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現代文学のちょっとした裏話(リメイク版)  第32話「中公に宮脇あり」


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258 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 20:59:42 ID:U76udzZ2

こんばんわ。
ちょっと早いですけど、はじめます。

現代文学のちょっとした裏話。


259 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:00:03 ID:U76udzZ2

【中公に宮脇あり】

            ____
         ,. -'"´      `¨ー 、
         /             \
      /                ',
     ./                     ',
     l     \          /    .l
     l      \_i ,, i_/   U  l
     .',    `ー―'    `ー―'   ./
     / \      l   人   l    /\
  ./    `ー、   `ー´_`ー'  ‐'    \
  /                        ハ

           【宮脇俊三】

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 宮脇俊三は1951年(昭和26年)に中央公論社に入社している。

 校閲や「婦人公論」の編集などを担当し、
 ……まあ、いろいろの紆余曲折があった後、1956年(昭和31年)に出版部に配属されている。
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260 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:00:16 ID:U76udzZ2

,,,,,    ∧_∧ うまいモナー,,,,,   、 ,,,,,,   ,,,,,,,,    ,,,,,
 ,,,   ( ´∀`)___,,,,___ ,, ∧_∧ ゲンキニ シテルカナ・・・___,,
  / ̄ ( つ日ヽ   ∧_∧    (    )               /
/    (__))   (´∀` )   (    )    ∧_∧∧_∧ / マターリモナー
 ∧_∧∧_∧ドーゾ (日ノ )  | | |    ( ´∀`) ´∀`)       
 ( ´∀`) ´∀`)    ((__)  ,(_(_) (○)⊂   ) つ日⊂ ) モーナー
―(つ⊂  ) つ⊂ )―――――――――――ヽ|〃(⌒)(⌒) (⌒)(⌒)
   (⌒)(⌒) (⌒)(⌒)グーグー



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 「出版部は、雑誌の編集にくたびれた人の休憩所のようなところ。」

 宮脇は出版部の活気のなさを、このように述懐している。

 確かに雑誌で連載されたものを書籍化するのだから、楽な部署だといえた。
 それこそ適当にお茶など飲んで、5時で帰れるような仕事場だった。
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261 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:00:38 ID:U76udzZ2

    /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\
.  |(●),   、(●)、.:| +
.  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|           宮脇君、君にちゃんとした本の作り方を教えてあげよう。
.  |   ´トェェェイ`  .::::::| +
   \  |,r-r-|  .::::/     +     (こいつは後々使えそうだ……)
,,.....イ.ヽヽ、`ニニ´ーノ゙-、.        /^)
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ iヽ __ ‐┘(
    |  \/゙(__)\,|  i |´⌒ )二  ト、


         ___
       / ⌒  ⌒\
      / (⌒)  (⌒)\
    /   ///(__人__)///\           はい、よろしくご指導お願いいたしますお!
     |   u.   `Y⌒y'´    |
      \       ゙ー ′  ,/
     /       __|___
    |   l..   /l ソドム   `l
    ヽ  丶-.,/  |__  120日_|
    /`ー、_ノ / ̄ ̄ ̄ ̄/

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 そのような出版部の中で、こつこつと腰を据えて本を作っている人もいた。
 そのような人物から、宮脇はいろいろな技術指導を受けた。

 なお、このときの人間関係が、後々、大きな影響を与えることになる。
 宮脇の人生にも、中央公論社の社運にも。
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262 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:01:05 ID:U76udzZ2

        / ̄ ̄ ̄\
        /        \
     /  ─   ─   ヽ
      |  (●)  (●)   |          こういう地味な手作業は、やる夫の性に合うお。
     \  (__人__)   __,/
     /  ` ⌒´    \
   _/((┃))______i | キュッキュッ キュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/  /_________ヽ..  \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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 宮脇は生涯を通じて、議論などが苦手であった。
 また小学生時代からダイヤグラム(らしきもの)を作って遊んでいたという話があり、
 どうも手作業でこつこつやるようなことが好きなようであった。
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263 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:01:47 ID:U76udzZ2

                 _,,;;;;::--tt、_
              /"~ ̄~ ̄ ';,....::::::ヾ
              |;;;;:::::::::::::)       |
            ,. |____,,,,、、----‐‐'''"~ ̄ヤ 、
             |          _,、ィ"r--、
            ,,、-‐''"~トー--―ー --―'''''"''";;;;`>
          〈`'''‐-、;;;;;;--、\;;;;;;;;;;;;;;ノ-、ー'''"~
          ヽ   ! {;;;;;;;;;.},.- 、{;;;;;;;;;;;}' i  /          お前さん、旅行に関する文章、
           ヽ /   ,`ー'´〃 ヾヽー'  ト、/          「旅」に書いてくれんかね?
           / i   (ゝ.,_,ィr--- く_ァ' )  ! iヽ
          ,./`ヽ/,>    ̄ ̄     / ' ノ|
         / \`ヽ.  l_)________,. '",./ .(

                【岡田喜秋】

                                   /´.:':.:.:.:./:.:.:.:!:.:.:.: /:ハ:.:.:.:.ト、:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.丶
                                      .:': / /:.:|:.:.: ハ:.:.:ハ! \:.:| i:.:.:.:l:.:.:.:.:.i、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                              .     /: ィ:.: i:.:.:!:.:./  :.:.|    ヽ! |:.: /:.:.i:.:. l:.ヽ:.:ハ:.:.:i:.:.: l
                                  /´ /:.:.:.!:.: ハ:.:!   ヘ{ イ´ ̄  l:./i:.:.:.l:.:.:|:.:.:ヾ:.:|:.ハ:.:.:|
                                     |:.:.ハヘ:.L_ヾ  ´  ィヤ::)フ  }:' !: ハ!:.:.l‐、:.:.:.:.!':.:.:|:.:.l
                                     |:/  :ハ ,ミ     ゞ ´      !':.:.:.:.:'´`ヽ:.:.:.:.:. ' i:l
                                    !'    ヽハヒ}            !:.:. /`) 丿:.:.:. /:/!'
                                           ヾノ               !:/‐' /:.:.:.:.:.:.:Ⅳ
   ……鉄道について書かせてもらうなら。                    ゝ、            !ーi:.:.:.:.:.:.:.:i {
                                          \ 、 __          /:. |:.ハ:.:.:.:.:.!
   阿房列車みたいのがやりたい。                       ヽ ー `      . : : i }:' \Ⅳ
                              .                 、      イ: : : :. l      `ヾ
                                                ー‐ ´ヘ: : : : : : l       >‐-、
                                                    ゝ: : : :  l     ...:.:´:.:.:.:.:.:.:.>‐
                                                    _..ィヽ: :  !   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:´:.:.:.:.:
                                                _..:.:´{:.:./: :.}   .イ:.:.:.:.:.:.:.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:


                                                  【阿川弘之】

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 さて、当時、日本交通公社が出版している雑誌に「旅」というものがあった。
 後に宮脇も数多く執筆する関係で鉄道紀行のイメージが強い雑誌だが、
 当時はおろか、一時休刊に至るまで、国内外のいろいろなスタイルの旅行に関する雑誌であった。

 なお、紀行作家で有名な岡田喜秋は、長年「旅」の編集をしており、編集長をしていたこともあった。
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264 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:02:05 ID:U76udzZ2

         ____
       /      \
      /  ⌒  ⌒ \
    /    (●)  (●) \            「旅」はやる夫の愛読書だお……
    .|    :::⌒(__人__)⌒::: |   __
     \      `ー' / ̄ ̄⌒/⌒  /      この阿川なんたらって作家の文章、なかなか面白いお。
    (⌒\     /  旅  /    /
    i\  \  ,(つ    /   ⊂)
    .|  \   y(つ    /,__⊆)


    ―― [] []
   | l ̄ | |
   |_| 匚. |
      | |
       |_|     / ̄ ̄ ̄\
          / ─   ─ \
 [] [] ,-,   /  (●)  (●) \
   //   |    (__人__)     |           確か交通公社は書籍編集はやってないはずだお。
 匚/ / ̄ヽ\     `⌒´   /  ,.r-、
    /              ⌒\  P{三)       この阿川なんたらの旅行記を、
    /ヽ/^y          /\  \/\ノ        ぜひうちで出してもらうんだお!
   (、、J   |        /   ヽ /  /
       /       /     \___/
从从   (        /
Σ  ヽ、  へ      \
Σ  /  ̄   \     \
Σ_ノ \、__ / \      ヽ
            \    〉
            /   /
            /   /
           /  /
           \二フ

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 宮脇はこの「旅」という雑誌を、毎月欠かさず読んでいた。
 そして、そこに書かれていた阿川弘之の随筆に感銘を受けた。

 そこで、これまで「旅」を含め、いろいろな媒体で書かれていた阿川の鉄道に関する随筆をまとめ、
 単行本として売り出すことを思いついた。
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265 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:02:27 ID:U76udzZ2

      |┃三 ガラッ
      |┃  ____
      |┃/⌒  ⌒\
      |┃(●)  (●) \
───|┃:⌒(__人__)⌒:::::\          阿川さん、あなたの汽車の随筆集を、
      |┃  |r┬-|     |⌒)        中央公論社で出してみないかお?
      |┃   `ー'ォ     //
      (⌒ヽ・    ・ ̄ /
      |┃ノ       /
      |┃   つ   <
      |┃  (::)(::)   ヽ
      |┃/    >  )
      |┃     (__)


                                              __ ... -‐ 、
                                          , -.::''.:::::::::::::::::::::..`ー-.、
                                         /::::::/:::::::;::::::,:::::::::::::::::::::..ヽ.
                                        イ/::/:::::::;ィ::::/::::::::::::::::::::::::::::.ヽ,
                                         /::::i::::/.l::/l::ハ:::::,i::::ヽ:::::::i:::::::l
                                        /;ィ::{:/ー、l/_.!' |:::ハ:;∧:::::l:::::::l
                                       / |::| テ''ッ、` 丶ー- 、 i;:::|::::::/
        ティムポ出しながらうちに押しかけて、            .|::l    ,   'テ''z、 l:::リ::::::i
        「汽車の随筆集」を出したいねぇ……           .|/|   /   r.Kヽf''i/'lノリ
                                           ハ   `    | .| l .| |ノ
        奇特な人もいるものだ。                     ,小. - 、   .| .l/././、
                                       _,,ィ'´.H. ゙..   ,, -'"  ,/   ゙̄'ー、
                                      ''´ /  { '  `''r'´    /    / ヽ
                                       /   ヽ、 ,ィl   イ /     /   ヽ
                                      ./  .,ィ^i }_/_/l    |/     ,     i
                                      '.‐'" ヾ{;:::;}::;;/|.   l.    /     |

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 「ある日突然、ちっとも面白くないような顔をした編集者がお見えになりまして、
  おまえの汽車の随筆集を出してやるというから、これは奇特な人もいるもんだと思いましたよ。」

 「そしたら、ご自分の方が、よっぽど、子供の頃から汽車大好きなんだ。」

 阿川は宮脇と初めて会ったときのことを、このように述懐している。
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268 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:03:32 ID:Nnks1v92

鉄オタって、内部抗争がガノタ(ガンダムオタク)なみに細分化されてるようですしねえ


266 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:03:01 ID:U76udzZ2

        //:::::::::: :/        __,,.. .-‐ '''""~
       /∠: :_: :: :/__,,.. .-‐ '''""~
        | }:´~"''‐- '、Y
        | }:      i|
        | }:  お    i|
        | }:  早    i|
        | }:  く    i|             __,,.. .-‐
        | }:  御    i|   __,,.. .-‐ '''""~
        | }:  乗    i|
        | }:  車    i|
        | }:  願    i|                     _
        | }:  い    i|           __,,.. .-‐ '''""~
        | }:  ま    i|
        | }:  す    i|
        | }:      i|

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 そうして作られた本が「お早く御乗車願います」である。

 そしてこの本をきっかけにした、阿川と宮脇の交友関係は、
 宮脇が死ぬまで続くことになる。
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267 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:03:22 ID:U76udzZ2

          , -'´ ̄ ̄ ̄ ̄/
         /  _, -―' ,二\
         /  / , -、.   ,- `、.',
       /  / ./  .,-  、・,   ',
      ',   .', ,、 '   、・,   , --、.,
      ',   `'.|     ー'  /   ノ ',
       ',     |     ,  ___, ノ_)|
       ',_,-,/   ,. (_,ノ     ,'
          (  ,     /     ____ .,'
        `く    |    /   `ヽ、
         ヽ    |     / ,-、 .y、ノ
          ヽ  | .   〈=ニ-―'´`l
            ヽ       \_ __,ノ
            ヽ____     /_
           , -/   ̄ >< |`i 、
           ,. ' ヽ `ー、 /\;;;;;;l`;| 」 \
        /   `´7 `ー、 |;;;;;;ヽ| \ ', ヽ
          l     'ー 、_ \;;;;;;;;;| ノ ', ヽ
        |     、, -、`ー-`''''」 '   ',  ヽ
        ヽ   , ' ,- \           l  ヽ
         ヾ   '7 /,- ',    __,、- |-、 ヽ

              【松本清張】

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 しかしその結果、とんでもなく間の抜けたことを、宮脇はしている。
 というのは、当時「旅」では、ある小説が連載されていたのだ。

 その小説とは……、「点と線」。
 松本清張が書いた初めての長編推理小説であり、清張の名を世に知らしめた作品である。
 そしていまだに、鉄道ミステリーの最高傑作との呼び声も高い。
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269 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:03:43 ID:U76udzZ2
     ____
   /      \
  /         \
/           \
|     \   ,_   |          あのときは惜しいことをしたお……
/  u  ∩ノ ⊃―)/
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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 松本清張は「点と線」が出るまで芥川賞こそ受賞していたものの、
 そこまで売れている作家、というわけではなかった。
 そういう意味では宮脇が失念していてもおかしくはないとも言える。

 しかし先手を打って単行本化すれば、中央公論社にとって大きな財産となったと思われ、
 このことを宮脇は後々まで悔やんでいたようである。
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270 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:04:19 ID:U76udzZ2

               .  : : : : : ̄ミ:ー:‐: .
                /: /: : : : : : : :_): : :丶:\
                /: /: : : : : : : : : :i{: / : : : : ヽ
             , ';‐y': ://: :/ : : : ,: : :i|'^'Z: 丶: : : : .
           /: :)v : //: :/:/: : ://: ;.リ {: 、\j: : : : :,
            .′'V: : '/: :/:/: : :/,_:_/厶_ ): :\!: : : : i
          . : :,i:i:i: iTiメV: : ://:_/,__ ̄` く\¦: : : :|
           i: / !:!j:i炸テい//ィ炸テい,  ミv}:|:i: : : :|
           |:′|:i从 ヒ:ン゙      ヒ:少ノ^  j仏|」i : :i:|
           |{  い; ,`^ }     ゙^`, , ,  )'´r`Vi:|:|
          `   `{                  _j^7 从!:!
              ;.   , 、         ー /: : い
              iヘ.   } __)        /T^1| : i: : 、:}         「駅」をモチーフに作品ねえ……
              |i :i\{`マ    . イ! i:i l : i:| : l\: \
              リ/|: ;ハ ,‐r     」L|:i l : i:| : |  ): ;ハ       まあ、やってみるわ。
              .ノ' |/: /} }_j _/   い!: 从: :しイ/
           ,ィ`7冖ク′'¬'´)    /`''ーミ:{ .ノ′
              /¦ , / ` ̄`viヘ,   ∨      >、
          _/{ i V1 、 ̄`i_jノ )、/ ,   /  ,ハ
          八 、{/ |  `マJ }/    、{ , '     / j|
        ′ ヽ/   }   } ,/´ ,__    ∨ .   '  リ
         ,〈  (`'ー‐ァ′  .:″ }r2>   }/   .   丨
      / `辷`ニブ   ,:   )'´   .″/    |
         .>:ー‐ァ′   /}.         //      、j
      {/}  `ア゙     /厶、:.:... .  ..イ   /   __〉
     `マ /      /   `'ー=ニ´.:{__.∠二二、 {
      { ´      'ーヘ.          `ヽ   i\j
      丨     .〈 `'ー‐=≧            |_,ノ
        、   イ  \     ミ=‐-  ..__   ノ
        `¨´ ,}    \       \    〔 ̄
             八       ヽ、    `'‐-- -ヘ,
          {  \_      `             〉

               【幸田文】

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 また、この時期、幸田文全集の編集担当もしている。
 宮脇は幸田文のファンであった。

 なお、どうもこの時期に宮脇が幸田文にアドバイスして、
 出来上がった作品が「駅」だといわれている。
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271 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:04:46 ID:U76udzZ2

       / ̄ ̄\
     /       \
     |:::::       |
    . |:::        |          まあ別にいいですよ、今回のぼくの扱いなんて。
     |::::         |
     .|::::       __}          これの初回見ていただければ、
    /::::        \         宮脇さんとの関係はわかると思うし。
    |:::         _)
    |::::         i
    |::::        i  |
    |:::: 【北杜夫】 |  |
    \___、_____  ノ _)

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 1960年(昭和35年)、ゴネまくった北杜夫を適当に持ち上げて、
 「どくとるマンボウ航海記」を書かせて出版。ベストセラーとなる。

 その辺の経緯はダブるので、割愛。
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272 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:05:09 ID:U76udzZ2

      r‐- 、   /  }
.      \   \」 ノ
       >z=-、メ丶、`丶、
     , ': : : : / ,小: :l `\: : \
   //: : : :」 / .| ',:」:_: : : : : : 丶
  , ' :/: : : 'フイ/  | ヽ|ヽ`ヽ:レ: : : :',
  / ィ: :/: : /ィ=ミ    テミ、: :/: : /: :}
 //ハ:| : /仆イ}    トイ}ソ : : /: :/
   |: :|: ハ弋ン   弋ン/: : ,イ: :/          なんか友達に誘われて偶然試験受けたら、
   |: :|イ :}    '__   /: : /': :/           受かっちゃって……
   ∨ ',: :ゝ、  `′ _ノ: イ/イ/
      ∨  ヽ;ヲ  ヒ/イレ'             ちなみに父は詩人で姉は文藝春秋に勤めてて……
       / ̄/_ /  丶、             保証人は金子光晴先生です。
       /|  「  /    _」
.      ハ  | /  イ ̄ }
      | {ヽ レ' / /   /
      l />l∠ ィフ   /
      | レ   ヽ |/   /
      | / 入  }/   ∧
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 話は前後するが、1959年(昭和34年)、中央公論社は30名程度の新卒採用を行った。
 例年は1、2名だったのにである。

 週刊誌を出版するためであった。
 週刊誌を作るためには多くの編集者・記者を必要としていた。
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273 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:05:28 ID:U76udzZ2
                      _
                   | \      /^!
           O         |  ヽ.     /   |  o
                   o  ヽ   \  /   j
                    \  ノ^Y   /
      °        -‐─∠二ニ=≠<  ∠
           , '´  ::::/::::::::::::::/{:::::::::\ }:: \  ゚
.           /:/:::::: /::::::::::/::/ ハ:::l:::::::::::ヾ:::::: \     O
         ///::::::::/:::::`ァ孑/  / Ⅵ::::::::::::::|::::::::::::ヽ
           /::::::: ,':::::/ j/  /    |`ト、_:::::l::::::::::::::: ',  o
        O   /::::::::: |:::/           |::l::::::: ,'::::::::::::::::: i       なんで「週刊コウロン」売れないの~~~~っ!!!
            ,':::::::::::::Ⅳ ◯        |∧::::/:::::::::::l ::::: |
         i:::::/:::::::リ / /       ◯ ∨:::::::::::::|::::::::|   C   清張先生の担当になれたのに~~~~!!!
         |::/! ::::: {. / /       / i l::::::/::::::ハ ::: l
         レ' | :::::: ゝrく rー-‐- 、 j _j /::::/l:::::/ノ::::::|
.             l:∧/ '/ /)、`_ー~ー' fヽヽ`Y /|::/:::::∧::|
.             |ハ{.   (∨::`l ¨¨了∧   j'´ |/:::::/ V

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 ところが、中央公論社が新たに出版した「週刊コウロン」が大コケしてしまう。
 他社週刊誌と違う色が出せていないのが原因であったと言われている。
 確かに大手追随では、新規参入者が勝てるはずがない。

 週刊誌事業は赤字が累積、それが中央公論社の経営を圧迫するところまで来ていた。
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274 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:05:49 ID:U76udzZ2


             (ヽ
         __  ( i)))
        /⌒  ⌒\ \
      / ____________ノ  \
    ./::u:: ⌒__________( ○)(○)
    |    (⌒)|__________(__人__)
    ,┌、-、!.~〈`ー´/   _______|l!|li!|        あーた、このとんでもない赤字、
    | | | |  __ヽ__________ |ェェェ       出版事業でどうにかしろといわれても無理だお!!!!
    レレ'、ノ‐´   ̄〉  |
    `ー---‐一' ̄

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 その赤字をとにかく埋め合わせるために、
 次々と出版の新企画を立てないといけない状況になっていた。

 料理全集、育児全集、さらにはゴルフ全集……
 売れそうなものは手当たり次第に出版していった。

 しかしそんな付け焼刃の企画で、本が売れるわけもなかった。
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275 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:06:09 ID:U76udzZ2


     ____
   /      \
  /         \
/           \           「世界の歴史」かお……
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/            確かに読売の「日本の歴史」がヒットしたけど……
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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 そのころ、出版部では一つの企画があった。

 「世界の歴史」

 当時、読売新聞社が出版した「日本の歴史」が大成功していたときであった。
 その世界史版を中央公論社で出版してみたら……という企画であった。
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276 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:06:28 ID:U76udzZ2


      ____
    /      \
   /         \
 /            \
 |   _,   /        |       よりによって……
 \(ー⊂ヽ、∩  u    ノ       やる夫が担当になっちまうかお……
   |  | ゝ_ \ /  )
   |  |__\  ” /.
   \ ___ \ /

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 宮脇はその企画の担当者に抜擢された。
 宮脇は東京大学西洋史学科卒であり、順当な人選と言えた。
 また、「どくとるマンボウ航海記」の成功も、影響したのかもしれない。
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277 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:06:47 ID:U76udzZ2


          ____
        /      \
       /  ─    ─\           まあ、嘆いてもしかたがない。
     /    (●) (●) \
     |       (__人__)    |         とりあえず、東大に行ってくるお。
      \      ` ⌒´   ,/
      /         ::::i \
     /  /       ::::|_/
     \/          ::|
        |        ::::|  キュム
        i     \ ::::/ キュム
        \     |::/
          |\_//
          \_/

278 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:07:29 ID:U76udzZ2

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      || ガチャ
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
 |:::::::::::::::|| ノ  ヽ_\
 |:::::::::::::::||●) (●) \             失礼いたします。
 |:::::::::::::::|| (_人_)    |
 |:::::::::::::::||___   /             村川先生はおられますかお?
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

                             
                                         ,.. .::::゙゙゙゙゙゙゙`ヽ、
                                     ,'. ''"´.:.:::::::::::::::、:::::::、:.:.`ヽ
                                   ,.ィ´.:.:.:::::::::.:.``ヽ:::::.  ........: : :ヽ
                                  〃.::::::l:l:||:i:::::::、:::::::.`ヽ.::::::::::::::::::::.:.`ヽ
                                  レ'.::::l::l:l:||:|、;;;;:、::、::::.:.ミミヽ::::ィイ::::::::::::.:.ヽ
                                  l:!.:.l.l.:川1トミミゞミミミヽ.;ニニ三彡::::::::::::::::::}
                                  リ.:;l.l.:トト、ミミヽ>=='''''' `ヾミミミヽ:::::::::::}
                                、 _ノ,;ノノノ,. 'ニヽ`゙`'‐t〒テ  :: ミミレ' ヽ::::、::::゙i
                                彳i.:lj小 ,ィtテ;冫   ` ̄  :: ノノ い´',::i:!:::リ
                                  V,;i.:l.', ´~ノ         ′)_ノ/:!N::(
                                     ``ハ  く .:.;;;.          ,..イl.:l.:.:.VV
   おや、君は……宮脇君じゃないか。               ヾ',   -    ,.     /ハi.:l.:l.::.:ノソ
                                       ゙、 ´ニ二´     /  ノハl.:リリノ
   どうしたんだい?                         .゙、        /   _ノノ:\
                                        ゙、     /,. '´.:.:::.::::::::::::.ヽ
                                         `ーェ‐'彡'´ /ヽ.::::::::,. .:::‐‐\
                                        ,r'7⌒i`ヽ.::::く_/.:rェュイ─- 、:.:.:.\
                                          / ′/:l::::::.',.:::::::,..ム______ フ´¨¨¨¨``ヽ、
                                       {ぃ. /.:.:l.:::::::レ'´. : : :,r'"´. : : : : : : : : : : :.`ヽ
                                          い / _/:/.: : : `¨`7.;;;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..',

                                          【村川堅太郎】

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 そこで宮脇は、恩師である村川堅太郎東京大学教授に相談をしに行った。

 村川堅太郎。
 1947年より東京大学西洋史学科教授で、専門は古代ギリシャ・ローマ史。
 日本における古代ギリシャ・ローマ研究の泰斗として有名である。

 その一方で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞するように、随筆にも長けていた。
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279 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:07:55 ID:U76udzZ2

         ____
       /     \
.    /       \           このたび、うちの出版社で、
.  / /) ノ '  ヽ、 \         「世界の歴史」って全集企画をやるんですお。
  | / .イ '(ー) (ー) u|
.   /,'才.ミ). (__人__)  /         で、先生に、監修をお願いしたく……
.   | ≧シ'  ` ⌒´   \
 /\ ヽ          ヽ



      ,,、-''"´ ̄ ̄```ヽ、
    ,/           `-、,,_
   ,/       i, ;      ゙ミ三ー''"
   /       ハハ        ヽ,
  i" ,/ / ,〃i/  い、 \   いN
  / ,/ ,/ノ / ,ノノハ ト,、 ミ`'ー Vリ
  | レ'   _,,、ァチ-ーヒヽ| ゞヒs、ミヽ i
 ハ  rヘ ア'  <モテ;;   i' zッ、`i  ソ             へえ、そいつは面白そうだ。
  ゙Yf i゙ |ト        :i `` イ, ノ
  いヽ ゙!,      ,_ ;、   ,タ"               監修者の一人に私がなってもいいけどね。
   `i, `r、    ..__`_  ,リ
    ク',ヘ ゙:、    `''ー‐'´  /゙
   イ,ヘ ゝ\.     ̄  /
  f ̄`''ー─--ミ''-、,,_,,イ!‐-、、,,_
,/         ゙i,⌒ヽz¬"゙ヽ   i
             ト  ヾぃ  )  L,,_

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 村川は、宮脇の申し出を快諾した。

 しかしそうは言っても、膨大な企画である「世界の歴史」の監修を、
 村川一人でやらせるわけにはいかない。
 第一、村川は西洋史の泰斗であるが、東洋史は専門家ではないのだ。
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280 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:08:21 ID:U76udzZ2

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
                       __
        |\/|          厂 ̄ /
        ヽ `ー--、___/二 ̄/
         く\    \三/フ―<ニ\
  |`ー――----メ    V ∠-―-、__\
   \                     _ニ=、
    `ヽ、__       -、     ,,,-''~l | |
   ー=二フ         \  <_ヽ__/l ゝ、
      /      ヽ、 ∧  \  _ニ=‐ 勹 7
    /  /    卜、|l∠_\  ヽ、≧r‐-、| / |
   /  /    lハl/イ巾 > `ー-、|V「ニヽト、〈  |
 ∠_,イ/   | /i,)   V_ノ      )_ソl |< 〈
    |/|   /|//              乂ヒ/____
     | /  `iヽ              `y ̄ト、ヽ\::::......
     V     ヽ⊂フ            /  L 7ヽ ヽ:::::::
            \    _         /    / | |  ヽ::::::::
              `ー'フ~ /\    /    /  .||   l:::::::::
              /|`―<  〈\ /    /L/ |    |:::::::::
             /| |!、    ̄~ ̄     /|   |.   |:::::::::
            /:::::| ||. ヽ_____/ / _ |.   |::::::::::
           :::::::::|  ヽ \_ >  \   〃  ヽ|   |:::::::::

                 【貝塚茂樹】

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
    │            │
    └──────┘

┌─┐
│  │
└─┘

┌┐
└┘

  □               ,.r-‐''"´`丶、、..,,,_
              ,r'´ゝ、 ,r'´フ  ,、'r ̄`ヾ、
           /,イ`ヾー=彡' ,ィツイ/   ::ヾ`ヽ,
           ,!        ,ハ'´   ... . ::;_,ィミ l
             l,ィ,,,:':::ヾ ミ、;;;,.、-─゙'''ァty、::;ィヅ;;::j
          ,}``ハヽ;;;;, r'´ -─‐'´゙,ノ'ソイ'ヾ,;;〈
          /:..;;;,r' ヾ、リ  ,か)ゞ`' ,r'`ヽ,|トj;:リ
           {jj ハi ノi ,:トj         ,jテy ,ハ;;ir'
          ,!.;;:::;ヽゝ'ヾ'         ヽ  j-‐'
         {'ヘ、,ミジゝ         `ャソ ,!          そうだね。
            `ゞ リハ彳、.     ``ー-、, /           まず、京都大学の貝塚茂樹先生に、
            ゙,r-く,._イ, ヽ,    `ー  /            監修をお願いしようか。
           /     `丶ミ、_      /
           ,イ        `ヾ,ー‐r一'
        / `¨丶-、       `イi`ヽ、
      ,r'´ ̄ `ヽ、,イ `丶   / |,j、  'j
    ,イ         ヽ、  \,/ ,!j ki、,イ、
   /            `,    'i ``ヾ<'

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 村川は、共同監修者の一人として、まず貝塚茂樹京都大学教授の名前を挙げた。

 貝塚茂樹。
 1949年より京都大学教授。専門は中国古代史。
 それまで主流だった文献からの中国史研究に加えて、
 出土資料からの考古学的な研究の提唱をした人物である。
 また、新書を中心に多くの著作物を執筆している。
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281 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:08:52 ID:U76udzZ2

         /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ソ;:;:;:;:;:;:;:ゝ、
       〃;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:Yイ|;:;:ヘ;:;:ヽ:;:ヽ
        /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヾヽ;:;:;:ハ
     /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ
     ノイ;:;:ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノノ ハヘ ∧;:;:;:;:;:;:;:ヽ
      ルノノ;:;:;:;:ノノ;:;:ノ彡'ソ/ノ ヾミハ;:;:;:;:从リ
      /彡彡ニ彡イ彡ニニ"   __ ヘ;:;:ハル'
       ト彡イ イ.l|   ̄`   ´fォッ` /ソ''
      ヾ;;;;ヾ. ソ         {    ,'
       ル;;;;ヽヘ      ー-'   ノ                   もう一人……共同監修者にしたい人がいるな。
       从;;;;;;;;;|    / ̄ ̄ ̄`ミ辷ニニヘ
         >ハルj ヽ  l´        |  i `ヽ、
       |>ー--、.ヽヘ           /ニニ≧.  |
        |.:.:.:.:.:.:.:.:ハ ゝミ、      zヘ、___.  、 |
     /.:.:|φl.:.:.:.:トY´ ̄`Yニニ>ヾ::(    、 |___
--一'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.   ハ ヘ   |.:l´ ̄  、  ∨.:` ̄`ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.人   |::  J  j.:.:ヽ、       }.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>ト、___∠.:.:.:.:.:ヘ、.   /.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ミヽ='.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.:.:


        ___
      /      \
   /          \
  /   ⌒   ⌒   \
  |  /// (__人__) ///   |           だれだお、だれだお? すぐに連絡とりますおっ。
. (⌒)              (⌒)
./ i\            /i ヽ

282 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:09:18 ID:U76udzZ2

              _,,,.-―''''" ̄`''-,‐'´---- 、
            , ''"     rr、         \
           /      /iiii(从川  iii   iii;; \
           ノ      /iiiiiiiiiiiiiiiiiiiil ii iii   iiiiii  \
          / i   ノjノiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii| ii iii   jiiiiiii ゙、ヽj
        / ノンiii;;;iiiiillllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii ;;〃iii /j八iii  }
        !iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii_,,,.-ァiiiiiiiiiiiiiii〃,‐'ノノー_= 〉iijリ
        i、iiiiiiiiヘ_iiノ::::/iiiiiiiiiiiiiiiiiノ:::::::r ' I!:::  {jノjノ
         iiiiiiiiiiゝ:::::::/iiiiir'´ヽii 〔::::::::   ̄   \
         ゙、iiiiiiiiii iiiiiiiiiiiii{ 斤ヽ ヽ::::::.      ___ノ
          iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ、爪弋ミ゙::::::::::      j
           \iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii`Y´::::::::::::::::    ー=!           池島信平君を仲間に加えたい。
            }iiiiiiiiiiiiiiiiii/ノノ从::::゙、::::::::::::..   'ーf
           「iiiiiiiiiiiiiiiii/iンノjノ::゙、: ヽ:::::::::::::    i
           ヽi_i_ii_iiiii∧リ:_:_:_:_ヽ;;;: :`''‐-、_,,ノ
            |llllllllllllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiii\〔___
            |lllllllllllllllll_llllliiiiiiiiiiiiiiヽ与、-、ii、
           r'´`ヽ!!!lllll|_ ~`''}iiiiiii| ii|  ゝ\ヽ
         /llllllllllllllll\llllllllllll`┘iiiii| iiii|  ノ  }lL
        /llllllllllllllllllllllllllll\liiii\iiiii| iiiiii||___」iii|
        /lllllllllllllllllllllllllllllllllliiiii\iiiii ̄iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ
    /lllllllllllllllllllllllllllllllllliiiiiiiiiii/iiiiiiiii_iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ
   /lllllllllllllllllllllllllllllllllliiiiiiiiiii/iiiiiiiiiiiiiiHiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|


         ____
        /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━━━━
     /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                            ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
         イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。 ・

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 村川は、もう一人の共同監修者として、ある人物の名前を挙げた。

 池島信平。
 宮脇にとっては、考えられない人物の名前であった。
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283 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:09:43 ID:U76udzZ2

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
           ,-y‐ァ─‐- 、
         ,ィ7′ /o ,、-‐─`、
         l_   |_./ノ从iリ从、`i
  _.、-─'" ̄  ヽノ ,∠匕ノツ厶、 リ
  「   ヾー…  / f′ィテ  くzト ノノ
 .|     \ _,.、イぅ'! . .  , 〉 ,!′
 |      i | ヾ,ゝニ!   -=- /  
 |      i |  ア」」 \  `´ /   
. |     /i ト、_ソ  ̄lミー‐〈ヾ、
  l    / l 'ヘ l l  /|ヽ `''´ )ハ、_
.  l     l   l l /ヽl`ー一',仁_   ̄三T 、
  l     l    ll  i      |    ̄ ̄了!  l
.  l    l      l     |  _    | ! ノヽ、
   ',    リ      l     | 廾    l/  <丶、
   ゙、   /       l    | {,、}     i  ,、-''´`丶ユ、
    ゙!イ        l   |      ,レ'´_,,、- `ー'^ヽ

            【池島信平】

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶
    │            │
    └──────┘

┌─┐
│  │
└─┘

┌┐
└┘

  □          ____
           / ノ  \\
          / (●)  (●)\
        / ∪  (__人__)  \           ちょ、ちょっと待ってくださいお、先生。
        |      ` ⌒´    |
         \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)     池島さんは、東大西洋史学科の大先輩ではありますが……
        ノ  | / / /   (⌒) ./ / /
      /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  ::::::::::/      文芸春秋社の大幹部ですお。
     |    l  |     ノ  /  )  /
     ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /
      ヽ __     /   /   /

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 池島信平。
 文芸春秋新社取締役。
 菊池寛から「文藝春秋」の名前を仲間たちとともに引き継いだ後、「文藝春秋」を中心に、
 同社の出版物の多くを編集してきた人物である。
 他社とはいえ宮脇にとっては「神様」に近い存在であった。

 そのような人がこのような企画に関わるか……宮脇は不安だった。
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284 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:10:14 ID:U76udzZ2

   ./      ィ-、    _、-'"、 `ヽ ヽ、
  /       `''゙  ,、-゙    !  ヽl, ヽ|
  !       _、-'デ. , | ,l,:イ川ト、i、`ミ彡ィ, 
  ゙>-、,,,,,,,、-''ニ゙=ラ゙ノ ノイイ/イノ,ム-ゝミF''"ハ  
  i゙,'゙  ,r' -=ニ彡ィェ幺-ミ: ";゙;ィェr | l レ'ノ  
  ゙|  l゙,rニ、ア゙ "´-:セ)`,   i `´ .レ''′  
   ヽ ,ハイ へリ      ; '  'i ' . |    
    `ッ' `:、ノ!_       ,.._ ,〉  ,!`ヽ,                     面白そうだな。
    彳,ン  ミー、       _,,...、 ./`i ト--、
  ,、-(レ'シ'ノク「 i:、     ̄ー'' ./レ」  ゙i,ヽ `ー-、,,_              やらせてもらおう。
-''"  f,、ィ'::( `、 ゙i`''-、,      /グ  ∧゙i,     `ー、__
     |.l 'v∧ >'`ぅ、>-ェ -‐'ヂ  ,/.'/,ノ,..、-‐…'''"゙´'-'゙)-、,,_
    ,|.l::': (! ゙ / /,オ゙   「 ,∧,.、-゙‐'"へ、_,、、-ー=''"´
    | i:::::`;、゙V :( ,l゙    .レニ-'" :-''"  :、 \     `ー-、,_
    レ''' ネ、`'i_  ソ  ,、-''"        ト、 `>
    ,、-' ト-ヘ, `ーゥ'ア          、 ヽ,゙_ノ^)
-‐''"´    ,.r''~ス´-ヘ、          ヽ、 )-'′
      /  ハ,/ >、    ,、r'て` ノ'′

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 しかし池島は快く引き受けた。

 「週刊誌の失敗で苦しんでいる中央公論社を助けてやろうという気持ちもあったようです。」
 宮脇はこのように述懐しているが、実のところ分からない。
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285 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:10:37 ID:U76udzZ2

          , -‐ ──ー‐ - 、
        ,r'´          ``ヽ、
        ,.'´      , '´ , ,ィ 、:;,、`ヾ、ヽ
     /       ,イ  ,イ // ,!川 `ヽ`ヾ
      /   ,   ,i / , ,イ///,!l ,!lヾヾ,ji,j リ
    ,!  i l ,!lイ / ,イ,!j ,リ,/!i/l! li ヽl,!,l,!
    | i  l il !i j/ / ///l;// リ' ,! ,! ,ィ'i;i' '
    i ;i  l i|リy' ,//,イi-!イ=リ-'  斤jヽ           なあ中公の白饅頭。
    ゙, i,l. ij /,イ> ,イ/  ,イじィ' .:::. ヽ l
     ヾヾj川,r‐-'´           .:::, , 〉 |           世界史って実に面白いのに、なんで学者が書くと、
        \ヾj、レ'ヘ               !           あんなにつまらん物になっちまうのかね?
       `リ.:;ゝ、_ゝ_  r-、`ーy'´`Y´`ir‐y-、
       ,rーリ/レ' (   ヽ、ヽ ヽj `Y j  |  l  l、       もっと、面白く、分かりやすく書いたっていいんじゃないか?
     / ト、ヾ、'゙"ヽ   ``ゝ  l  V  ,!  '   \     俺はそれをやってみたい。
    ,/   \ \ \     \_,   _  、_ ー   !
   ,イi     `ヽ`ヽ、r-、     `ニ=-、_      l
  /  `ヽ、     `ヽ、ヽ `ー'"´ ̄ヽ  l;;lィニニニゝー}
 ´      \     /`i ヽ,   l l  l;;i〔21;21〕III、
      /´\   /   |  ヾ,  ,! |  `|ヾニニソ   ゙i
     /    \/    |、   j ,! ,!   ,!´ ̄``ー‐-',
   ,イ              ゙i、 ___,,、-'‐'"i |       |

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ただ、池島の後の著作や、いろいろなところでの発言を考えるに、
 どうも池島は、当時の歴史を取り扱った書物について、不満があったようである。

 歴史という題材は面白いのに、なんでそれを面白くなく伝えようとするのか?
 もっと分かりやすい伝え方があるのではないのか?

 その辺りのことも、同業他社である中央公論社の企画を引き受けた要因かもしれない。
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286 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:11:01 ID:U76udzZ2

         /{
           / '|                  ,イ
            l                 //
         ′ |               __,ノ /l
       {   水Zr=='二⌒´込ミー- 、/   /' |
        ,√`ブ´                 \ {  !
      {仏イ  ´ /´ ̄\ニ二≧='⌒ヽ   `ー 1
       〈/ {ノ ト、{      \ \      ヽ. i
      ,イ  ノ ̄| \       \ \    、 l l
     ノ厂フ'   l'   \       ヽ      j |
    //! ' ノ !  、     i、        ∨ |
.   //ハ   i i |_\   │>、ノ\}  j\〉 |
   ,ノ'′ }! } }  !ノ  \  | 芹抔ミ | l/   l  l
      {i i j lVレィ'万ミ \,j   込ソ j/   リ V           のう、宮崎さん。
        从N川ハi八し'ノ  ゛         /イ l/
        }乂廴≧=一    、        / レ′           そちにも一筆書いてもらいたいんだが……
          `ーヘ     、__ .... '  /ト匕!
             > .      /|川ブく
            〈`ー'^二 ー-'´-‐'´ ̄`八
            `7ー          ∠コ}
           __ノフ^ー      -‐'´   〈


                                                      , -;‐;‐;-;、
                                                     / __ ‐-‐___ ',
                                                       |  -` ̄- |
                                                     ,|_(二)ー(二)_.|_
                                                    { |´  、,}   `| }
                  ……わかりました。                         `! / 小.ヽ  |'
                                                     |   、、 '  |
                                                    ノ{\ 、___, /ハ\
                                                  / { ヽ >ーく  / |  \
                                                 ,ハ ヽ ∨ヾフ'∨、__,|  ,ハ
                                                 / ヽ く´ ヽハ,/  ヽ   /  |

                                                     【宮崎市定】

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 その辺りの考え方は、各巻の執筆者の人選にもつながっているように思う。

 例えば、宮崎市定の起用などが典型例であろう。
 確かに宮崎は当時の中国中近世史の大家である。
 しかしそれ以上に、岩波新書「雍正帝」のような分かりやすく面白い文章が書けることが
 決め手になっているように思われる。
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287 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:11:26 ID:U76udzZ2

\ \\       ┏┓     ┏━━┓                    ┏┓┏┓   /\\\\
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\\\ _>. ┗━┓┏━┛ ┃┗┛┃ ┏━━━━━━━━━━┓ ┃┃┃┃     二_\\\
\-=ニ   ┏━┛┗━┓ ┃┏┓┃ ┃                    ┃ ┃┃┃┃     _-   \\
  \\\  ┗━┓┏━┛ ┗┛┃┃ ┗━━━━━━━━━━┛ ┗┛┗┛      ̄二=\ \
\   -=ニ     ┃┃       ┏┛┃                    ┏┓┏┓     < \\ \
\\  /      ┗┛       ┗━┛                    ┗┛┗┛ .,r-'" ̄丶、 \\\ \
  \/ ィ   ,.---- ,、r-- 、  / ̄\ / ̄ ̄ 、ミヾミ三ヽ_      //゙丶、   \ \\\
\/'''" / / \\\ /ハ!、   \ \\ ` \\  y゚j、゚ uV、 i \\  V'。゙"。 \ r.、 |  \\\
\\  //   r--- 、 //。゙´。゙、   ヽ   _____     〈r---ヾ/ trj  、、、 / い  しリfZj/ \ \\
\\\   ,.-tニ=-、 \イ|〈__  u\  i  ヘ ̄くヽ ,..r---! ̄ ̄| i f_ /。v。゙ミ化ニニニヾ  H \ \ \
   ____  `ーj゚〈、゚ u゙vヘ| !ヘト-゙ヽ  |  i|  |゚L゚ u /j、     ヽフ_ノ/ !、| .ふ.u!fjヾV  |! ノ ゙ヽ,、
 /jヘ、 ヽ  kii==ヾ | f!.   ヾ==''/!ハ!''ー .,|!テヾ / ナ ゙ ⌒、    ゙、/  /`'' ̄---ミ==//  /   ̄''ヽ、
 〔゚}{゚〕uVi| 、-!i__,,,!jノ !゙   フィ、 / |  |  ''-" V ゚〈、 ゚  `!i .rミ, .|`-"/      /匸ヽ /    /
  ヾテヾ、〈| 〈゚i_゚ヒ,,/ / フ ̄//|ヘY、 |  .| / ヽr (r 、   し ル!ソ人 /      /     ̄     |
   Y=ノ//ヽ-!-〉''不-"  /〈 | : ト 、/ / |  i、 ニ゙     ク"/゙''-,,_       | i
  /ヘへ / /       ! / | : |  `7.| /|   | >.、___  / /    丶、  |ヽ
 r"   :c   |、!、      |ヽ |  : |  / |! |   /〈 ェ,ヽ.r<   /    / ヽ | ゙、
 !、ヽ  :c   |ヽミ.      | ゙、 |  :.| /  |   /i.  V Y ヽ/    /    i !、/ .、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こうして制作された「世界の歴史」は、発売されるやいなや、飛ぶように売れた。

 初回配本の売り上げが10万部を超えたのだ。
 これは全集ものでは滅多にないことだった。
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288 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:11:46 ID:U76udzZ2


.     l~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄l
    l   , '⌒゙'''ー-----‐ ''⌒ヽ、  |
    |  /::    ` ー--‐ '´   ヽ、 |
     | ./::    ` ー----‐ ''´   ヽ│
     | レー- 、.._        _,,. -‐.、.| |
     | | ̄``''‐ .二ll   ll二 -‐''" ̄| |
    r‐、|:: ===。=~   l=。=== | r‐、
.   |l^|.|:: ` ー--‐1::   l ー--‐ ´ |.|、l l
    !l._||:::  ` ー-‐l:::    lー-‐ '   ||ノ,リ          「世界の歴史」のヒットで、
   ヽ.|!: / , 一' l:::    l ー 、ヽ. |!ノ           我が社も売り上げを持ち直したようだな……
    / | /   └‐^ー^‐┘   .ヽ. | ヽ.
   / │.!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | |  ヽ.         これを機に「週刊コウロン」を休刊する!
‐'''~|.  | |      ー─‐       |   |~`ー-
.   !   ト 、 ,.. -─rr─‐rr‐┬- 、, イ.   |
  |.   |r''´        __  ̄,ノ /|   |
  |    l ''  ,r=ニ二「~|    ̄./ .|.    |
  |.   |  ⌒   " | !~`'''‐-,、  .|     |

          【嶋中鵬二】

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 「世界の歴史」のヒットは、「週刊コウロン」で赤字になっていた中央公論社の経営事情を、
 大幅に改善させた。

 それに乗じて、「週刊コウロン」を休刊することにする。
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289 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:12:15 ID:U76udzZ2

      *   ____
    + 。 / \  /\ キリッ
       / (ー)  (ー)\+ 。 *
     /   ⌒(__人__)⌒ .\
  + 。|      |r┬-|    |  + 。
     \     `ー'´   /             第二出版部部長だお!
       \ ,,,,    ,,, / + 。
       /        \
     / ,、      .l> ,>
     \ リ       l <
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 しかし問題は、週刊誌部門にいた人々の配属先であろう。
 かなりの余剰人員が発生していた。

 そこで、出版部を従来の文芸書籍を扱う第一出版部と、ノンフィクションを扱う第二出版部に分け、
 出版部門を強化した。

 そして、第二出版部には、「どくとるマンボウ航海記」「世界の歴史」と、
 ヒットを次々出してきた男……宮脇俊三が部長に就任した。

 宮脇は当時34歳。中央公論社の中でもずば抜けて若い部長であった。
 おそらく、当時の企業社会の中でも、これだけ若い部長は珍しいのではないだろうか。
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290 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:12:39 ID:U76udzZ2

         ___
       /     \
      /   \ , , /\
    /    (●)  (●) \       部員の諸君!
     |       (__人__)   |
      \      ` ⌒ ´  ,/      まずは「岩波新書」と「カッパブックス」の研究だお!|
.      /⌒~" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ
      |  ,___゙___、rヾイソ⊃
     |            `l ̄
.      |         

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 第二編集部に求められていたこと……
 それは新しい新書シリーズの構築だった。

 宮脇は、先行するシリーズであった、岩波新書やカッパブックスを徹底的に研究した。
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291 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:12:56 ID:U76udzZ2

          ____
       / \  /\  キリッ
.     / (ー)  (ー)\
    /   ⌒(__人__)⌒ \   今日も会議をやるお!
    |      |r┬-|    |
     \     `ー'´   /
    ノ       __ \
  /´        l   l 


            ___
       /      \
      /ノ  \   u. \ !?
    / (●)  (●)    \
     |   (__人__)    u.   |       会議が下手な人の仕切りじゃまとまるものもまとまらないってのw>
     \ u.` ⌒´       /
    ノ            \
  /´               ヽ



<「会議の進め方」ってレジュメでも作ろうかw
            ____
   .     /     \!??
      /  u   ノ  \
    /      u (●)  \
    |         (__人__)|
     \    u   .` ⌒/
    ノ           \

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 しかし、元来の出版部組に加え、週刊誌組も混ざっている部署である。
 書籍に対する考え方にずれがあり、その刷りあわせに一苦労したようである。
 元来の性格的な問題もあった。

 この当時一日おきに会議をしていたが、
 まとまるものもまとまらず、時間だけが過ぎていった、と宮脇は述懐している。
 あまりの会議の仕切りの下手さに、それが批判のネタになったり、
 挙句の果てには「会議の進め方」なるレジュメが出回るくらいであった。
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292 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:13:18 ID:U76udzZ2

     \ヽ   | l  //                  \ヽ  | l  //
       . こ   . な                       :  ス
   二ニ : の   : ん  -‐               二ニ   :  ゴ   -‐
    -‐ ! 本   ? だ  ニ二               -‐  :  イ  ニ二
        は                            !
     //   | l  ヽ\                  //  l |  ヽ\
        _,r~~~~.、
        r' _,r~~~~、ヽ                       _--、, -z._
       { ノ  u `ニニ´ ヽ.)       _,-ーvーz_       >::::::::::::::::::<
.      { L_ r=== u.==、l′     イ ,、,、,、,、,、 ヽ      /::::::::;:::ハ:::、:::::ヾ
       {r=i| r 。=  。=、 |       | l--、 v,.-ヽ|      イ:::ィ/K u >ヘト:::|
      {|L||ij `ニ7  lニ´v|       1|⊂・ ・⊃|,l      .h:「こ・j=「・う]:n
      {`ァ| r─' L_」 ー、|     {f|L ∪ v」|f)     |f||: ̄,」 L ̄:||j.|
    _/{/ :| |(二二ニ二)|.       `|.⊂ニつ l´       ヽl ‘‐u‐’v:レ'
-‐'''"´::|:::::ト、 ヽ_ , , , ,一, , _人        ,ゝ、.二. イヽ_      _/l.ヾ二二フ∧
:::::::::::::::|::::::| \  ̄`¨フ丁 |:::: \-‐''"´|: :|、.__,.|: :|: `>ー''"´|: :|\.二./|: :「`'''ー- .、
::::::::::::: |:::::│  \__/ |:::::|::::::::::: \ : |,.へ.  /へ|:/| : : : : :│: |.\  /| :│: : : : : l:ヽ.
::::::::::::::|::::::::|    ,.イ:ヽ. ,|::::::|::::::::::::::::::〉、 : : ヽ/: : : /: :|: : : : : :|: : l   X.  |: : |: : : : : :|: ハ
:::::::::::: |::::::: |ヽ/ 〉:〈.∨|:::::::|:::::::::::::::/::::| : : : :|゚: : :;ハ : :|: : : : : ;>:|/〉〈\|:<; : : : : :|/: : l

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 1962年(昭和37年)、中公新書創刊。
 「事実のみを持つ無条件の説得力を発揮させる」という刊行のことばを打ちたて、
 初回から魅力的なラインナップを押し出していく。

 初回刊行分のうち、会田雄次「アーロン収容所」がベストセラーとなり、
 さらに第2回刊行分では、三田村泰助「宦官」がベストセラーとなった。
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293 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:13:42 ID:U76udzZ2

             |
               ||
                |:|      ,ィ
             ,ィ  | |     //
         /::! /∧_   /:::/
\      _ /::::{ ///:::〃::::≦≡==--
: :\ /   {::::::::Y:/::::::/:: ̄ ̄`ヽ.
: :ト.、.\_ト、..|:::::::::|:{:::::/:::::::::::::::::::::::::::\
: :  \:::::::::\}\ 从 //´ ̄\ ::::::::::::::::::\
: :   > 、/:\://:::{:::ヽ :::::::::::\≦:、 ̄`ヾ:、
: :      :/:::::::::{::{ハノ:::::::::\:::::::::::\ \   \
: :     〃:::::::::::|::|:::i::::::::::::::::}::ヽ:::::::::ヽ
: :    //::::::::::::/|::|:::|::::::::::::::ハ::::ハ::::::::::::::、
:    //::::::::::::/_.|::|::八::::::::/〃}/:::iハ::::::::::::',
: :  //イ:::::::::/≧圷ミx}:::/,ィ尓刈i|爪:::::::::::i
: ://_/ :::: 〃ん尓゙ヽ l::/ 弋少 ノ:|  }ヽ::::/
、 {У:::::イヾ ゞ_ツ  / \   レ′/  }/        __
 \ /ハ!   ̄       /  /   __           /  }
   }:天ミ∧      、_ ノ /   {  ヽ      /  /       わしも「史記」っつうのを書いててのう。
  八:::::`ヾ \       ,     i   |   /  /
  }「 ̄}ト、 \ > . _/       ヽ  廴_/   く__
_/¨>/// \    /            Y      /: :  ヽ
 / ̄ ̄>//\={::::>.、      ,′     {{: : :   /
く___/ ̄ ̄ヽ\::::::::{入     i       ゛==く
///////::>―――\::/::::∧      \ ノ  /    }
/////////////////∧:::/::∧     | ヽ  {___  イ
/////////////////|i∧:::/::∧_     |  Y´ ̄ ̄   !1
/////////////////||::∧:::/::∧}   |  ヽ __/ |
/////////////////||::|:∧:::/::∧  |         ヽ
/////////////////||::|:|:∧:::/::∧   |         /}

                                                      , -;‐;‐;-;、
                                                     / __ ‐-‐___ ',
                                                       |  -` ̄- |
                                                     ,|_(二)ー(二)_.|_
                                                    { |´  、,}   `| }
                   私は「科挙」です。                         `! / 小.ヽ  |'
                                                     |   、、 '  |
                                                    ノ{\ 、___, /ハ\
                                                  / { ヽ >ーく  / |  \
                                                 ,ハ ヽ ∨ヾフ'∨、__,|  ,ハ
                                                 / ヽ く´ ヽハ,/  ヽ   /  |
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 さらには貝塚茂樹「史記」、宮崎市定「科挙」とベストセラーが続いた。

 中公新書の初期を支えたこれらの名作は、いまだに中公新書のラインナップとして入っており、
 多くの書店で普通に手に入る著作である。
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302 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:17:19 ID:Nnks1v92

宮崎市定の「科挙」は、このスレを見て読みました


294 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:14:04 ID:U76udzZ2

         ____
         / _ノ ヽ_\
.     / (ー)  (ー)\             しかしまあ、「世界の歴史」「中公新書」ときたら、
    l^l^ln  ⌒(__人__)⌒ \            次は「日本の歴史」全集って……
    ヽ   L   |r┬-|    |
     ゝ  ノ  `ー‐'    /            なんてうちの会社は安直なんだお。
   /   /         \
  /   /            \
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

295 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:14:25 ID:U76udzZ2

          ___
         /     \
       /   \ , , /\
     /    (●)  (●) \
      |       (__人__)   |           しかし……やったろうじゃありませんかお!
     \      ` ⌒ ´  ,/
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /

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 中公新書が軌道に乗ってきた頃……第二出版部は新たな企画を立ち上げる。
 「世界の歴史」に続く歴史全書シリーズ……「日本の歴史」である。
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296 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:14:45 ID:U76udzZ2


        ,. -‐''~´   _,/ )          _,. -‐ミミ
       | ̄ ̄ ̄`~/ヽヽ_ノ____,,,._-='_二-ヘミミ/
       ヽ;;;;;;;;;;;;/,_  レ'<弋;;;ッ、 ヽ_,/,./i;;;;;;ラヽ .//|
         `'''''/ `ヽY/  . ̄ ̄/| /ヽ `'―'''´‐ !/ |
         /   ノ! !_   _;;;|  | |  |;';;;  ,| |//./      やらせてもらおうじゃないか……
        l´/´‐'''‐'-‐'''~ヽ' ̄ ヽ__i'''ヽ__ノ   ̄| | |/
       .// (´`´   _,.ノ彡彡 ,`ヾ''´'´ミミ_ / //ミミ       わしと、児玉幸多さんと竹内理三さんで組めば、
       / /    '‐''~   )/''‐-----‐''~´|川 iミ/川ヽ       面白い仕事ができるじゃろう。
      /  /     j‐' _,. く  :;;;,,,,,,,,,,,,,,   /川 /|川
     ./ /        '´  ノ彡〃川川ヽミ川,.-'´/lll/
    / /        )) /ノ〃川川川ヽ,.-'´  |/
  ,.-''''~~~''-、       ノ~´ ヽ,,,,,,__/    /

                  【井上光貞】

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 日本史学の世界は、世界史以上に学者間の考え方の相違や派閥にうるさいところがある。
 それをまとめ上げるのは宮脇も苦心したようである。
 しかし井上光貞や児玉幸多らを企画委員として中心に据えることで、解決することができた。

 井上光貞。
 東京大学教授で、専門は日本古代史。
 山川出版社の一番最初の日本史教科書を執筆した人といえば分かりやすいかもしれない。
 民俗学にも造詣が深く、後に国立歴史民俗博物館の初代館長になっている。
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297 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:15:11 ID:U76udzZ2

    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
 / ̄ ̄ ̄        /|
 |\_______/ |
  |          __ ヽ_
  |   |     /     / |`'''ー------‐'''''フ
   |   |    /    /: :ノ        /
__|ヽ \  |   ,.-'´: :/     _,.-''´
    | :`'ー----‐''´: : ,.-'´  _,.-Tミ ̄              宮脇君。
'‐-、_ \____,. -二-‐<ミ( ) |ミ、
   `''‐-、__,._- ,=tラフ  ミkノ /ミミ、             関西方面に森浩一という考古学者がいてな。
   /,.ヽくゞク!T ヽ ̄´ )  ミr'くヽヽミ、i            ちぃとばかり執筆と資料提供を頼んである。
 / / >、-‐|ヘ ノ`''''''´l  ミミ|  ヽヽ/ |ヽ、
_/ / /  ヽ ゞブ 、、、  、ミミノ    /  ヽl          ちょっと様子を見に行ってもらえんかの?
  / く、   ヽ〃‐‐--ヽ川/   /   !
    ||ヽ   ! ''''''ミ、ヽ/   /    /
    | | |   ヾ川川/   i´     /
    `' ヽ   !ヽ ̄: : /   |ヽ    /


                                                  ____
                                                /⌒  ⌒\
                                              /( ●)  (●)\
                                             /::::::⌒(__人__)⌒::::: \/⌒)
  わかりました。                                   |     |r┬-|     | ノ
                                           __\      `ー'´     //
  それじゃあ、                                 (⌒               |_,,,ノ
  ちょっくらその森さんとやらのところに行ってきますお         ""''''''ヽ_         |
                                               |           |
 (もうちょっとしたら新幹線ができるから……)                   |         |
 (東海道線電車特急の乗り納めだお!)                      i      ̄\ ./
                                               \_     |/
                                                _ノ \___)
                                               (    _/
                                                |_ノ''

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 このような全集企画本シリーズは、
 第1回刊行の出来がその後のシリーズの売れ行きを決めてしまうとまで言われている。
 「日本の歴史」は時代順に出していくことが決まっていて、
 第1回刊行は井上光貞が執筆する第1巻「神話から歴史へ」であった。

 宮脇は重責がかかるこの第1巻を自ら担当し、東奔西走したようである。
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298 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:15:38 ID:U76udzZ2

       ,、-‐''"´   ,','
  ,、-‐''"´        ,','ニニニニニニニニニニニノ  ゴ  い  森 て
''"´ィ! , ; .      ,','          ____    )  ル.  る.  浩 (_
iヽ ._  /i .  .   //        /⌒  ⌒\ ろ . ァ  か  一  (
レ’|/-/ iー .'7   //       /(●)  (●) \). .!! ?       >
/! \/∠/ .  ,イ   .  /   (__人__)  . \  ,ィ⌒ヽ、.      ア
 ̄/\ ,ヘ/.   ,'.i      .|      |r┬ |      | .(   ノ     k
くi k_./i,イ/ .  i .|    .  \    .l| .| l     /⌒/   i     て
\k、 .リ   .  |.|      /ヾニニニ`ー'´ ニニニシ\ ,'`ー '´i、    (`
 r' .〉'´ iン  . .|    .,ィ'´ ̄`ヽ    |○      |     'i⌒iY´⌒
tァ ̄ .  、|.l.||,,. |    ./三三.互.',ヽ  |        i    ,′.| i.|
 ..  \ i| ! |..`|... . i三三三三 i i  |○   /`ヽ、',   /.. .| i.|
  ‐   |´ j,       ..l三三三三| l  |    ,'    `'ー'´.... .| i.|
   ‐.´'.l| !,  |!,   ノ/ ̄ ̄ ̄!,' ! .|○   i..          .| i.|
     / !.| |!!´i  . | . ̄ ̄ ̄ i  ',_|__ , |           .| i.|
       . .!´"', ',   .ヽ三三三,'   f..  . リ           .| i.|
          .', ',  .  ゞ三シ⌒ヽ.、 ノ  ... |            .| i.|
          . ヽヾ、 ..      ヽ.     |            .| i.|
             ヽヾ、 .. .     ヽ、 . |     . .. . .| i.|
              ヽヾ、  .......   .ヽ  . |      .    | i.|

299 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:16:04 ID:U76udzZ2

                                                  ,.r― 、
                                             /    ヽ
                                            /   __{   '、
                                         rn;、 /   =_ゝ   ! ,rn
                                         ト「`ヾz-、_-=-ゝ _,.ィフ'´ト|
                                         ヒl:.:..../:`7ヒ戈ェzィレく:ヽ.::!ノ
                                          ヾ:.:.レレ|rf;;テ、r元;;オ:::l//
     私がその森だけど……                        ヽ|/ |l   ∥  ,!l::l/
                                             l ヽヾ、 -=‐ ,イl:/
     ……派手に壊してくれたわね。                     \  ``ヽィ |::||:!
                                             |`:r-,  }:|::||:!_,.......,_
                                             |::::! |  | '、||:!..:.n..:..`Z
                                         r‐¬,TFニl!_!  l _L!不|:f""ヽ
                                     .    l    |l |   !  l ´   | |:|   |
                                     .   l   !! ', !  l、     | |:l   ト、
                                         l    | ┴l   l┴ーー‐' `ヽ==;{.:.',
                                          ',   ! /   |         |,,,{{}.:.:',
                                           ',   !/  .|      ,.イ川|.:.:.:.i
                                           ',   i!  |___-=,.イ'‐'`ト'゙.:.:.:.|
                                     .     ∧ !    l ̄   i゙ .|  l.:.:.:.:.:.|
                                           ヽ'、   /_     l! :!   l.:.:.:.:.:.:l
                                           `'ヽ、,/ `''ー-、Ll_   l.:.:.:.:.:/
                                             ,! ゙``''- 、     ヽ |.:.:./
                                              /     `'‐ 、,,___,ノ-'
                                            /_    __      '、

                                             【森浩一】

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 井上の指示により、資料を集めたり、原稿を取りに行くのも宮脇の仕事であった。

 例えば、井上は執筆協力という形で森浩一に原稿などを依頼しているのだが、
 その交渉や資料・原稿の受け取りなどは宮脇が森のところに出向いて行っている。

 森浩一。
 後に同志社大学の名物教授となる考古学者であり、おもしろい著作もたくさんあるが
 このときはまだ大阪の高校教師であり、その傍ら、在野で考古学をやっていた。
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300 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:16:40 ID:U76udzZ2

             ____
           /      \
          / ─    ─ \
        /   (●)  (●)  \          ああ、これは、ある種のやる夫的表現なので、
        |      (__人__)     |          別に気にしていただかなくてもいいお。
        \     ` ⌒´    ,/          そうじゃないとこのスレに出てくる著名人、
 r、     r、/          ヘ          みんなアブナイ人になっちまうお。
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }            | |         それよりも、お願いしていた原稿を……
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |
        |                |  |


                                                  ,.一ー 、\
                                                  _,二ニヽ.  ))
                                             __, ≦ =ァテア):K_
                                              `フ::::::::::::::斗:':イ:ハヽ::ヽ
                                            /::≦ニ´‐ァ7:://:::::}::i::::::
                                           /:イ::/r{'Y/ /:://::/}/}:|:i:::::i
                                            〃 レ://} |∟」_/〈;:イ/仏'!:!:i:::!
         あー、はいはい。                           /:r{{ | fテ:;Iド  r升;云〉:':/
                                            //ハ.ぃ|!     ||   ,:::;イ
         これが原稿よ。                          ///:ハ}″ヽ. 、___^'__,. /:/亅
                                          //:/::i:ト、   \   ,.イ:/
                                         /〈Q二コ》:\    T"{'´/
                                       __くハ ヽ {{_;:ノ_}  / 丨:√Q7)
                                      / ̄  ゙̄'ヘ VF一oミ>く_ |::{一ァ7/
                                        |  ヽ ヽ  〉 /_ o / 〉′》! /,仁二
                                        |  ヽ }/ 厂⌒メ、、/ 〃|j //
                                        |    V/ (/  /  ,《 〃 /'〈 ゝ
                                      !   { {{ヽ/   {  / 、ル  ヽ ヽ
                                      l    い[/      / ペノ
                                     !    V     /\_,.-‐
                                       }  フフ      /
                                      〈/ /     /


         ___
       /      \
      /  ─   ─ \
    /    (●) (●) \
    .|      (__人__)   |    __
     \     ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒   /
    (⌒      /     /     /               それじゃあ……拝見しますお。
    i\  \ ,(つ     /   ⊂)
    |  \   y(つ__./,__⊆)
    |   ヽ_ノ    |
    |           |_
     ヽ、___     ̄ ヽ ヽ
     と_______ノ_ノ

301 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:17:13 ID:U76udzZ2
          ____
        / ― ― \
 ミ ミ ミ / (●) (●) \      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒)   (__人__)   \    /⌒)⌒)⌒)         ……ちなみに、一般の読者の方は、
| / / /    ` ⌒´     | (⌒)/ / / //          このくらいのスピードで本を読んでいきますお。
| :::::::::::(⌒)           /  ゝ  :::::::::::/
|     ノ            \  /  )  /
ヽ    /             ヽ/    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


                                            /  ト、                     i
                                                  ト、 ヽ  \                  |
                                           | {  | ヽ ヽ   ヽ               亅
                                            ,ハ  ,{  ヽ }\__jヽ._                丨
                                           |l } / ! _   > '´‐- .]            !
                                           || !  トvミ_  ′ ‐=せナ|               ;
                                               }! \jい-'}i      ̄´ |
                                                }〉|l      |           {
                                                | jL、-    |    i          |
           なるほど……                             |  ヽ`二 ´  |   |      !
                                          / ̄ ̄ ̄¨¨,二フヽ  ,. 1     l          l
                                         /  ` < ̄]      l「  |   |        !
                                        /     ヽ‐- _ ̄_〕 ∥   |    li
                                       /     ト、 \___丿  ll    |    ll           ヽ
                                    . '      y  !/ヽ ヽ!l !   |{  丨    八         \
                                   /      ハ {  \__)   ハ __,ノ  / ′ \_,r;.=====ミ
                                         ノ-‐} !   |r1  / ̄/}   /一…ァ' /          \
                                   |   ィ     `┘  /|| | j,ノ /  j /}ノ   //
                                   |     |         /  j'フ~/   ^´   //              }
                                   |    |      厶-‐' '´        //               ;
                                   |   |     /. '´    ___,..   //                     /
                                   |   |  /<´   /     ___/___ \   / ノ             /
                                       | /⌒>\_,∠ -‐' て ̄)   `> \ {∠二 ヽ、      , ′

303 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:17:57 ID:U76udzZ2

       ___
     /      \
    /   ⌒   ⌒\
  /     ,(⌒) (⌒)、\            確かに原稿を受け取りましたお。
  |     /// (__人__)/// |
  \      ` ヽ_ノ   /            ……ところで報酬ですが、原稿料という形で支払うのと、
    ヽ    , __ , イ               印税って形で支払うのと、どちらがよろしいですかお?
    /       |_"____
   |   l..   /l´ マソコに箸`l
   ヽ  丶-.,/  |_________|
   /`ー、_ノ /      /


                                           ,,. -‐''"´ ̄``´ ̄ ̄``''ー:、
                                         r'~ ‐'"~ ̄  、._       \
                                      ,.ィ'゙ ̄  、       `ヽ、  ヽ   \
                                    /    ;、 \``''-、     ヽ _ ヽ  ヾ`''ー
                                   /   ,  |il,ヽ  \  `'‐、    \``''ー、. \
                                  /   /   |ヽ; \ \    ヽ     ヽ   \ `,ー=-
                                  /li.   |  l. | ヽ; \ ヾ 、         \   ヽ ゝ
                                 〈i゙i   |  | |  ヽ:,  ヽヽ \_ \      \.   i `ヽ,
                               .   |   l  i i   ヽ>  i. ;、ヽ、iヽ iヽ、     ヽ、 .|゙i, ヽゝ
                                   i,   i  、_|i      |_lヽ'_L」 |__i,       ヽヽ,!、|__i_
                                   〉、 ∧,、,ィ'_二ミ‐、 ,.‐''"~;:二ニェ,i    \   ヽi、l. | ̄
                                  ./. ∧/ ハヾi;(℃〉、i l  ∠_℃〉ノ'' i,     \``''ー;-ニゝ
                                 ,..:/ /'~ >、 i  ̄ ̄ ||      ̄   i       \、 `''ー-、
                                 i/ -'、イ'~∧. i,.    ||         l,、 i      ヾ,ー-、/
       どちらがいいの?                    \  `弋,ilヽ l,.    l」,..,        / 〉 l  ヽ \  ゝ、_
                                   `'i::....  `'ヽ,ヽ.  ‐;---─;:‐   /'~      \ \ i、_l
                                    ゙.i,   ...   ̄``ヾ`ニニ-'  /:::::|   i   ヽ `'‐、,.>--- 、_
                                     `ヽ、 ::::..    `ヽ,__,. ‐'~:::::::::::ヽ  |    \ /      `'-、
                                    _,. :::'ヽ、::: ,     l ,ト- 、:::::::::::::::i\ |  l.   >ゝ        `''ー'、, -、
                                   /      X/     i'~ ゙i  ` ::::::::l _\.  |`'ー'~'‐-、.       /    '~
                                  i    _,./  .|::..    i,  ノ      |./:::``i /─'''~ ̄:...  i.    i :::  ::..
                                  .|`ヽ ∠,____|.    | i.      /i.l::::::::::'-':::::l i:..    〈   | l :::  ::::
                                  i  ヽ, ::::::::::::::|    l、 l``ヽ   '  〉〉::|: l  / :::::.    ヽ  |. l ::  .::

304 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:18:16 ID:U76udzZ2

         ____
        /⌒  ⌒\
      / (⌒) (⌒)\
     /  ::⌒(__人__)⌒::: \         やる夫としては、印税での処理をオススメしますお。
     |       |::::::|   ,---、
     \       `ー'   しE |         この本は間違いなく売れますお。
     /           l、E ノ         となると、本の売り上げ数に応じて報酬が入る印税のほうが。
   /            | |
   (   丶- 、       ヽ_/
    `ー、_ノ

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 近年復刊された「日本の歴史」文庫版第1巻のあとがきにおいて、
 森浩一はこの本の思い出話をいろいろと書いているが、
 その中にいくつか、宮脇俊三に関する話題が出てくる。

 原稿確認の際、自分の原稿の見るスピードが、読者の本を読むスピードと同じことや、
 原稿料支払と印税支払のことについて、印税支払を強く勧めたことなど、
 編集者・宮脇俊三の仕事ぶりを見るには良い資料であるといえよう。
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305 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:18:54 ID:U76udzZ2
                                            f,} イ {  r.、       パヽ
                                           ノ    ヽノ }       .} `´
中公「日本の歴史」を買わないと!                      ヽ      /        ‘.   .{
__                             私も買う!     _>=ミ、 _ノ        ヽ_, ィ
_   `ヽ                              _r- 、     / ̄ ̄`ヽ   _     __ >イ´:
_>    \                            ヾ'  {   ./::::::::::::::::::::/  __>:.:.`ー' ̄< ヽ::::::
ヽ    _⊥    俺にもくれ!              __  >^\ /:::::::::::::::::/  ア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ァヽ::
 `ーイ/ ̄`ヽ   r-、          __r、    , <:.:.:.:.:ヽ \:::::::7::::::::::::::::::/  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ ヽ
    く:::::::::::::::::‘.__ 厂Yヒァ-- 、 とア\ ヽ___>x ./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.  ヽ/::::::::::::::::::/  /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
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 さて、そのように周到に準備された第1巻「神話から歴史へ」は、
 本屋に並べられるや否や、飛ぶように売れていった。

 その売り上げは50万部を超え、100万部に達した。
 全集ものとしては、出版史上空前の売れ行きである。

 ちなみに2010年の書籍の年間売り上げランキングを見ると、
 岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)が、
 推定売り上げ部数は121万1835部。
 山本千尋著「バンド1本でやせる! 巻くだけダイエット」(幻冬舎)が
 113万7159部と、ミリオンセラーは2冊のみである。

 それを考えると、全集ものの最初の刊行でこれだけの部数が出るということは、
 とんでもないことになるのが間違いない状況であった。
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308 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:19:50 ID:Xr53c4Qk

全集買う客層ってのはどういう層なんだろ?


317 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:23:05 ID:Nnks1v92
>>308
時代性が違うと思いますが、当時で言う大卒のインテリ階級じゃないですかね?
まがいなりとはいえ祖父母が大卒同等だったうちにも、世界の歴史とか中国の歴史とかありましたし


306 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:19:18 ID:U76udzZ2

            |                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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            |                | |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|| |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
            |     ホント        | |==================|| |================
.           ┏━┷━┓   ごめんチャイ | |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|| |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
.           ┃      ┃   ∧_∧      .| |==================|| |================
      /| .┗┯━┯┛  (・∀・ )     . | |lllllllllllllllll/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄
    /  |  | ̄ ̄ ̄ ̄|\ (|| ̄|| )     .| |======| |二二二二二二二二二|| |二二二二
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 |  ..|  .゙|  | 日本の歴史品切れ中 |  |       | |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|| |lllllllllllllllllllll
 |  ..|  .゙|  |__________|/         | |==================|| |========
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 続く巻も軒並み、高い水準の売り上げを維持した。
 それこそ「出せばすぐ売り切れ」という状況が続いたのだ。
 印刷会社の輪転機をフルに回転させても生産が追いつかない。
 そのような状況がずっと続いた。

 一説によると、全ての巻を出し終えたあと、しばらく経ってもその状況は続いていたという。
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307 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:19:45 ID:U76udzZ2

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  |三|三|三|三|三ソ彡;ミミ|三|三|       彡ヽゞ'      ||        || 彡ヽゞ' ||        ||       :|三|三|   | l  |
  |           |i:              |i,          ||        ||    |i,  ||        ||       :|_____|   | l  |
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

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 会社としても空前の利益を計上した。
 その利益を元に、本社ビルを建て、また社員の給料は大幅に上がった。
 ボーナスも多額になった。

 あまりに大きな利益を出して、使いきれなくて、経理部門では、
 「本社ビルをもう1つ建てようか」
 などという話が出るくらいであった。
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310 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:20:30 ID:PKdCaSMg

使い切れないほどの利益かあ 景気よすぎて想像つかんねw


309 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:20:06 ID:U76udzZ2
        __
      /..::::::::::::::..\
    /..:::::::::::::::::::::::::.\          ……あとは、下降線をたどるしかないんだお。
   /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
   | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |        最近ろくに旅行もしてないし、
   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/        そろそろそういう時間も……
  ,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...`丶、
  ノ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 しかし、この空前の利益を出す原動力になった宮脇は、妙に醒めていた。

 「日本の歴史」以上の本は作れない、そうなるともう下降線をたどるしかない、
 これ以上やっても意味がないんじゃないか……

 彼自身鉄道の次に歴史が大好きで、司馬遷の「史記」を愛読していた。
 そういうものを愛読していたせいか、つい、他人事のように自分を眺めるくせがついていたようだった。

 また、趣味の鉄道旅行も、ここ最近行っていなかった。
 そろそろ、のんびりと鉄道にでも乗りたい……そんな思いもあった。
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311 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:20:50 ID:U76udzZ2

               ,.、-rァァァァァ‐-,.、
               ハシ'"`''ー‐''"`ヾ;ハ
            lミ'   _ 、__,. _   ゙ミl
            || へ、_`ー '_,._へ ||
               rョl ,.=。=゙ '=。=、 h
               |ヒ|. `二} {二´ :|j.|               「中公に宮脇あり」と世間では言われている。
.             ,ゞ|   人__人   |く
     _,,. -‐''"´| : lヽ、{. ̄- ̄.},.イ: :|``'''‐- 、.._         そのような君が去ったら、
   /´l : : : : : : : :|: : |.\`'' ‐-‐''´/|: : l: : : : : : : : 「ヽ       我が社は終わってしまう。
   /: : l : : : : : : : |: : :|.  \  /  |: : :| : : : : : : : |: : l
  ハ : : |: : : : : : :│: : |     ><   | : :│: : : : : : :| : : 〉
.  {: : : : | : : : : : :│: : :|  /| /|\. |: : :│: : : : : : | : / }



        /\  , 'ヽ
.      /   ゝ、__ヽ
    /          ̄¨'''_‐-_、
    , '             =≡=ヽ _
  /               ,',r:ミ〟  /
 /              ,-‐{ {::::j i  {
...′                ヾニン __`ヽ
..i                    j、_,, ノ            宮脇君がいなくなったら、
. i         ヽ、      -rイ_ , ‐ゞ,             中公で本を作れる人がいなくなってしまう。
 i.          i       | `‐‐-く
. 〉─-        i       `_,,`ニ>'             どうか、残ってくれないか。
..,,}─- 、   ',    `          ヽ
.i::::::::`::::::`ミ、ヽ`ー‐- 、  ヽ、_     j
l:::::::::::::::::::::::::::`丶`丶 、       ,r‐''"
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、 ` 、 _ ィ´
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` 、 `ー'r-、
゙;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` 、   i  ヽ
.゙;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、 i、_,,〉


                                                          /  ̄ ̄ \
                                                         /ノ  ヽ__   \
                                                       /(―)  (― )   \
                                  ・・・・・・                     |.  (_人_)   u |
                                                            \   `⌒ ´     ,/
                                                        /         ヽ
                                                       ./ l   ,/  /   i
                                                       (_)   (__ ノ     l
                                                       /  /   ___ ,ノ
                                                       !、___!、_____つ
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 実際、宮脇はこの時期に一度、辞表を提出している。
 しかしこのような大ヒットを連発した名編集者・宮脇俊三を、
 中央公論社上層部が慰留するのは当然であった。

 さらにそれでホロリときてしまった宮脇は、辞表を簡単に撤回している。

 このときのことを、宮脇は、
 「ちょっと甘ったれた話で恥ずかしいですね。」
 と述懐している。
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312 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:21:21 ID:U76udzZ2

                  , -‐ ´ ̄` ‐- .
               ,. ‐´           `ヽ、
              /: : : : : : : : : : : : : : : : :    'ハ
             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :    ハ
            ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      ハ
           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      ヘ
           .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :     ヘ
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           i  : : : : : : : : : : : : : : : 、. : : : : _    /
           ,.-'´ ̄ ̄`''' : : : : : : : : : : : ` ̄    ̄`'ヽ'
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :     ヽ,
        /: : : : : , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      ハ
       ,i: : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : :    ハ
     /´: : : : : : }: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : :      ハ
    /: : : : : : : : i': : : : : : : 〃: : : : : : : : : : : :   ヽ、: : :      i、
   /': : : : : : :   i: : : : : : : '": : : : : : : : : : : : :   ヘ: : : :     ハ
   / : : : : : :  i : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :     ヘ : : : :     ハ
 ノ' : : : : : :  /i : : : : : : : : : : : : : : : : : :       ヘ: : : : : :    ハ
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 しかし……
 「日本の歴史の売り上げを考えるとこれ以上の仕事はできない。」
 「このところ忙しくて、汽車に乗れなかった。」
 これらのことが、退職の理由として考えられるのかというと、疑問なところがある。
 少なくとも、本当の理由として考えられることではないように思う。

 実はこの当時、いろいろなトラブルを抱えていた。
 宮脇の私生活にもあったし、また中央公論社のほうもトラブルを抱えていた。
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313 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:21:42 ID:U76udzZ2

     ||  |!       /          /
     ||  |      /         /
         ホアーーッ  ,-‐-、  /   /
   ,. - ─- 、        |_!_!ュ }    /
  /  ノノノノハヽ       `'}‐┴、     ホ、ホォォォーッ!!
  i ,-、_{___ l'  ,. -─- 、 { ̄`{          /
  } | r} ` / -' | |`i /  ,ヘr^、 | }_,  ,! -‐- 、    /
  { 'ァ'  `ー'/,_ )!/リノ二二jノノ`i, /     _i
 ,-ソ 、   ノ/ニ| `i//  - r {⌒ / |__∠__,へ / ̄ ̄ヽ  ,-rrr、
/#\  、   `='ノ iニij   ,ニ゙ | `i /| r、/__,| ̄/   ノノノij iっ,!,!,!
\#i\    ̄,ノ`i ヽ   |r┼-、 i'  v{_ (__ハ_!  | _ノ^i'_フ'i,!  `i  {
  \i#|\==|/`|\\`ー| ´|ニ、ヽ  | i ` ,.-i{   }、|-   ,-'i   |\_|>
   \|ヽ } ノ  i \ | 〉' `ー'/  ,<j   二ノ  /ソ  ヽ._`ファ-ァr{`ー-1
      O|/    |l/ i ノ´|  / /_ノ\\ "{ヽ /i「|i、rr、/|ヘ! /ノ   |
       |    リ /∧  V_i/   ヽ_|\ノ|ヘ !| !|.| | |/  |-── '
       |0`    | /  ヽ_/|\   、   `| {|   |゛゛|   |
       |      |    /ノ |  \ リ     | ノ  ri  ノ  |
     ↑     ↑     ↑     ↑     ↑
   右    翼    の    み    な    さ    ま
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 以前も書いたが、当時の中央公論社は「風流夢譚」事件を原因としたいろいろな混乱の中にあった。
 深沢七郎の「風流夢譚」の中に天皇や皇族らの処刑シーンがあったことを理由に、
 右翼が激しい抗議運動を展開した事件である。

 しまいには、右翼関係者が中央公論社社長嶋中鵬二宅を襲撃、
 お手伝いさんを殺し、夫人を負傷させるというテロ事件にまで発展する。
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314 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:22:06 ID:U76udzZ2

       ,ィ ,イ/⌒Z__
       ( |/:::::´:::::::::::::::::::::::≧
      /:::::∪:::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
    ∠:::::::::::f::f:::::::::::::∪`l::l::::::::::丶
    ../::::::::::::|::|ノ___メ:::メ、_|::|::::::ハl
    人λ::::(|::|( ー) (ーノレ´
.      |:::::::|::| ,,  r‐ァ リ|::|         鶴見先生すまない。
      .|:::::::|::|、   ̄ノく:|::|
     、ノ:::::::|::|.ヘ ./ )ヽ::|::|         オレら事務方や、中公労組も頑張ったんだけど……
      (  \m/__ノi ) , )
       \.彡ノ /i::|'., ヽ/ /
       !、乂_/:::::|::|.::\ソリ

                                                        z‐====‐-
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            (やりたくはないが……執筆拒否か。)          / x仁..`           )  }:::
                                            _≠-‐┴‐っ             、_  イ::::
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                            .              l   ノ  `T   _」ニ=‐   . . : ´: /: : :
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                                    /V/`〈   _ ,ノ/>ゝ;:;:;:;l /: : : : :/ : : : :/: : : : :

                                                 【鶴見俊輔】

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 右翼の暴力に恐れおののいた中央公論社上層部は、
 それまで多く執筆させてきた革新系の執筆者への原稿依頼を減らし、
 一方で保守系の執筆者への原稿依頼を増やした。

 さらに革新・リベラル系の思想誌で中央公論社が出版元となっていた「思想の科学」が、
 天皇制に関する問題を特集しようとしたことしていた。
 ところがそれを知った上層部は、 「思想の科学」の発行を停止してしまう。
 俗に言う「思想の科学」事件である。

 この事件は多くの従業員の不評を買い、労組による抗議が行われ、
 また社外では中央公論社の出版物への執筆ボイコットが相次いだ。
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315 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:22:29 ID:U76udzZ2

     ____
   /      \
  /         \
/           \        こいつはまずいお……
|     \   ,_   |
/  u  ∩ノ ⊃―)/        これじゃあ右翼に屈していることに他ならないお。
(  \ / _ノ |  |         どうにかしないと……
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

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 この事件は宮脇がちょうど中公新書を立ち上げようとしていたことに起きた。
 これから立ち上げようとする新書なのに、その執筆者にボイコットされてしまうおそれがある……

 さらに出版人として、言論を扱うものとして、
 右翼の暴力に屈するという態度が気に入らなかったのも事実である。
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316 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:22:55 ID:U76udzZ2

         __________
         .!ミミミ;;;;;,,..))))))))))))フ7
        .!三ミ::::::: ""''==''"\ノ
        |三=-::::  "'ー-ー'" \
        |/rヽi,,-ー-ー'"  ,i_,-=''|
        |/|ニ||::::===。=;; <=。==.|
       /|/.|:r||::::::` ー '   `〒'"|                  ははは……
      / |/'ヽリ:::::,._ニニ    |:-'.|
     /  |//,`|:::r'",_  i~- ._| .|                  これまでちょっとした混乱こそあったが、
--ー''"""|  .|/,`::::|::::::`-二二二二フ|、        r-=,,      それをしのぎ切っての空前の利益じゃないか!
     |   |,` ::::|:::::::::::      .|.|`ー=;,,_     `ー、`,
.,-''つ  |   |,`  `ー-;;:::::::=≡ ../ |   ~''-=_ (こ''ー、.丶    本社ビルも建てたし、
"/   |   .|\     "''-;;_/ノ|  .|      r-、 ヽ,.ヽ )    これだけの金があれば新しい出版物も作れる!
/__,,--、 |   | .\    ::::::::::/ .|  |     ( ̄~"''-,, ヽ,!
''" ,,--' |   .|   \    / .|   |     | ~|~"ヽ, .ヽ ,!
 r',,-ーつ    .|    \, ,/   .|   .|    | ⊂''ー、, ,!
 ''",,-''"┴--ー'"|    /ヽ,   .ト---┴''/  .|  |,~''、  ,!
 r" _,,-っ    |  ,,,-へ /`-,  |    /  |  ( /  /

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 ところが、このような社内の混乱状況において、
 「中公新書」「日本の歴史」の大ヒットから、空前の利益をたたき出してしまう。
 そしてそれは、地道にこつこつ本を作ってきた中央公論社を、さらに混乱させてしまうものであったのだ。

 貧乏人が突然大金をつかんだとき、どうなるか……
 そのように考えると分かりやすいかもしれない。

 まさしくそのときの中央公論社が、そういう状況だったのだ。

 宮脇がこの時期に退職願を出した理由……
 それはこれから起こるだろう混乱を予期したからだったのかもしれない。
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318 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:23:18 ID:U76udzZ2

                      、 ‐ vvl/し
                   ___jヽ}ヾ l  { =ミ
                   ゝミ  }/ 从  =ミ
                      ) Y  从V ヾ  爻
                       { ヽノ..-‐:::::::‐-ミヾ }               ・ ・ ・ ・ ・ ・
                     ....:.´:.:.:.:.:-┬‐-:.:.:.:.ヽ、
               ......:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.‐-.....
          .......:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
           /{{ ̄¨7:.:.:.:.:.:./:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: }}、
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 しかし、慰留され、また本人曰くの「甘え」により、宮脇は結局中央公論社に残ることになった。
 その結果、これから来る「嵐」の矢面に立たされることになってしまう。

 そしてその「嵐」は、宮脇だけでなく、多くの社員を巻き込むものであった……
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                                                               【おしまい】


319 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:24:01 ID:U76udzZ2

以上でございます。ご清聴ありがとうございました。


320 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:26:05 ID:U76udzZ2
>>308>>317
中公「世界の歴史」「日本の歴史」は当然インテリ層には支持されてるんですが、
それ以上に高卒や中卒層も手を出したようですね。
というのは、文章が平易で読みやすい。


321 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:26:21 ID:PKdCaSMg

乙でした。
大仕事をやってのけても、万事うまくいくってわけじゃないのが、難しいところといいますか。


323 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:29:26 ID:U76udzZ2
>>321
宮脇先生にとっちゃ「編集者」としての成功が、
実は私生活での失敗につながってるところがありますし、
また会社をダメにした一つの小さな要因でもありますしね。
中公を勘違いさせたという。

この辺は本当に難しいところです。
一つの経済的成功が、のちのちの会社の崩壊につながるなんて、普通に起きているだけに。


322 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:27:51 ID:Xr53c4Qk

乙でした
バブル期に事業拡大して失敗したのと同じ結末が見えるw


324 : ◆KcxXifcWsc[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:32:47 ID:U76udzZ2
>>322
中公の場合、バブル期の会社以上に思想的に厄介な面を抱えてるのも大きいんです。
その結果有能な編集者を次々と失っていったわけでね……

いい編集者がいなくなれば、いい本ってのは絶対に作れませんからね。


325 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/03(土) 21:34:55 ID:Nnks1v92

中公はラノベというジャンルでも、救済者な時期もあったような気がします。今や、創元が息を吹き返した気もしますが


327 :名無しのやる夫だお[sage] 投稿日:2011/09/04(日) 02:09:35 ID:ndZ0ozhQ

乙でしたー
世界の歴史は高校時代に頑張って全部読んだなあ







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こういうのが積み重なって、90年代の危機が
訪れるわけか…。
[ 2011/09/05 09:02 ] [ 編集 ]

乙でした
今確認したら
世界の歴史と日本の歴史が家においてあったから読んでみる。
[ 2011/09/06 20:08 ] [ 編集 ]

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