寸寸 |  }ノヘ ))     まもなく、坂町行きがまいります。
    (( ,ヘ, |(●) (●) / / ,/ /
      '、 `|  r-‐‐┐ .「)'/|/ /
         \ヽ、ヽ、__,ノ _,.ィT/=/
        < l 7Eニ::ィ1    〉
         ゝ'イ/ヽ::::` 、 /
           i´ ̄ `ヽ::|
          j|       <
         /    ヽ  \

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 どれくらい時間が過ぎただろうか、女子の改札係が、待合室に汽車の到着を告げに来た。

 はっと我に返った俊三は、長吉と一緒に改札口からホームに入り、汽車を待った。
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108 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:43:53 ID:XR3n4QoM


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         ,. '´ li i_i  __∩ `ニニ´    i_i ト、__          | | i‐+‐
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       i (K); ii' / / /  l!D 51498 i!    〈l' `)iヽ! ̄`'''¬ー--i ┤!___
       i!: |ニ|i:;ijヽ ,' ,'    ̄ ̄ ̄ ̄     '   ! ! ̄`'''¬ー‐-i::::|..!___ ̄
       i!: l__jiノイij ヽ{ {‐、   (X))       :  i l ii ii ii i; ;: :::::i::::i::i ::
       i!i l:l  i   ', .   /`i!´   o  ij   ! ; ii ii ii i; ;: :::.:i:::.i::i ::
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       i!i l:l"""         ,,=、、          i!i! ;; ;; ;;   i ii:!
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 そうこうしているうちに、坂町行きの汽車が、ホームに入ってきた。
 いつもと同じように、動輪の間からホームに蒸気を吹きつけながら。
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109 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:44:12 ID:XR3n4QoM


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      /     \
    /    ;   _ノ′
   /     ∪ :::(●
   |         "`(__)         こんなときでも、汽車は動いてるお・・・・・・・
   \、          /´ヽ
     )       ィ ("_ノ
      / /⌒ヽ    ヽ ) |
      i l   |     |  |
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      |.|   |       |
      i〆  /       |
     ヾン´       l
      |     ィ  |
      l    |   /
        〉    ノ 丿
      /   //
      く、.,、,.,,(,≒,.,.,、 ,, ,. ,,, 、,,,., ,

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 「こんなときでも、汽車は走るのか」。
 俊三は信じられない思いをしていた。

 機関士と助士が乗っていて、おそらくいつもと同じように、タブレットの輪を受け取っていた。

 機関士たちは天皇の放送を聞かなかったのだろうか?
 あの放送は全国民が聞かなければならなかったはずだが・・・・・・・

 俊三はそんなことを思っていた。
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110 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:44:43 ID:XR3n4QoM

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    "z ヘ ´ヽ : ; ; ; ' ' ' ' '         r    / | ヘ  ヽ "   }:;:;:;:;:;
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   (  \ /__ノi ) , )
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     \_/    \_ノ
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 米坂線は俊三にとって初めて乗る路線であったが、
 戦争に負けたからと言って、何も変わることなく、汽車は動いていた。

 外は、まぶしい真夏の日差しであった。
 鉄橋の下を見下ろせば岩の間を川の水は間断なく流れ、
 山々と樹々の優しさは、重なり合い茂り合って、懸命に走る汽車を包んでいる。

 山があり、樹が茂り、川は流れ・・・・・・
 そして汽車は、間違いなく走っている。

 結局、戦争に負けても、なにごともかわりなく、汽車も自然も、運行していくものだ・・・・・・
 俊三はそう感じた。
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111 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:46:32 ID:XR3n4QoM

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爻爻ミミミミ=;´爻:彡ミミミミ爻; ,.r'"´  ̄| ̄〔`二´〕 ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄¨´ ̄ ̄ `ヽ
爻爻彡`、v,..v、゙ミミミミミミミミミ/     i:           i   i   i  i ((:::::))((:::::))  .i  i   i  i   i   i  i   .||  ||:|
ミミv;;ミ゙'爻爻ミ;}..v、yfミミ爻ミ l ┃ .::   .:i:   l´`l_     i   i   i  i   i   i  i   i  i   i  i   i   i  i   .||_||:|
゙':;ゞ;爻彡;yゞ;fゞ;”〈oヾvミ __」.┃「:!   i:    l二l_     i   i   i  i   i   i  i   i  i   i  i   i   i  i   .|| ̄||:|
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 1945年(昭和20年)8月15日。

 宮脇俊三を乗せた汽車は、東北の山々を進んでいった。
 これまでと変わりなく。

 予告された歴史的時刻を無視して、日本の汽車は、時刻表通りに走っていたのだ。

 「国破れて、山河あり」
 この言葉が、彼の頭に去来していた。
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                                                                【 了 】

112 :◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:48:35 ID:XR3n4QoM

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

今回は宮脇先生の名著中の名著と言っていい「時刻表昭和史」から、
終戦の日の部分までを題材としました。

末筆ではありますが、
あの戦争でお亡くなりになられた方の、ご冥福をお祈りいたします。


113 :短編祭投票日は16日だお![sage] 投稿日:2011/08/15(月) 12:53:18 ID:zfLoJmWo

乙でした。
リメイク前の投下でも、この回を読んだときはなんとも言えないものでした。


114 :短編祭投票日は16日だお![sage] 投稿日:2011/08/15(月) 13:11:23 ID:VhXc7HuY

乙でした






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うん……面白いな
当時の事情がわずかばかりとはいえ理解できた
[ 2011/09/05 03:55 ] [ 編集 ]

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